1. 入管法「改正」断念!
岡根弁護士のぼやき論壇

入管法「改正」断念!

「入管法今国会改正断念」 今朝の新聞の1面を占めています。

喜ばしいことです。 市民の力が、検察庁法改悪阻止に続いて発揮されました。
 しかし、なぜこんなことで喜ばないといけないのでしょうか。入管法については、国連の人権条約機関から再三問題を指摘され、改善を求められてきていました。2007年には拷問禁止委員会から「収容に上限を設けるべき」、2014年には自由権規約委員会から「独立した審査もない中での長期にわたる行政収容があることを懸念」、2020年には国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会から「入管収容は恣意的拘禁にあたり国際法違反である」とまでいわれている、今の存在自体が問題のある法律です。
 それを、改正するはずであったにもかかわらず、今回の「改正」案は、なんと、更に問題を大きくして国際法違反の程度を深めるものだったのです。 こんな法案を、このコロナ対策を第1にしないといけないときに、国会に持ち出すこと自体がとんでもないことだったのです。 本来であれば、今回の廃案だけではなく、収容期間に上限もない、司法救済もないに等しい、そんな今の入管法の改正こそ求められているのです。
 そもそも、日本の行政は、難民に対して、冷徹に過ぎます。 本国に帰れば、生命さえも保証されない人でも、難民認定を拒絶して、本国に送り返しているのです(自費で)。 日本で生まれ育って、日本語しか話せず、日本にしか身寄りのない、そんな日本でしか生きていけないような人(外国籍)に対しても、生活基盤の全くない「本国」に帰れ、という政策を採っているのです。このような事態をこそ見直して、国際法違反にならないような入管法に改正することが本当は求められています。
 それはともかく、今回のとんでもない改悪を阻止できたことは、素直に喜ばしいことです。 

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