1. 禁止区域侵入
岡根弁護士のぼやき論壇

禁止区域侵入

新燃岳の規制区域に観光客らが侵入するケースが後を絶たないとの報道がされている。

問題となっている場所が市道なので、何か問題があると、市側に管理責任も生じかねない。しかし、危険だからと侵入防止の標示等をして危険回避を呼びかけているのに、そこで何らかの被害(土石流に巻き込まれたり、噴石の直撃を食らうなど)があった場合にまで、侵入を食い止めなかったとして、何らかの責任が国や地方自治体に生じるのだろうか。

火山活動によるようなケースは、見た限り見つけられなかったが、台風などの異常気象時の道路設置管理の瑕疵が問題となったケースは、少数ながらあるようだ。

一般的な基準としては、「当該道路の構造、場所的環境、利用状況等の具体的、個別的状況に応じ、通常予測可能な危険に対する安全措置が講じられていない場合」には、瑕疵が認められることになるといえる。ただ、この基準では、なんかいろいろ検討して危ないなぁと一般的に思えるのに何も対処しなかったら責任あるよ、といっているくらいで、具体的なケースに当てはめてすぐに答えが出てくるというようなものでもなさそうだ。

危険を承知で、危険な場所にあえて近づき、危険が現実化したら、常識的には、「自業自得」、他人の責任を問題にはできないですよ、ということにはなりそうである。

最近、スキー場でも、禁止区域に侵入して「要救助」という状態になった場合、自費でしか救助しません、と表示されているゲレンデもある。さもありなん、というところだが、この発想を山登りなどの場面に安易に持ち込んで欲しくはない。

いずれにせよ、万が一のことが生じた場合、救助に向かった人が巻き込まれるなど、二次被害も生じる危険があるのだから、危険区域への侵入は控えた方がいい。自己責任、という話だけでは済まないこともありうるのですから。

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