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黒澤弁護士の"知ってますか"


   

離婚後の手続はどうしたらいいの?

 今回は調停・裁判離婚後の手続について考えてみたいと思います。様々な苦労を経てよ うやく調停ないし裁判で離婚が成立したとしても、まだそれで全てが終わったわけではあ りません。調停や裁判で離婚が成立した後も、役所に届け出をしたり、子供がいる場合は 子供の姓の問題を解決しなければなりません。今回は調停・裁判離婚成立後の手続につい て簡単にまとめてみました。 第1 離婚届について  1.提出書類   (1)離婚届(役所に備え付けてあります)   (2)判決離婚の場合    @判決謄本、A確定証明書、B身分証明書(運転免許証,外国人登録証明書,パス    ポート、身体障害者手帳,住民基本台帳カードなど官公署が発行した顔写真付きの    本人確認書類)   (3)調停離婚の場合    @調停調書謄本、A身分証明書  2.提出先    夫婦の本籍地又は住所地の役所  3.提出期限    判決の場合は、確定日から10日以内。    調停の場合は、成立日から10日以内。    *10日を過ぎても問題はないが、始末書を窓口で書かされる。  4.戸籍と氏について   ・離婚届には、婚姻前の姓に戻る方の戸籍について記載する欄があります。離婚する    際は、あらかじめ離婚後の戸籍と姓について決めておかなければなりません。   ・離婚後の戸籍と姓の選択には、3通りの方法があります。     @婚姻前の戸籍と姓に戻る(原則)     A婚姻前の姓に戻り、自分を戸籍筆頭者とした戸籍を新しく作る     B離婚後も婚姻中の姓とし、自分を戸籍筆頭者とした戸籍を新しく作る 第2 氏について  1.原則    婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、離婚によって法律上当然に婚姻前の氏に復し    (協議離婚の場合は民法767条1項、裁判離婚の場合は民法771条)、原則と    して婚姻前の戸籍に入籍することとなります(戸19条1項)。  2.例外(婚姻時の氏をそのまま使用する場合)   (1)離婚の日から3ヶ月以内に、「離婚の際に称していた氏を称する届」(いわゆ     る婚氏続称の届出(戸77条の2))をした場合には、離婚の際に称していた氏     を称することができます(民767条2項、771条)。   (2)手続き      婚氏続称は、離婚の届出と同時にすることができます。離婚の際に称していた     氏を称する届を離婚届に添えて提出すれば、提出手続きは1回で済み、提出し忘     れることもありません。婚氏続称の届出書は役所に備え付けてあります。 第3 子の氏について  1.離婚届を提出しても子供の戸籍と姓は、離婚前と同じです。両親の離婚による影響    を受けません。例えば、父親が戸籍の筆頭者であった場合、母親が離婚をして新戸    籍となっても、子供は依然として父親の戸籍に入ったままです。なぜなら、一つの    戸籍には同じ氏の人しか入籍できませんが、親が婚氏を続称した場合でも、その親    の婚姻中の氏(これが子の氏)と離婚後に続称の手続きをとった氏とは法律上別の    氏であるから、その親と子の氏は異なることになるからです(ex同じ山田姓でも    法律上は別の姓となる)。    したがって、親は、子に自己と同じ氏を称させなければ、子を自己の戸籍に入れる    ことができません(戸18条2項)。    そこで、婚氏続称をした場合でも親が子を自己の戸籍に入れたい場合には、「子の    氏の変更許可申立」(民791条、家審9条1項甲E)をする必要があります。  2.子の氏の変更許可申立手続   ・申立をする裁判所は、子の住所地を管轄する家庭裁判所です。書式は家庭裁判所に    用意されています(簡単な手続ですので、弁護士を入れる必要はないと思います)。   ・申立人は、法定代理人(親権者)です。子供が15歳以上の場合は、本人が氏の変更    の許可を申し立てることになります。   ・準備するもの(@申立書、A子の戸籍謄本、B子が入る予定の親の戸籍謄本)   ・後日家庭裁判所から審判書が届きます。  3.お子さんの入籍届け出   ・上記手続をとって家庭裁判所の許可(審判書)をもらっても、直ちに子の氏が変わ    るわけではありません。別途入籍届をしなければ子の氏は変わりません。「入籍の    届け出」をする必要があります。   ・届出人は、法定代理人(親権者)です。子供が15歳以上の場合は本人です。   ・届出地は、入籍する者(子)の本籍地、又は届出人の住所地のうちいずれかの市区    町村です。   ・準備するもの(@届出書、A審判書謄本、B本籍地外に届け出するときは戸籍謄本    も必要です。)    弁護士  黒 澤 誠 司



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