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「調停」とはどのようなものか?(その5)
前回は、家事調停について、民事調停と異なる面があることを中心に書いてみ
ましたが、今回は、家事調停で、考慮する点を述べてみたいと思います。
養育費に関する調停や、婚姻費用に関する調停については、基本的に、双方の
収入状況と養育すべき子供さんの人数を前提にして、裁判所が、おおよそ2万円
ほどの幅を持って目安の金額を算出する表を作成しています。
このことを念頭において、自分なりの特別な主張を組み立てるということを考
える必要があります。
この表は、弁護士であれば一般的に入手していますので、法律相談などで自分
の収入と相手方の収入の資料を持参して相談することで、基本的な額の予測をつ
けることができます。
別居や離婚調停に至る経過もあり、いろいろと養育費や婚姻費用について気持
ちの上での金額を強く主張していくことも一つの道ですが、一方で、裁判官がど
のように養育費や婚姻費用の額を考え算定しているかを知っておくことは、有意
義ではないかと私は思います。
遺産分割の調停の場合は、単純な財産の分割方法などの話し合いであれば別で
すが、次のような各場合には、法的な判断を聞いて対応していくことが必要では
ないかと思われます。
○生前に相続人の一部の方が大きな贈与を受けている場合
○相続財産として借地借家などそこからの収益がそれなりに存在している場合
○相続財産に匹敵するような生命保険金が、一部の相続人が受取人となって支
払われている場合
○遺言が存在している場合、などです。
こうした場合には、それにふさわしい法的な主張を行うことで、分割の内容が
異なってくることや、対応を検討しないことが不利益になってしまうことがあり
ます。
弁護士 佐 藤 克 昭

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