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小笠原弁護士の“知っ得”

集団的自衛権についての権力者の"嘘" ~ その13

 権力者が、憲法9条の重大な解釈変更であるにもかかわらず、基本的な考え方は変わっていない、解釈の整理に過ぎない、憲法の改正も必要ではない、というあからさまな嘘を吐いていることは何回も書きました。


 もうひとつ、権力者にとって重大な嘘は、新しい3要件が憲法上の明確な歯止めになっている、限定的である、国会によるチェックの仕組みもある、という嘘です。


 新しくなった三要件のうちの、集団的自衛権に関する部分は

 ①わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること

  ②これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと

  ③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

です。


  権力者は、集団的自衛権の行使を限定するために、「おそれがあること」から「明白な危険があること」へと縛りをかけたのだといいます。

  しかし、他国に対する武力攻撃によりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があると認められるのかどうかは政府の総合的な判断によるとするのが、政府の説明です。

  存立が脅かされるとか、権利が根底から覆されるとか、明白な危険があるとか、厳格で限定的な要件だといいますが、要するに、その時々の政府の裁量で判断するというわけですから、フリーハンドを与えていると同じです。


  権力者は、自分の手足が縛られるのを嫌がるわけですね。

 

            弁護士 小笠原 伸児

 

略歴

長野県下伊那郡阿智村で出生し、その後、熊本県八代市そして愛知県豊明市と引越をし、名古屋市立向陽高校を卒業の後、立命館大学に入学して、以降京都在住。立命館大学法学部卒業。

1991年
弁護士登録(43期)して京都法律事務所へ入所

2005年
京都弁護士会副会長
市民運動として、定住外国人の地方参政権をめざす市民の会事務局長、守ろう憲法と平和きょうとネット代表幹事、STOPイラク派兵・京都共同代表を歴任。

2008年
憲法9条京都の会事務局長

一般民事事件、不動産取引関係、借地借家関係、交通事故関係、損害賠償関係
破産、債務整理、個人再生、強制執行、執行保全
遺産紛争、相続、遺言、離婚事件、親族間紛争、親子養子関係
労働事件(解雇、雇い止め、未払賃金、未払残業、労使紛争)
刑事事件、少年事件、行政訴訟その他

弁護士の業務は法律相談から始まります。相談を聞く際には、相談者の願いや要求あるいは悩み等を受けとめて、その上で、 法律家として、プロとして、最も良い解決方向を考えるようにしています。法律解釈だけでは、本当の紛争解決にならないこともあることを肝に銘じながら、身近な人たちの感覚や感性、気持ちの持ち方、常識を大切にしたいと考えています。
また、関与している社会的な活動分野は、主に憲法平和問題や教育問題、参政権問題等です。