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「消費者契約法」:「レンタルビデオの追加料金」
前回に続き「消費者契約法」についてお話ししたいと思います。
今回のテーマは、「レンタルビデオの追加料金」です。
「レンタルビデオのお店で、ビデオを借りて、一週間後の返却期間を超えて返すのを忘
れて放置していたら、3ヶ月後に、3万円近くの追加料金を請求された。」等という話を
聞いたりしませんか。
旧作のビデオなどは、多くの場合、一週間の借入期間で400円くらい(最近はもっと
安くなっているところもありますが)で借り入れができると思いますが、その返却期間を
超えて返すのを忘れて放置していると、最初に申し込んだ契約では、「返却期間を超えた
場合には、一日につき300円とか400円の追加料金を支払う」との契約条項が記載さ
れていることがあり、それを根拠にして、3ヶ月も放置していると、3万円を超える追加
料金の請求が来てしまうわけです。
「契約書に書いてある」「長期間放置しておく方が悪い」ということで、泣く泣く高額
の追加料金を支払うことになった方もおられるかもしれません。
確かに、当初の借入期間に返却してもらうための心理的な強制を働かせるために、一定
の高額な追加料金の設定をすることにも、理由があると思われます。
しかしながら、よく考えてみますと、レンタルビデオのお店で借り出せる旧作のビデオ
などは、実際の販売価額そのものが、せいぜい1万円程度ではないかと思われます。
そうすると、実際には、販売価額が1万円前後のビデオを、3ヶ月返却しなかったこと
で、その3倍にもなるような追加料金を請求できるとする約定は、不合理なものであり、
消費者の利益を一方的に害するものといえるのではないでしょうか?
消費者契約法10条には、「消費者の利益を一方的に害する条項は無効とする」と規定
されています。
この消費者契約法10条に鑑みると、そのビデオの販売実績価額を超える追加料金の請
求は、無効と解することができるのではないかと思います。
レンタルビデオのお店の方も、実際には、販売価額を回収すれば、それを元に新規にビ
デオを購入し、貸し出しを行うことができるのですから、こうした考えをとっても、特に
取引上酷な結果になるとも思われません。
こうした考えは、裁判の判例によって確認されているものではありませんが、消費者契
約法の基本的な考え方を前提にすれば、こうした判断になると思います。
消費者契約法は、このように、「契約書に書いてはあるが、どうも納得がいかない」と
いうケースで、消費者側にとって納得できる解決方向を導くためには、十分に力になる法
律であると思います。
弁護士 佐 藤 克 昭

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