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「法律相談」と「事件の依頼」
あけましておめでとうございます。
昨年来消費者契約法を取り上げてきましたが、今年は、少し趣を変えて、日々の相談
や裁判などに際し、この点は、ご理解いただいた方がいいのではないかと感じているこ
とを、書いてみたいと思います。
「法律相談」は、具体的にお困りの事案について、お話をお聞きして、それについて
の法的な判断と一定の解決方法についての説明を行うことが基本と考えております。
限られた時間(当事務所では30分程度)で、具体的なお困りの内容をお聞きして、
それについての法的な判断や解決方法をお示しするというものですので、できれば、そ
の相談に関する資料をお持ちいただくことが、正確なアドバイスにつながります。
債務についての相談であれば、債務の内容や件数、額などを一覧表にしてお持ちいた
だくとか、契約書などの書面をお持ちいただくことをおすすめいたします。
相続や家事事件では、家族構成、遺言書などの関係書類、財産関係の資料をお持ちい
ただくと、具体的なお話が可能となります。
そうした基本的な資料以外に、具体的な経過や相談したい事項を箇条書きにしていた
だいたメモなどをお持ちいただくと、お話を十分に把握してアドバイスができると思っ
ています。
「法律相談」は、こうしたその場でのアドバイスが前提となりますが、それから更に、
具体的な解決のために、弁護士に何らかの書類の作成を依頼するもしくは相手方との交
渉を依頼する等弁護士の行動を期待される場合は、「仕事の依頼」をしていただくこと
になります。
この場合にはそれに伴う弁護士への支払いが必要となりますので、「法律相談」の次
の段階になるのです。
私は、「法律相談」それ自体でできるだけ解決の方向性が示せるようにすることが、
弁護士の基本的な使命だと考えていますので、「法律相談」それ自体で一つの解決がで
きる方がよいと思っています。 また、実際に、「仕事の依頼」を受けることなく、毎
回の相談料をいただきながらアドバイスを繰り返すことで、最終的な解決に至る事件も
少なくありません。
しかしながら、ご紹介いただいた方から、「先生は事件を受けてもらえないのか」等
というご指摘をいただくこともあります。
私としては、基本的にご本人様が、解決対応が可能であれば、特別にご依頼の意向が
示されない限り、「法律相談」によるアドバイスを続けることにしています。
もっとも、事案によっては、弁護士として対応しなくてはならないと思われる事件も
少なくありませんので、そのような場合には、率直にその旨を申し上げ、費用などの説
明をさせていただいていますが、ご本人様でも対応が可能と思われる事案については、
ご依頼の意向が示されない限りは、アドバイスをすることにとどめております。
こうした考えを、他の弁護士がとっているかどうかは私にはわかりませんが、少なく
とも私の場合には、こうした考え方で、「法律相談」を行っております。
その意味では、「もう弁護士に任せて対応をしてもらいたい」というお気持ちをお持
ちの場合には率直に、相談の中で意向をお示しいただければと思います。
弁護士 佐 藤 克 昭

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