1. 保証人になるのも契約?〈身近な契約のはなし〉
身近な契約のはなし

保証人になるのも契約?〈身近な契約のはなし〉

「迷惑をかけないから」

 お金を借りるときや家を借りるとき、契約する本人以外に保証人を付けること求められることがあります。

 借主本人からは「絶対に迷惑はかけませんから」と頼まれ、まさかのことは考えずに保証人欄に署名、押印をすることが多々見られるところです。保証人欄にサインをした人は、貸主の顔など見たこともなく、直接契約書を交わすこともないことが多いのではないでしょうか。

 そのため、借主本人から懇願され、保証人となった人にしてみれば、契約をする借主との間で約束をしているつもりになっているのかもしれません。

 ところが、法的には、保証人は、貸主との間で直接保証人となる契約を交わしていることになります。それどころか、借りた本人との間の約束は、貸主との間では何の効力もありません。借主が支払を怠れば、いくら「迷惑をかけない」といわれていたとしても、貸主から請求を受ければ保証人としては支払わざるを得なくなります。そうでなければ、保証契約をする意味がありません。また、単なる「保証」と「連帯保証」では内容が大きく異なります。ですので、連帯保証の場合はより注意が必要です。連帯保証では、自分自身が借り入れたのだというくらいの気持ちでなければ契約をしてはいけない、というくらいに思っておく必要があります。それほど連帯保証人の責任は重いということです。悪質な金融屋なら、返せるアテもない気弱な借主に高額の金員を貸付け、元本のみならず、違法すれすれの高額な遅延利息を(連帯)保証人から巻き上げることも起こりますし、実際に問題も生じています。

改正法

 2017年に民法が大きく改正されました。保証についても、保証人が、時として高額な支払を強いられることが社会問題となったこともあり、少し改正されました。例えば、会社が事業のために借入をする際に、経営者自身が保証人になる場合を除いて、個人が保証人になる際の保証人の保証意思は、公正証書で確認をすることが義務づけられました。保証人となることをより慎重にしようという趣旨だと思われます。また、当たり前のことではありますが、保証した時点よりも後になって、勝手に借主が借り増しをした増額分については保証の範囲は及びません。この点を明確に定めることとなりました。但し、根保証の場合には事情が異なりますので、注意が必要です。