1. 返済が難しくなったとき、どうしたらいいの?〈身近な契約のはなし〉
身近な契約のはなし

返済が難しくなったとき、どうしたらいいの?〈身近な契約のはなし〉

債務(借金)について

 家や車を購入するためのローン、教育資金のためのローン、事業資金の融資、買い物の際のカード払いなど、日常生活の中で債務が発生することがあります。債務者(お金を借りた者)は、債権者(お金を貸した者)に対し、債務を返済する義務を負います。

 しかし、何らかの事情で返済を続けられなくなる場合があります。例えば、就業先や取引先の経営危機や、倒産に伴う減収・廃業、健康状態悪化のため減収、また、利息が膨らみ返済が困難となってしまうこともあります。このような時、どうすればよいでしょうか。

 

返済が困難となった場合

①任意整理

 債権者の協力を得てこれまでの取引を確認・再計算し、債務残額を確定させた上、債務者の月々の返済能力を踏まえて概ね3~4年以内に完済できるよう、月々の返済額を新たに取り決め、債権者との間で合意書(示談書)を取り交わします。

 

②個人再生

 債務の一定割合もしくは一定額を3年間(最長5年間)で支払い、残りの債務を免除してもらう手続です。裁判所に申立てをする必要があります。

 破産の場合と異なり、要件を充たせば住宅ローンを別枠で支払い続けることができるので、自宅を手放さずに済む可能性があるという利点があります。

 

③自己破産

 債務者が高額な財産(不動産、保険等)を所有している場合、原則として、管財人がそれらを現金に換えて債権者に支払い、残った債務を免除(免責許可)してもらう手続です。なお、債務者に特段の財産がない場合は、管財人が選任されないこともあります。裁判所に申立てをする必要があります。

 破産手続を開始した債務者については、信用情報機関に事故情報が登録され、これが登録されている間は新たな借入やクレジットカードの交付を受けることができなくなります。なお、任意整理や個人再生の場合も、信用情報機関に事故情報が登録されます。

 

相続による債務

 相続人は、死亡した人(被相続人)が残した借金や債務などのいわゆるマイナスの遺産についても受け継ぎます。被相続人が誰かの保証人になっていた場合、保証債務も相続の対象となります。

 プラスの相続財産よりもマイナスの相続財産の方が大きい場合は、家庭裁判所で相続放棄や限定承認の手続をとることが考えられます。