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小笠原弁護士の“知っ得”

集団的自衛権についての権力者の"嘘" ~ その14

 いわゆる限定容認論、厳格な縛り論は、限定にも厳格な縛りにもなっていない、新三要件の有無は政府の総合的判断によるというわけだから、集団的自衛権を行使するかどうかについて、権力者にフリーハンドを与えるものだと書きました。

 
 この点に関連して、もう一つ、個別的自衛権の行使に関しても、新三要件が権力者の権限行使を緩める効果があることに気づきました。

  従来の個別的自衛権の行使第1要件は、

 
 外国の武力攻撃によって、国民の幸福追求権が根底から覆されるという、急迫、不正の事態への対処であること


でしたね。外国からの武力攻撃の発生という明確な要件が、権力者への縛りになっていました。


  ところが、閣議決定以降の、自衛隊法改正論議に関し、現に外国からの武力攻撃を受けていなくても、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるときは、個別的自衛権の行使も許されるという議論が始まりました。

  その背景には、アメリカの先制的自衛権論(やられる前にやっつけてしまっても自衛だ)がありますが、それだけではありません。

 権力者は、わが国が攻撃を受けていなくても、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があれば、ぎりぎりの自衛措置の範囲内として武力行使が許されると強弁してきました。

 その論理の延長として、個別的自衛権の行使要件も、たががはずれた、たがをはずしたのです。


            弁護士 小笠原 伸児

略歴

長野県下伊那郡阿智村で出生し、その後、熊本県八代市そして愛知県豊明市と引越をし、名古屋市立向陽高校を卒業の後、立命館大学に入学して、以降京都在住。立命館大学法学部卒業。

1991年
弁護士登録(43期)して京都法律事務所へ入所

2005年
京都弁護士会副会長
市民運動として、定住外国人の地方参政権をめざす市民の会事務局長、守ろう憲法と平和きょうとネット代表幹事、STOPイラク派兵・京都共同代表を歴任。

2008年
憲法9条京都の会事務局長

一般民事事件、不動産取引関係、借地借家関係、交通事故関係、損害賠償関係
破産、債務整理、個人再生、強制執行、執行保全
遺産紛争、相続、遺言、離婚事件、親族間紛争、親子養子関係
労働事件(解雇、雇い止め、未払賃金、未払残業、労使紛争)
刑事事件、少年事件、行政訴訟その他

弁護士の業務は法律相談から始まります。相談を聞く際には、相談者の願いや要求あるいは悩み等を受けとめて、その上で、 法律家として、プロとして、最も良い解決方向を考えるようにしています。法律解釈だけでは、本当の紛争解決にならないこともあることを肝に銘じながら、身近な人たちの感覚や感性、気持ちの持ち方、常識を大切にしたいと考えています。
また、関与している社会的な活動分野は、主に憲法平和問題や教育問題、参政権問題等です。