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佐藤弁護士のなるほど講座

  

弁護士との「打合せ準備」(その4)

今回のお話は、更に引き続いて弁護士との「打合せの準備」についてです。   前回は「証人尋問」に向けての打合せについて書いてみました。  今回は、更に進んで、「判決」と「和解」、「控訴」について書きたいと思います。  「証人尋問」が終了しますと、基本的には、裁判は、「結審」されます。   裁判としては、「証人尋問」により、それぞれの立証が最終的には終了して、あ とは、裁判官による判断が残されるだけになるわけです。   裁判官や代理人によっては、それまでの準備書面による主張と提出した証拠など の評価をまとめた最終準備書面の提出を待って、全ての審理を終わるという「結審」 の日を定めることもありますが、一般的には、証拠調べの最終段階である「証人尋問」 の終了により、「結審」をして、判決の言い渡し予定日を定めることの方が多いよう に思われます。   裁判は、法的なトラブルについて裁判所の判断を求めるものであり、その意味で は、裁判官の最終的な判断である「判決」を求めることが一般的ですが、それぞれの 事件の経過によっては、それぞれの主張が出そろった段階や、証拠調べが終了した時 点などに、裁判官から「話し合いによる解決はできませんか?」等という形で、「和 解」の勧めがなされることも少なくありません。   裁判は、既にふれたように、本来は裁判官の判断を求めるということで「判決」 を求めることが前提になっているわけですが、その事件の内容によっては、争いを白 黒の色分けですっきりと判断することが困難な場合や、争いの根底に感情的な問題が 存在し、事件の解決としては、本来話し合いにより解決した方が双方にプラスと考え られるような事件も存在します。   裁判官によっては、証拠調べが終了し結審する前に、必ず「和解」について言及 するという方もおられます。   それは、裁判官の中には、民事事件においては、多くの場合は、「権利救済」を 重視するものよりも「紛争の解決」を求める方に重きを置くものが多く、「紛争の解 決」ということを目的とするのであれば、一定の証拠調べを経て裁判官としての心証 が固まった段階で、双方の当事者に裁判官から「一つの紛争解決への提案」を行うこ とも必要ではないかと考える方がおられるのだと思います。   判決が、出されてしまえば、結論的な部分だけではなく、自分の言ったことが十 分に反映されていない等いろいろな要素により、かえって紛争が長引いたりして、高 等裁判所への不服申立である「控訴」が増え、双方が時間と労力と費用をかけて更に 紛争解決が長引くことになってしまうという考えがあることも否定できません。   裁判官からの和解の勧告があった場合には、担当する弁護士とよく相談をし、こ の裁判の目的は何だったのか、裁判官はどのような考えをこの裁判で持っているよう か、判決が出た場合に、控訴を考えるか否かなどを検討しながら「和解」の席に着い ていくことが必要だと考えています。   判決が出て、不服があれば、2週間以内に高等裁判所への控訴の申立を、原審裁 判所にすることになりますが、その際にはまた別途費用が必要となります。      裁判の状況を見て、よく担当弁護士と見通しも含めて相談しつつ、方向性を再度 確認しておくことが求められることになります。                           弁護士 佐 藤 克 昭



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