1. 検察、企業などから令状なしでの顧客情報入手リスト
女性弁護士の法律コラム

 
(女性弁護士の法律コラムNO.244)
 
検察当局が、顧客情報を入手できる企業など計290団体についてリストを作り、内部で共有していることが判明しました。情報の大半は裁判所など外部のチェックが入らない「捜査関係事項照会」で取得できると明記されています(2019年1月4日付け京都新聞朝刊)。
 
私たちは、クレジットカード作成、ポイント発行、交通関係のカード作成などの際に、自分の個人情報を企業に与えています。
それによって、各企業は、膨大な個人情報を保有することになります。
但し、それはその企業に対して明らかにしたにすぎず、その情報が他に渡るなどとは思っていません。
 
しかし、今回判明したリストは、最高検察庁が捜査への活用を目的に、警察の協力を得て作成し、検察内部のサーバーに保管、随時更新しています。
顧客情報は、公共交通機関や商品購入の履歴といった個人の生活に関わるもので計約360種類もあります。カード作成時に提出された運転免許証などの写しや顔写真も含まれるとのこと。
 
しかし、「捜査関係事項照会」は、捜査当局が独自に企業側に出す要請にすぎず、捜査に必要かどうか裁判所などの外部チェックは働きません。取得後の使用方法も不明で、漏洩のリスクもあります。
 
憲法は、裁判所の令状に基づかない住居や書類、所持品への侵入、捜索、押収を禁じています(35条)。
上記のような検察の情報照会は、令状主義を定めた憲法に反していることは明らかです。
2017年には、最高裁が、捜査対象者の車に衛生利用測位システム端末を令状なく取り付ける警察の「GPS捜査」を違法と判断しています(「法律コラム:刑事」に掲載)。
 
令状なしの個人情報漏洩を禁止する厳格なルール作りが求められています。
 
 
 
 

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