1. 「おひとりさま」支援における弁護士の役割(業務改革シンポジウム)
女性弁護士の法律コラム

 
(女性弁護士の法律コラム NO.248)
 
9月7日土曜、35度を超える残暑厳しい京都市内で、日本弁護士連合会主催の「弁護士業務改革シンポジウム」が開催され、全国から弁護士が集まった。
場所は、同志社大学今出川キャンパス。
弁護士業務に関わる分科会が午前と午後合わせて11あったが、私は、午後2時から5時までの「『おひとりさま』支援における弁護士の役割」という分科会に参加した。
 
 

 
日本の総人口1億2671人のうち27.7%が65歳以上である(2017年)。
また、単独世帯中、65歳以上の単独世帯は、2015年現在32.6%を占めている。
私の依頼者の中にも、高齢で一人暮らしの方が少なからずおられる。
これまでのように単に「遺言」を書いて死後に備えればすむというような時代ではなく、「おひとりさま」は、今現在を一人で生きていくのに様々な問題を抱える可能性がある。
また、私自身としても遅かれ早かれ歩む道でもある。
そんな自分の人生と仕事との双方の関心から、この分科会を選んだ。
 
会場はほぼ満席。
 

 
まず、元朝日新聞論説委員の川名紀美さんから「ひとりで生きる、みんなで活きる~友だち近居、11年の現実」と題する基調講演があった。
川名さんは、一緒に住める女性を募り、集まった7人で勉強会を重ね、2008年9月から兵庫県尼崎市の新築マンションの中で「友だち近居」生活を送っている。
このことは、NHKでも放映されたことがあり、私もたまたまその番組を観ていた。
同世代の「おひとりさま」が同じマンションのそれぞれの部屋で生活し、互いに行き来したり、定期的に勉強会やイベントを開くというのは、理想的な生活のように感じていた。
但し、「互いの介護はしない」というのが約束事。
それでも、気にかけてくれる人が近くにいるというのは心強い。
健康等の理由で、互いの関係に変化があるのはやむを得ない。
 
次は、弁護士と社会福祉協議会の方からの実践報告、それに続きパネルディスカッション。
任意後見契約は、認知症等によって判断能力が低下した時点で効力が生じるものであるが、それまでの期間はどのような「見守り」契約ができるか、身寄りの無い人の入院時の身元保証契約はどうするか・・・「おひとりさま」が抱えるであろう問題点に弁護士としてどこまでどのような支援ができるか、どこの機関などと連携すれば良いかなどが紹介された。
 
とても勉強になった分科会だった。
 
 

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