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消費者契約法を知っていますか?
今回以降は、しばらく「消費者契約法」についてお話ししたいと思います。
以前に、特定商取引法に関するお話を書いたことがありますが、特定商取引法は、店舗
販売においては適用対象が狭く、指定された商品や役務等に適用が限定されている側面が
あります。
これに対して、「消費者契約法」は、民法の特則として事業者と消費者の間の消費者契
約に対して、適用があります。
個人、つまり一般的市民である個々の人間が、消費者として契約した場合の包括的な消
費者保護をはかる法律ということになります。
その特徴として次のような点が上げられます。
1人1人の市民が、事業のためではなく、消費者として契約をした場合に、不当な勧誘
や重要な事項についてまちがった説明を受けたり、消費者にとって不利なことをわざと告
げられなかった等の事情があるときには、その契約を取り消すことができるとしています。
また、消費者の利益を一方的に害する条項については無効にするという一般的な条項が
設けられていますので、これを手がかりにして、契約書に記載されている色々な問題を感
じる条項を適正なものに読み直していくことが可能となりました。
例えば、スポーツクラブの契約書の中に、「当クラブにおける事故については一切責任
を負いません」などという条項が記載されていた場合です。
このように、事業者の責任を一切免除するという形で契約書の中に規定されていても、
消費者契約法の8条で事業者が本来負うべき損害賠償責任の全部を一切免除する旨の条項
は無効とすることが規定されていますから、この条項は無効ということになります。
スポーツクラブの床がぬれていたために滑って大けがをしたということになり、そのス
ポーツクラブの管理者が適切な処置を執っていなかったことが明らかになれば、このよう
な条項が契約書に記載されていても、事業者は、損害賠償の責任を果たさなくてはならな
いことになるのです。
このように消費者契約法は、個人が、契約をした内容を消費者保護の観点から見直すこ
とのてがかりになるものであり、この法律に関する知識を少し知っておくだけでも、「契
約に書いてあるから」といわれて泣き寝入りをすることが減るのではないでしょうか。
弁護士 佐 藤 克 昭

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