1. 母の扶養を条件に兄が父の財産を相続したが
相続関係の相談

母の扶養を条件に兄が父の財産を相続したが

Q.母の扶養を条件に土地建物は兄が相続する、という父の遺言で、これまで母と兄は同居してきました。ところが、最近、兄との同居はイヤになったと、母から相談を受けました。私のところで母を引き受けることは、夫との関係もあって難しくどうしたらよいでしょうか。土地と建物の名義はすでに兄のものになっています。

 
A.お父さんの遺言は、遺産相続させる代わりにお母さんを扶養するという義務を課すもので、負担付遺贈と呼ばれるものです。

  お兄さんはこの遺贈を受け取ったわけですから、お母さんを扶養する義務があります。
  お兄さんがこの扶養義務を実行しないときは、相続人が履行を催告し、それでも実行がないときは、家庭裁判所に遺贈の取消を請求することができます(民法1027条)。

  もっとも、お母さんを扶養するといっても、扶養の具体的な内容や方法が明確だというわけではありません。
  お父さんのいう扶養とお母さんやあなたが期待していた扶養とお兄さんの考えている扶養と、それぞれ内容が方法が異なっているのかもしれませんし、一般的に言っても、同居することだけが扶養ではなくて、生活費を援助するという方法もあります。
  遺贈を受けた土地建物の財産的価値やそれまでのお母さんの生活状況なども考慮しなければならないでしょう。
 
  まずは、お兄さんと話し合ってください。話し合いが困難であれば、家庭裁判所へ調停の申し立てをして、決めていくことができます。