1. 逆送ってなんですか?
少年問題の相談

逆送ってなんですか?

Q、逆送ってなんですか?

                       
A、少年事件の場合、検察官は、捜査の結果、犯罪の嫌疑があると思われる場合には、すべて家庭裁判所に事件を送致することになります。
  事件の送致を受けた裁判所は、その犯罪が、死刑、懲役または禁固に当たる罪の事件の場合には、調査をした上で、その罪質及び情状を考慮して大人と同じような刑事処分が相当であると判断したときは、決定をもって、事件を検察官に送致しなければならないことになります。
  事件を再び検察官のもとへ送致することから「逆送」といわれるのです。家庭裁判所での調査をした上での決定です。

  ところが、その犯罪が、故意の犯罪であり、被害者が死亡したような場合には、犯罪を犯したときに16歳以上であれば、逆送しなければならないことになってしまいました。いわゆる「原則逆送」といわれるものです。
 
  ただし、家庭裁判所での調査の結果、犯行の動機や態様、犯行後の情状、少年の性格、年齢、行状、環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置が妥当であると判断した場合には、逆送を行わなくてもかまいません。
 
  少年が犯罪を犯してしまった場合、幼少のころから虐待を受けていたなどの事情を抱えていることなどが多く、再犯を防ぐという観点からは、処罰という非難を行うだけではまったく不十分であり、その原因を探り、少年自身も自分の非行と向き合い、まわりの環境を整えるなどの中で、立ち直っていくことが必要です。
  重大な犯罪を犯してしまうということは、少年の抱える様々な問題も重大であることも多く、本来であれば、処罰より保護処分が必要となることが多いのです。
 
  ところが、原則逆送となったとして、調査もせずに検察官送致をしてしまう事例が増えているように聞きます。
  家庭裁判所が、本来求められる少年法の理念に立ち返るならば、安易な逆送決定は裁判所の責任放棄ですし、法文上でも裁判所の調査を前提とした決定と読むのが素直です。
 
  なお、逆送され、地方裁判所に起訴された場合でも、裁判官が少年には保護処分が相当であると判断したような場合には、改めて、家庭裁判所に送致されることもあります。