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ハタニコの「医療・宗教」ズバッ!


     ダヴィンチ・コードも顔負け      牧師が牧師をだました!

ダヴィンチ・コードは推理小説

 小説「ダヴィンチ・コード」が映画化され話題になっている。映画も「字幕付」から 「日本語吹き替え版」まで上映され、行列ができてるそうだ。「ダヴィンチ・コード・ツ アー」を企画した旅行社もあらわれる始末で、人々の関心も過熱する一方のようにみえる。  話のなかみは簡単で、キリストは人間で子供がいたが、キリストは神であり人間ではな いとしてきたカソリック教会はこれを隠しとおしてきた。レオナルド・ダヴィンチはキリ ストが人間でマグダラのマリアとの間に子供がいたことを、作品の中に暗号化して告発し てきたのだというのがその骨子である。既存の絶対的価値に疑問を投げかけるという意味 で、価値の多元化社会としての現代社会の風潮にマッチしているのかもしれないが、むし ろ推理の複雑さや歴史解釈への興味が、人々の関心を呼び起こしているのかもしれない。  しかしこれは所詮小説、架空の物語であるし、何よりも聖書やキリスト教の教義そのも のを否定する結末にはなっていない。以下に報告するのは、「牧師が牧師を騙した」だけ ではなく、聖書もキリスト教の教義をも否定する悪魔の所行をやってのけた、異端の「牧 師」とその共犯者に関する事実報告である。前回に報告したアメリカ人牧師事件のつづき であるが、新たに依頼のあった事件を中心に報告する。

「牧師」Dは神学博士で牧師? 教会「管理者」Sは共犯!

 前回も報告したように、京都C教会のアメリカ人「牧師」Dは、教会「管理者」Sと共 謀してこれまで寸借詐欺を繰り返してきた。この「牧師」は1992年、日本に布教にきたが、 日本語が全く話せないばかりか日本語を勉強しようともしない横着な人物である。教会 「管理者」Sは、旅行会社員としてアメリカ滞在の経験もあり、それなりの英語力をもっ ているので、「牧師」Dは常にこのSと言動を共にすることとなった。「牧師」が一人で したことといえば、自分の経営する神学校でろくに出席もしないで、勝手に単位取得証書 を作りアメリカの本校から神学博士の学位を取得したこと位である。  ベンツに乗り、新車を購入するのもすべて信徒を連帯保証人にしたローン、教会建物か ら駐車場の賃借まで信徒を保証人にするという徹底ぶりである。この手配はすべて教会 「管理者」Sが行っている。収入の方といえば結婚式の司式収入が主なもので、それも月 20万円程度というから驚きの他はない。これでは寸借詐欺をはたらくほか生活のしようも ないであろう。

牧師が牧師を騙す−前代未聞のスキャンダル

 広島県のS教会のYさんは、娘さんの英語留学の希望をかなえるべく、アメリカ人「牧 師」Dがディレクター、「教会管理者」Sを担当者とする「ホーム・ステイ・プログラ ム」に参加した。留学先はオクラホマ州タルサの有名大学。期間は1カ年、ホームスティ 費用、学校授業料、教科書代、往復航空運賃、連絡相談費、手数料等総額227万8400円を 支払った。もちろん聖職にある身でこんな大金をおいそれと払えるはずもなく、知人の協 力を得て支払ったというのが実情であった。話は2004年11月にはじまるが、実際の留学は 2005年4月からなのに04年11月以降毎日のように入金するよう勧誘を受け、同年12月1日に 言われるままにプログラム担当者S宛に送金した。  同様のプロセスで、沖縄県のTさん姉妹も、K牧師の勧めと、Y牧師の理解でこのプロ グラムに参加することになり、Tさんの姉は3ヶ月コース、妹さんは1カ年コースを選び、 費用全額を払い込んだ。これにかかわった3人の牧師は、いずれも京都C教会が催行する プログラムだし、神に誓言をたてている人たちだからと、全く信頼しきっていたのである。  ところがアメリカ人「牧師」Dと「担当者」Sは、受領した金銭をその場しのぎに借金 の返済(しかも一部分の返済)にあててしまい、ホームステイ先への支払も語学学校への 支払や教科書代の支払いもしていないということが明らかになり、娘さんたちの惨状を見 るに見かねて父親のYさんらが立て替え払い(二重払い)せざるをえなくなった。「牧 師」Dと「担当者」Sが共同して、3人の聖職者を騙したのである。これはダヴィンチ・ コードの比ではない。「牧師」Dらの行為は、キリスト教の教義も聖書も裏切った破廉恥 僧の仕業というほかない。だからであろう「この問題を他の牧師にはしゃべらないでくれ 」と愁訴しているのである。

弁護士としてどう援助するか−刑事告訴と損害賠償請求

 当時京都C教会は、恒常的な財政破綻の状況にあり、小職らが把握しているだけでも10 00万円以上の借財をかかえており、「牧師」Dと教会「管理者」Sは自転車操業よろしく、 次なる鴨の到来を待ち望んでいたところに「3人の聖職者」があらわれたわけで、彼らに とってはまさに天の助けと都合よくうけとったのである。こうしてホームステイ・プログ ラムは計画的詐欺の舞台に使われることになったのであるから、彼らを詐欺罪で告訴すべ きは当然である。  さらに二重払いを余儀なくさせ、留学した娘たちを肩身の狭い思いをしながら不安な異 国での生活を強いたことなどについて、慰謝料請求を含めた損害賠償を求めるのも弁護士 としての義務的行為だと思う。  ところが「噂」によれば、「牧師」Dは米国旅行中であり、共犯者の教会「管理者」、 プログラム「担当者」Sは、自己破産を申し立てたらしいといわれている。 さてどうす べきか。「われに秘策あり」と大見得を切りたいところだが、「ない袖は振れない」との 俗諺が当てはまりそうだ。ならばせめて社会的制裁を加え、アメリカ総領事館とも相談し ながら世論に訴えていかなければならないであろう。その際「牧師」Dと「教会管理者」 Sの関係は、主犯と従犯ではなく、共同正犯なのだという事実を押さえておくことが重要 になる。みなさんからの積極的な情報をお願いしたい。                             弁護士 畑 中 和 夫 *「ハタニコ」というのは、畑中弁護士の学生時代からのニックネーム。「ニコッと笑って   人を斬る」のではなく、小説「イワン・イワニコの偉大なる権力」に由来するものです。     2006.05「医療・宗教」ズバッ!No.1: 信仰を利用する「牧師」