1. 執行猶予?
岡根弁護士のぼやき論壇

執行猶予?

とある新聞に次のような記事が載っていた。

「法務省は3日、懲役や禁錮刑の一部を執行した後に残りを猶予する「一部執行猶予制度」の創設を盛り込んだ刑法改正案など関連法案を次期臨時国会に提出する方針を固めた。
 一部執行猶予制度は、実刑と執行猶予の間の中間的な処遇として導入する。刑務所に初めて入る人のほか、3年以下の懲役や禁錮の判決を受ける薬物使用者に適用することを想定している。同省は、出所後も保護観察を続けて社会の中で受刑者の更生を図ることで、再犯防止を期待している。」

結局、「中間」といっても、宣告される側は、明らかに「実刑」なわけで、刑期の一部についてのみ執行猶予扱いになるに過ぎない。

心配するのは、これまでなら執行猶予が付いていた人について、刑期の一部については「実刑」として刑務所でのお勤めをしなければならないというケースが増えないだろうか、ということだ。

「即決裁判」(あまり利用はないようだが)ができたおかげで、これまでなら起訴猶予になっていた人が、執行猶予付きではあっても有罪として「前科」がつくようになってしまっているのではないか、という感じの、判決版という気がしてならない。

あまり好ましい制度とは思われない。

弁護士紹介TOP