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福山弁護士の「飲み法題」


  

     甘口のススメ

                         焼酎ブームだそうです。行きつけの店でも焼酎の品揃えは増えましたが、日本酒のメニ ューは少なくなりました。日本酒党の私としては寂しい風潮です。けど何で焼酎なん?  ある客曰く「焼酎の方が健康的」。でも、焼酎だろうが日本酒だろうが、結局、アルコ ールなんだから同じでは? 曰く「焼酎の方が安いから」。うーん、確かに超有名ブラン ドとなった「百年の孤独」といったレアものでない限り、一般的には大吟醸などに比べる と、焼酎の高級酒の方が安いかもしれませんね。けど、好きな日本酒を我慢せなあかんと は。マスコミは「景気は回復した」なんて言ってるけど、何が景気回復や! 小泉が悪 い!と言いたいところですが、お堅い話はこの辺にしときましょう。  居酒屋の日本酒メニューが減ったことで、特に打撃を受けているのは、甘口の日本酒で す。甘口の日本酒はめっきり品揃えが少なくなりました。ところでビール、日本酒、焼酎、 洋酒、ワインなどお酒の種類をを問わず、「辛口」「甘口」という言い方がよくされます。 最近は、全体に「辛口」流行りで、日本酒やビールのラベルにも「辛口」と書かれている ものが多いように思います。でも、お酒の辛口甘口って一体何なんでしょう?  日本酒の場合、お酒の甘い辛いを見分ける物差しとして日本酒度というものがあるそう です。この日本酒度とは、お酒に含まれるエキス分(糖分など)が多いお酒が甘口、それが 少ないものが辛口とされています。日本酒度の数値がマイナスになればなるほど「甘口」。  逆にプラスになればなるほど「辛口」とされます。  しかし日本酒度だけではお酒の甘い辛いは判断できません。エキス分が多くても、酸の 量が多くなるとさほど甘さを感じないそうですし、他にも糖類の種類、アルコール度数、 熟成の度合い等によっても感じる甘さは変わるそうです。  結局、辛い甘いを一つの物差しではかることは難しいということのようです。要は、す っきりした飲みやすいお酒のことを人は「辛口」と言っているのでしょう。そうなると、 実は一般に甘口と言われているお酒の中にも、すっきりとした飲みやすいお酒はたくさん あります。例えば、滋賀の「松の司」、富山の「幻の瀧」、新潟の「〆張鶴」などはいず れも端麗甘口の傑作です。これらの銘柄の吟醸酒は、特有の吟醸香が余り強くなく、さっ ぱりした飲み口が特徴です(「あんたの場合、どうせ味の違いなんて分からないんだから、 何を飲んでも同じでしょ」という陰の声もありますが・・・)。  暑い暑い京都の夏、ハモ落としなんぞをほおばりながら、冷たく冷やした端麗甘口をグ ビッとやる。もう最高ですなあ。世知辛い世の中、せめて旨い甘口酒で心と体にご褒美を あげてはいかが? 弁護士 福 山 和 人



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