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岡根弁護士のぼやき論壇

  
  

闘病?生活  〜強制採尿はやっぱり違法じゃないかなぁ〜

 10数年ぶりに、手術入院することになった。  肩の筋が切れてしまったようだ。力こぶができるような大きな筋肉ではなくて、 肩の骨と上腕をつなぐ小さな筋肉が「断裂」してしまった。40代で断裂すること はあまりない、ということだが、ちょっとしたアクシデントで、右肩に全体重が 一気にかかってしまった。元々野球などをして壊れていた肩が、限界を超え、悲 鳴を上げたようだ。  鍵盤断裂の場合、ほっておいても、勝手にくっつくことはない。2〜3ヶ月たっ ても右腕が支えなしでは上がらない状態だったので、手術をすることになった。  手術自体は、寝ている間に終わっていた(全身麻酔で行うので、手術室に入っ てしばらくしたら意識がなくなり、次に気がついたら手術は終わっていた)。何 をどうしたのかは、事前の説明で想像するしかないが、麻酔から覚めるまでの数 時間(6時間くらい)は、ものすごくしんどかった。水を飲むのが解禁になる4〜 5時間後に一口冷水を口にしたときは、本当に生き返った気分だった。  そのままベッドの上で動けない状態でだいたい24時間。左腕には点滴が、下腹 部にはカテーテルが挿入されており、右腕の脇の下には空気枕のようなものが取 り付けられていた。  カテーテルを抜くときは、ものすごく気持ち悪かった。かなり長い管が入って おり、膀胱までは結構長いものなのだと変に感心してしまった。その後、しばら くは、尿道に傷ができてしまったようで、おしっこに血が混じり、トイレに行く 度に痛みと闘うことになる。  受験生の頃に、覚せい剤犯罪の捜査でカテーテルを使って強引に尿を採取する 「強制採尿」は違法か否か、という論点があって、判例は適法と判断しているの はどうか、等を議論したことを思い出した。  当時は、やむを得ないのかなぁ、ということで、渋々適法と考えていたが、い まは、違法だと思う。いくら犯罪捜査のためであっても、生理作用のひとつであ る排尿の度に苦痛を伴うような処分は、やっぱり認めるべきではない。適法と判 断した裁判官は、カテーテルを挿入されたことがないんだろうな。いまでは、捜 査手法としては、定着してしまっている観があるけど、判例の基準さえ満たして いない安易な「強制採尿」がまかり通っている。というより、抵抗しても強制採 尿が認められるので、「任意提出」がなされているというのが現状なのだろう。                             弁護士  岡 根 竜 介



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