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佐藤弁護士のなるほど講座

  

「調停」とはどのようなものか?(その3)

前回は、民事調停について、具体的に申立から調停の期日の状況等のお話 をしましたが、今回は、その続編として、調停の手続きの中で考慮しておく ことが大切と思われることを、述べてみたいと思います。 前回調停の第1回期日において、できるだけわかりやすく調停委員の方に 説明をすることが大切であるということを、述べました。 それは、調停においては、相手の方と直接お話をするのではなく、調停委 員の方を介して、話し合いをするということからくるものです。  調停委員の方には、正確に当方の言い分を理解し、問題の所在を把握した 上で、その解決方法を考えてもらうことができない限り、調停における当方 の目的を達成することは到底困難と思うからです。 一方で、調停そのものを当方の言い分が正しいか否かを判断してもらうこ とであると考えることも、(誤解を恐れずに申し上げると)調停の目的には 少し遠いことだと思っています。  調停はあくまで話し合いであり、相手の方が存在するわけですから、話し 合いで解決することを望む以上、どちらが正しいかの判断を下してもらうと いうことではなく、当方と相手の方の間の紛争をどうしたら解決できるかと いうことを中心にして、調停に望むことも大切なことだと思います。 相手の方にも言い分があるのが一般的です。その言い分を前提にしつつ、 社会的な判断と法的な整合性の両方の観点で、双方に解決の方向性を示して すりあわせをしていくことが、調停委員の方の基本的な姿勢であることを忘 れてはならないと思います。  もっとも、調停に臨むにあたって、自分としてはこれは絶対に譲れないと 考えるものがあればそれまで譲歩して調停による解決を優先することも、後 々後悔をすることになりますから、柔軟に問題解決を求めると共に、自分な りの解決に向けてのスタンスはしっかりと持っておくことが必要です。  その際には、調停委員の方が、自分の考えや言い分についてしっかり理解 していることが前提になりますから、先ず調停委員の方が、自分の言い分を 資料などに基づいてしっかりと理解し、自分の考え方に共感をしてもらえて いるかをしっかりと把握することが大切です。  自分の言い分をしっかり理解してもらっていることを前提にして、調停委 員の方の考え方や方向性、解決について当方が検討すべき課題についての提 案を検討していくという姿勢が大切です。                        弁護士 佐 藤 克 昭



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