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福山弁護士の「飲み法題」


       

交通事故を起こしたらどういう責任が発生するか。

 交通事故を起こすと、加害者には、@行政上の責任、A刑事上の責任、B民事上の責任 の3つの責任が発生します。 @ 行政上の責任    行政上の責任とは、公安委員会から運転免許の停止や取消し等の行政処分を受ける   という意味での責任のことを言います。    事故を起こすと、事故の内容・程度に応じて、事故点数がつきます。例えば死亡事   故だと、責任の程度が重い場合20点、軽い場合13点、傷害事故だと、障害の程度   や責任の軽重に応じて2〜13点の点数がつきます。 また、事故の際、何らかの交   通違反も犯していれば、違反点数もつきます。例えば、救護義務違反(ひき逃げ) 2   3点、酒酔い運転25点、酒気帯び運転13点、無免許19点等です。    そして、過去3年以内に免停などの行政処分を受けたことがない場合は、点数が6   点以上で免許停止、15点を超えると免許取消となります。 A 刑事上の責任    刑事上の責任とは、裁判所から刑罰を科されるという意味での責任のことを言いま   す。交通事故は道路交通法上、犯罪とされています。    例えば、人身事故を起こして被害者を死傷させた場合は、自動車運転過失致死傷罪   (刑法211条2項)に該当し、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の   罰金に処せられます。この点、従来は業務上過失致死傷罪(刑法211条1項)に該   当し、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金とされていたものが、   2007年5月の刑法改正(2007年6月12日施行)によって、自動車運転を誤   ったことによる死傷事件については法定刑が引き上げられました。    また、悪質な交通事故を防止するために、新たに危険運転致死傷罪が設けられ、?   飲酒や薬物による酔払い運転、?スピードの出しすぎや無免許運転などの技能の欠如、   ?割り込み・幅寄せなどの妨害、?信号無視、によって人を死亡させた場合、1年以   上の有期懲役(最高20年、2つ以上の罪に該当する場合は最高30年)、怪我させ   た場合は15年以下の懲役に処せられます。    また、交通事故を起こした際に、何らかの交通違反も犯していた場合、重大な違反   に対しては刑罰が科されます。例えば、スピード違反は6月以下の懲役又は10万円   以下の罰金、信号無視は3月以下の懲役又は5万円以下の罰金等々。しかし、全ての   違反に対して、裁判を開いて刑罰を科すとなると裁判所がパンクしてしまうので、比   較的軽微な交通違反については、反則金を納めることにより、刑罰を免除できること   になっています。いわゆる青キップによる反則金制度です。    ただ、飲酒や無免許運転、30キロ(高速道路は40キロ)以上の速度超過などの   悪質な違反行為については、反則金制度は適用されず、刑罰が科される(前科がつ   く)ことになるので、注意してください。 B 民事上の責任    民事上の責任とは、交通事故により被害者に生じた損害を賠償すべき責任のことで   す。    人身事故の場合は、治療費、付添費用、入院雑費、通院交通費、休業損害、傷害   (死亡)慰謝料、後遺症慰謝料、後遺症(死亡)逸失利益、葬儀費用、弁護士費用等   の損害が発生します。    物損事故の場合は、車の修理費(全損の場合は買換費用)、評価損、代車費等の損   害が発生します。    加害者は、それらの損害のうち、事故と相当因果関係が認められる範囲の損害につ   いて賠償責任を負うことになります。但し、加害者にも事故の発生について何らかの   過失がある場合には、その程度に応じて、賠償すべき割合を軽減することになります   (過失相殺)。    民事上の損害賠償の金額や算定基準の詳細については、弁護士に御相談下さい。 弁護士 福 山 和 人



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