1. >
佐藤弁護士のなるほど講座

  

弁護士との「打合せ準備」(その3)

今回のお話は、更に引き続いて弁護士との「打合せの準備」についてです。   前回は、裁判など具体的な手続きに移行した後の「打合せの準備」について書 いてみました。  今回は、更に進んで、「証人尋問」に向けての打合せについて書きたいと思い ます。 双方の打合せに対応した反論の書面、証拠が裁判所に提出され、その事件の争 点が、明らかになっていくと、次に、いよいよ「証人尋問」の段階に移ります。 証人尋問では、それまでに、書類、写真等の書証が裁判所に提出されています が、そうした証拠を踏まえて最終的に双方の主張を裏付けるために、原告被告本 人や、関係者から直接裁判官への証言を行うことになります。 「証人尋問」の準備には、2種類あります。こちら側の証人にどう証言しても らうかという面での準備(主尋問の準備)と、相手方の証人に対してどう尋問を 行うかという面での準備(反対尋問の準備)です。 主尋問の準備では、こちらの主張している事実についてどう裁判官にわかりや すく納得してもらうかが重要になります。  一方反対尋問は、相手方の証言をどう突き崩すかと言うことが重要になります。 主尋問の準備にあたっては、それまでに提出した証拠の信用性をしっかりと裏 付けることや、証拠と証拠の関係を裏付けること、証拠が不足している部分を補 充すること等を考えて、準備に当たることになります。 そのため、打合せにおいては、ここが最後の山と考えて、今までの主張をよく 読み、提出されている証拠を見直して、不足している部分がないか、証拠の説明 や関連性の説明をどうするか等、裁判官に理解をしてもらうためにもう一度自分 の考えを整理しておくことが重要です。 この時に、弁護士に任せておけば大丈夫と考えて、証人尋問の準備を他人任せ にしてしまうと、証人尋問の当日に大変苦労をすることになります。 一方、反対尋問の準備においては、感情的に相手は嘘をついているということ を強く迫ってほしいと言うことを強調するのではなく、相手の主張のどの点が事 実に反するのか、相手の主張や証言してくるであろう点のどういう点に問題があ るかを、よく整理することが必要です。  その際、単にこういう話をしていたという言い逃れが可能な話よりも、できる だけ客観的に相手が否定できない事実や証拠を探し出して、弁護士に提供するこ とが重要です。 弁護士も神様ではありませんから、事件当事者の方と同じような情報を事件に いて持っているわけではありません。いかにたくさんの有効な情報を弁護士に提 供するかが、反対尋問を有効に行えるかの決め手になると考えていただきたいと 思います。 裁判は、弁護士と当事者の共同作業です。とりわけ証人尋問の準備では、その ことが大きく問われてきます。                            弁護士 佐 藤 克 昭



<トップページへ>