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岡根弁護士のぼやき論壇

  
  

豪華海外旅行 市会議員が行えば「調査」に早変わり

 この数年、市民ウォッチャー・京都では、行政監視活動の一環として、市会議員が毎年 繰り返し行っている海外旅行(京都市会では「海外行政視察調査」と呼んでいる)にかけ た費用を、京都市に返還せよという訴訟を行っています。私も、市民ウォッチャー・京都 の一員として、訴訟に参加しています。  この旅行は、京都市会議員が、4年の任期中に1回参加できるとした定(要領)に基づ いて、たいした理由もないのに、大義名分となる「目的」だけは掲げて、ぞろぞろと10 人くらいがヨーロッパ各地を飛び回ると言うものです。そんな無意味な旅行に議員1人あ たり120万円の費用が使われます。その費用の出所は、我々の納めた税金です。さらに、 参加議員は日当までもらっています。さすがにおかしいと考えたと思うのですが、共産党 議員団と公明党議員団はこの年度の旅行には参加していません。自民党と民主都みらいの 議員のみが参加しています。  この旅行の団長も務めたことのあるある議員は、「なぜアジアは対象地域にならないの か」という質問に、「アジアでは120万円が使い切れない」と議会で答えています。こ んなことですから、まともな「調査」であろうはずがありません。それもそのはず、事前 の調査や学習は全くと言っていいほど何もせず、修学旅行でももう少しまともな質問をす るだろうという内容の質問程度しかしていません。それでも、この訴訟の中では、京都市 は、たいそうな効果があると言っています。  事前事後の参加議員らの学習や検討もなく、旅行会社のプレゼンの文章をそのまま報告 書に載せても何もはばからない。全くお粗末な報告書しか作りません。  訪問先は、いずれも、誰もが一度は訪れたいと願う観光名所ばかりです。ほんとうにう らやましい限りです。  2003年に行った豪華ヨーロッパ旅行について、今年(2007)5月に大阪高裁で 判決が言い渡されました。結果は、残念ながら、敗訴となりましたが、判決文では、私た ちが疑問であるとした点は、ほぼ問題があるのではないかと認めたものです。敢えて、 「ひとり議員のみが一般教養取得型というべき海外視察を温存することには検討の余地が あることを付言しておく」とまで述べられています。  裁判所としては、市会議員も選挙で選ばれているのだから、自分の頭で考えて、こんな おかしな「旅行」を何時までも存続させておくはずがない、きっと中止することになるだ ろうと、期待して、議会の「広範な裁量」の下に違法とまでは判断しなかったにすぎない ものと思われます。  今年も、取り敢えずは予定されているようですが、なんとか中止をして、無駄な税金を 使わせないようにしたいものですね。                            弁護士  岡 根 竜 介



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