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福山弁護士の「飲み法題」


  
       

交通事故に遭ったらまず何をする?(加害者編)

 加害者の立場であれ、被害者の立場であれ、交通事故には遭わないにこしたことはない のですが、万一、事故に遭ったら、まず何をすべきでしょうか? 今回は、事故後に加害 者が取るべき義務について、お話ししたいと思います。 1 緊急措置義務(道路交通法72条1項前段)   加害者については、第1に緊急措置義務が挙げられます。これは、@直ちに運転を停  止して状況を確認すべき義務、A負傷者を救護すべき義務、B現場で二次被害等が発生  しないよう危険防止の措置を取る義務の3つのことを言います。   特に、Aの救護義務を怠ると、いわゆる「ひき逃げ」として道交法違反として5年以  下の懲役または50万円以下の罰金に処せられるほか、場合によっては、刑法上の保護責  任者遺棄罪(刑法218条、3月以上5年以下の懲役)や殺人罪(刑法199条、死刑・無期  又は3年以上の懲役)に問われることもあるので、絶対に被害者を放置することのない  ようにしなければなりません。   一般に要求されるのは、119番通報を行うことです。可能なら応急措置もするのが  望ましいですが、被害者の状況によっては素人判断で処置をすると、却って状態を悪化  させることもありますので、くれぐれも注意してください。 2 事故報告義務(道路交通法72条1項後段)   第2に、警察官への事故の報告義務があります。この報告は「直ちに」行う必要があ  ります。「直ちに」とは、事故発生直後または上記の緊急措置義務を取った後すぐにと  いう意味で、一旦現場を離れた後に報告したような場合、この義務違反に問われること  があるので注意してください。 3 保険会社への通知義務   第3に、保険会社への通知義務があります。事故が発生した場合、加害者は直ちに保  険契約を締結している保険会社または取扱代理店に、事故の日時、場所、概要を報告す  る必要があります。これを正当な理由なく怠った場合は保険金の支払が拒絶されます。 4 被害者へのお見舞い等   第4に、被害者へのお見舞い等が挙げられます。これは法律的な意味での義務ではあ  りませんが、保険会社に被害者への対応を一任して、お見舞いすらしないというような  対応を取ると、私の経験では却ってこじれることが多いように思います。紛争のスムー  ズな解決のためには、事故の原因や責任の問題は別として、相手方が負傷しているよう  な場合、社会的な礼儀として、直ちにお見舞いに赴くべきだと思います。    弁護士 福 山 和 人



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