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今回のテーマは、後見等開始の審判前の保全処分です。
これまで、成年後見の制度について書いてきました。
その中で、
「後見開始の申立をしたが、開始決定の審判がすぐに出されるのですか?」
「審判がなされるまでに、時間がかかるとその間に、財産がいろいろな人によって減少
していくおそれがあるが、どうしたらいいのか?」
という声も聞かれます。
確かに、後見開始の申立をしましても、場合によっては、半年近くかかって、はじめ
て審判がなされるということもあるようです。
その間に、ご本人がいろいろな人から勧められて、財産の減少行為がなされてしまう
こともあるようです。
法律では、そのような場合に備えて、「審判前の保全処分」の規定が定められていま
す。
「審判の申立があった場合に、家庭裁判所は、最高裁判所の定めるところにより、仮
差押え、仮処分、財産管理人の選任、その他の必要な保全処分を命じることができる。
」と規定されています。(家事審判法15条の3)
従って、財産が散逸してしまうなどのおそれがあるとき、また、逆に当面必要な処分
をすることが求められている場合等には、後見開始の申立と平行して、この「審判前の
保全処分」の申立をすることで、そうした問題を迅速に解決することが可能となってい
ます。
具体的には、そうした処分をする必要があること、具体的な求める処分についての有
効性、等を整理して、関連する一定の証拠を提出していくことが必要です。
こうした点については、あまり知られていないため、後見開始の申立をしたものの、
審判が出るまでにいろいろな問題が生じ、その回収などに別途手続を必要とすることに
なることがあるようです。
そうした必要性を感じた場合には、そのことを弁護士にもつげ、保全処分についての
申立を行うよう相談していただくことが必要でしょう。
弁護士 佐 藤 克 昭

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