1. 「受刑者 手錠を外して出産へ」
岡根弁護士のぼやき論壇

「受刑者 手錠を外して出産へ」

12月30日の東京新聞のニュース「受刑者 手錠外し出産へ」というのがあった。

 といことは、これまでは、収監されている人が妊娠をしており出産をするときには、手錠をしたままの状態だったということなのか。 記事によると、これまでは、片手に手錠をしその手錠に付けた縄を刑務官が持っていた、ということで、医師の指示により外すこともあったという。
 逃亡のおそれを過剰なまでに危惧して身体拘束をする今の司法の発想からすると、そうだったんだやっぱり、、、、というところだが、なんと異常な制度なのだろうか、とあきれてしまう。
 出産は、母子の生命の危険さえも生じかねない場面であり、逃亡どころ騒ぎではないであろう。 刑務官がついているのであれば、分娩室の外で待っているだけで、仮に逃亡を図ろうとしても対処できそうな気がする。そもそも、分娩室に入っているということはまさに出産の直前(数時間から数日かかることはあるとしても)であり、そんな出産直前や出産直後に「逃亡」などの行動がとれる状態であるとは考えられない。 まぁ、可能性はゼロではないのだろうが、そんなおおよそ考えられないような低い可能性のために、手錠をはめたままの出産を強いられるとはなんとおそろしいことか。
 これを機に運用が変更されるようであるが、遅きに失したとしか思えない。
 こんなことをしていて、本当に「更生」につながると考えているのだろうか。 それとも、今の受刑には、本人の更生や再社会化は、発想にないのだろうか。 なんと悲しい社会であることか。

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