1. 不動産契約の解除
不動産関係の相談

不動産契約の解除

Q.私は土地・建物を購入する契約を結び、既に代金1割に相当する手付を支払いました。1ヵ月後に残代金の決済と登記手続をする約束でしたが、私の都合で契約を解消したいと思います。

A.売買契約を締結した以上、一方的に契約をやめることができないのが原則です。
  しかし、手付を支払っていた場合、自分の都合で契約を解除できる場合があります。

  まず、手付には3つのタイプがあります。
  一つは、契約が成立した証拠として交わされる場合です。
  二つ目は、契約を履行しない場合に損害賠償として没収されたり、倍額を返さなければならないという趣旨で交わされる場合です。
  そして、三つ目は、手付を払った方が放棄するか、手付を受け取った方がその倍額を返すことによって、契約を一方的に解除できる趣旨で交わされる場合です。これを解約手付といいます。

  一つ目の手付の性質はすべての手付に共通して認められますが、民法は、手付は解約手付の性質をもつと定めています。
  したがって、契約書に解約手付でないことが特に規定されていない限り、手付を放棄して、契約を一方的に解除することができます。
 
  ただし、手付を放棄して契約を解除できるのは、相手方が契約の履行に着手するまでです。
  したがって、相手方が、たとえば売主が住んでいた土地・建物を買主に引き渡すために建物から立ち退いて転居した場合など、履行に着手してしまうと手付を放棄して解除することができません。