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弁護士の「専門」
今回のお話は、弁護士の「専門」についてです。
時々相談をお聞きする中で、「先生のご専門は何ですか」とか、「先生は民事専門です
か」等というご質問を頂くことがあります。
確かに、相談をする側から見ると、相談をする弁護士が自分の抱えている問題について、
十分な知識と経験があるかどうかという点は、重要な要素だと思います。
では、「専門」ということについて私がどう考えているかですが。
刑事事件については、今後は、「専門」というか、十分な知識と経験を持っているかと
いうことについて、弁護士によっては一定の差が生じていくのではないかと考えています。
それは、今後「裁判員制度」が始まっていくということがあるからです。
裁判員制度が始まることにより、その制度にあった弁護活動が重要になっていくでしょ
うし、そのための研修と経験、知識が必要不可欠になっていくと思います。
一方で、いわゆる民事事件については、「専門」という部類に挙げられる分野は、かな
り限られているのではないかと思います。
著作権などのいわゆる知識財産関係に関する事案については、「専門」的な知識と経験
がかなり必要であり、その分野についての相談や依頼をされる場合には、その弁護士がど
れくらいの経験と知識をその分野に関して有しているかを率直にお聞きになられる方がい
いと思います。
他にも、M&Aに関する相談等も同じように「専門」的な知識と経験が必要と思われま
す。
同様に「医療過誤」「先物取引」「株式取引」「消費者被害」等も、訴訟などの経験が
十分に積まれている弁護士の方が、やはり安心して依頼できるという意味では「専門」の
部類に入るかと思います。
また、「労災」(「過労死」「過労自殺」を含めて)「労働事件」等も経験と知識がか
なりものをいう世界ですので、「専門」の部類に入るかと思います。
こうした分野以外の民事事件について(例えば離婚・相続・債務整理・破産・借地借家
・債権回収・交通事故等)は、ほとんどの弁護士が多かれ少なかれ事件を担当し、経験を
積んでいますから、これらの分野について「専門」ということはあまりないのではないか
と思っています。
もっとも、そうはいってもこれらの分野の事件についても、それぞれの弁護士の経験は
様々であり、困難な事件を速やかに解決をしたり、クレームがつきやすい事案について事
前にそれを回避する方法を経験的に蓄積しているなど、それぞれの弁護士によってその結
果に差が生じることはいうまでもありません。
その意味では、「あの弁護士は、相続関係に強い」等という評価を受けたりすることは
当然にあるものです。
では、どういうことからそうした依頼するに足りる弁護士を判断していったらいいいの
かと思われるかもしれません。
それは、弁護士を紹介する方の話、弁護士と直接相談をしてみたときの説明に説得力が
あるか、具体的な展望を(困難とともに)示してもらえるか、それに自分が納得できるか
ということが大きいのではないかと思います。
弁護士 佐 藤 克 昭

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