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ハタニコの「宗教」ズバッ!


信仰を利用する「牧師」

−アメリカ人「牧師」の野望と挫折−               キリスト教会の牧師は人格高潔で立派な方が多いと信じられています。キリスト教会や ホテルの教会風の建物で、牧師が司式して行われる結婚式が多いのもこれを示しているよ うです。しかし韓国統一教会の集団結婚や有無をいわさぬ勧誘、近くでは八幡の神霊統一 教会牧師の性的暴行事件などをみると、牧師さんもいろいろだなあと思ってしまいます。 今回お話しするのは、少数ですが信仰を悪用した悪徳牧師の詐欺・横領についてです。 宗教・信仰の自由の名の下に  詐欺というのは、相手をだまして、だまされた人が自発的に財物を渡すことです。脅迫 して金を奪えば強盗、こっそり盗れば窃盗ですが、だまして自分の意思で金銭を渡すよう しむけるのが詐欺です。委託された金品を渡さず自分で費消してしまうと横領になります。 考えようによっては、宗教・信仰と詐欺・横領は、紙一重のところがあります。お金を出 して「免罪符」を買えば天国にいけるといった中世ヨーロッパ。「免罪符」を買ったから 天国にいけたという人は一人もいません。原価10円のおみくじに200円出したり、原価50 円のお守りやお札に1000円近くを払うのは、宗教や信仰の行為だから、黙って払っている のでしょう。人々の宗教心や信仰行為に基づいた自発的な出費だとすれば、これを詐欺・ 横領だと決めつければ、「信教の自由」を圧迫することになります。ここにこの種の詐 欺・横領事件の難しさがあります。

「牧師」の絶対的支配の教会

 だから詐欺・横領を業(なりわい)とする「教会」や「牧師」は、自分たちの行為が宗 教行為であり、人々の自発的な意思に基づいて金品を支出したのだという体裁をとるため に、様々な工夫をこらします。「牧師」に絶対服従する信者、「牧師」は父、教会は家、 信者は息子や娘。家を守るため、父の言い付けに娘も息子も、従い協力すべきだと教え込 む。もし背くようなこととがあったら、教会から見はなされ救いはないと日夜信じ込まさ れ、実社会から隔絶された牧師支配の信者集団(カルト教団)が形成されます。こうなる ともう牧師のいうがままです。今回相談にみえた5人の被害者のうち、牧師が勝手に任命 した「副牧師」が3人も含まれているのは、事件の計画性と悪質性を示すものです。詐欺 ・横領の被害者たちが、被害を言い立てられない状況を作り出してきているのです。

アメリカ人「牧師」を一皮むけば

 アメリカを食いつめて日本に流れてきた「牧師」が、京都にやってきました。日本語も 出来ない、コネもない、教会の建物もない。借家を家賃不払いで転々とかわっていく教会 らしきものを、立派な名前をつけて開設しました。クリスチャンは5%しかいない、石を 投げたら坊主にあたる京都こそ布教に最適の都市だというわけです。アメリカ人が英語で 説教するというので、英語に興味のある学生やとにかくアメリカ大好きの女性たちが、ぼ つぼつ集まりだしますが、1年もたたずにみな辞めていきます。なにしろ収入の10%の献 金を義務づけられているし、なにかあると「すぐ返しますからお金を貸してください」と 借金の申込みをされる。3回に1回はこれに応じる羽目になります。預金を全部はたいて もうお金がないというと、カードローンやサラ金から借りて貸してくださいといい、サラ 金会社の一覧表まで用意するのですから、私のような不信心な者には、全く開いた口がふ さがりません。この人は布教にきたわけではなく、生活のために来ただけなんです。

「牧師」がやった詐欺・横領の手口

 この「牧師」の詐欺手口は、@「お金を貸してください。すぐ返しますから。」といっ てちょっとだけ返してまた借金する、典型的な寸借詐欺。A米国有名神学校と提携した神 学校を経営し、偽物の学位証書を発行して授業料を騙し取る等の利得詐欺。B英語研修の ホームステイを募集し、学校やステイ先に料金を払わず費消してしまう詐欺や横領。とい ったところでしょうか。申し出た被害者は5人ですが、一人は無関係な市民です。教会の ために必要だと自らの行為を正当化し、日本人の協力者を実行者にして責任回避を計りな がら、言い訳と文書偽造をつづけているのです。この「牧師」が、「教会」の維持のため と称して、宗教や信仰を利用しているのははっきりしていますし、一般市民にも被害を及 ぼしているのは許し難いことです。

アメリカ人「牧師」は懺悔し責任をとれ

 この種の事件の難しさは、民事でも刑事でも、宗教行為の陰に隠れた、「信教の自由の 名の下に行われる詐欺」事件だということにあります。なんでこんなに簡単にだまされる のか、キリスト教会や聖職者への社会的信頼に加えて、熱狂的(カルト的)としかいいよ うのない教会のあり方に問題の本質があります。もちろんこれは本件の場合のような、悪 徳牧師による、宗教や信仰の悪用にあるわけで、この点に目を向けないで問題の解決はあ り得ません。正常な教会運営を確保するためにも、キリスト教会自身が自浄作用にのりだ さなければなりません。京都アッセンブリー教会の村上密牧師が「被害者の会」を結成し 励ましているのが注目されます。  民事事件で損害賠償や貸金返済で勝訴しても、米人「牧師」も「教会」も破産寸前なの ですから、取り立ては不可能です。刑事事件で告訴して、社会的制裁を加えるしか被害者 を満足させ、米人牧師に責任をとらせる方法はありません。しかし警察はなんだかんだと 手をこまねいてしまい、結局、検察庁に直接告訴するしか手がないというところにきてい ます。世論に訴えて検察庁をその気にさせなければなりません。市民のみなさんが、この 問題を他人事と思わずに関心をもって下さるようお願いします。 弁護士 畑 中 和 夫    



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