1. 集団的自衛権についての権力者の”嘘” ~ その10
小笠原弁護士の“知っ得”

集団的自衛権についての権力者の”嘘” ~ その10

 自民党および安倍首相は、同じ政権与党である公明党への配慮そして国民からの批判を回避するために、たいへん気になる言い方をしています。

 というか、ほんとうに丸わかりの嘘をついています。

 それは、これまでの政府の憲法解釈との比較で、今回の閣議決定は、憲法解釈の変更ではない、解釈の整理に過ぎない、基本的な考え方は変わっていない、表現もほとんど変わっていない、という嘘です。

  ですから、解釈改憲であることを前提とした質問に対して、異常な反応で、解釈改憲ではない、これまでの憲法解釈の基本的な考え方を変えていない、解釈を整理しただけだと説明するのです。

  みなさんもご存じのとおり、自民党と公明党は、一緒に政権を担当する際に政策合意をしています。

 その合意内容に、集団的自衛権の行使容認は含まれませんでした。

 正確に言えば、自民党・安倍首相は、当時、すでに集団的自衛権の行使容認に向けて積極的な発言を繰り返していました。

 これに対し、公明党は、集団的自衛権の行使に反対するという立場を明確にしていました。

 この政策課題について、自民党と公明党は異なる立場を国民の前に示していたわけですから、政権合意がどうなるのか、注目されていたわけです。

 結論は、盛り込まれなかった。

  憲法9条の下で集団的自衛権の行使は「許されない」とする立場から「許される」とする立場に「なる」わけですから、それだけで、この「なる」の意味が「変わる」という意味だと、小学生でもわかることです。

 今回の閣議決定にいたる経過を見れば、その「変わる」ことが極めて重大に「変わる」ことであることも明らかです。

  権力者は、これからも、この嘘ははっきりとつき続けます。見ててくださいね。

 

            弁護士 小笠原 伸児