1. 弁護士特約を利用して交通事故の示談交渉、そして奨学金の返済
女性弁護士の法律コラム

 
(女性弁護士の法律コラム NO.240)
 
今年1月末に、私の郷里の岐阜に住む友人と3月に大学卒業を控え就職も決まった娘さんと3人で食事をする機会があった。
その際、娘さんが昨年春、自転車に乗っていて車と衝突し負傷するという交通事故に遭ったこと、加害者側保険会社が医療機関に支払っていた治療費が昨年12月で打ち切られたこと、示談がまだ未解決であること等を聞いた。
友人は、これからどのように加害者側保険会社と交渉したらよいかわからないと困っていた。
 
私の友人は車を所有しているので、私は「あなたが掛けている車の任意保険に弁護士特約はつけていない?」「もし、つけているなら、娘さんの自転車事故にも利用できるかもしれないので、適用があるかどうか尋ねた方がいい」「そして、弁護士特約が利用できるなら、弁護士費用は、あなたの任意保険会社が出してくれるから、弁護士に頼んで示談交渉をしてもらった方がいい」などとアドバイスした。
そのようなやりとりの中で、娘さんが大学時代、奨学金を借りており、事故の示談金が入れば、3月下旬までの期限に、借り入れた奨学金の元本の返済の一部に充てたいという気持ちを持っていることもわかった。
 
まもなく、友人から、弁護士特約が利用できることがわかった、ついては、私に依頼できないかという連絡があった。
 
事故現場は岐阜市内で、私たちの距離が京都と岐阜で離れていることが気にかかったが、娘さんから話をあらためて聞くと、示談での主な争点が慰謝料であることがわかったので、受任することにした。
どんな事件でも受任した以上、打ち合わせは、面談が原則である。
ただ、この件は、例外的に、郵便・FAXそして主にはメールと電話で打ち合わせをすることにした。
娘さんからは、できれば3月下旬の奨学金返済期限に間に合えば嬉しいという要望も寄せられた。
正式に受任したのがもう2月に入っていたので、その時点では、3月下旬までに解決するかどうか不明であった。
 
インターネットなどには書かれてあるサイトがあるが、一般的に、交通事故の示談交渉の場合、弁護士に依頼しないで当事者が交渉する場合の慰謝料の金額と弁護士が交渉する場合の慰謝料の金額(弁護士基準)とは、後者の方が高額になる。
だから、弁護士特約があれば、弁護士への着手金や報酬は保険会社が支払うので、私は友人に「弁護士特約が利用できるのであれば、弁護士に依頼した方が良い」とアドバイスしたのだ。
 
私は、娘さんから、交通事故にあって負傷して大変だったことや困ったこと等(慰謝料の事情)を可能な限り詳しく聞き取り、加害者側保険会社の担当者と何回か交渉した。
その結果、3月始めには示談が成立し、示談金の支払いも奨学金返済期限に間に合わせることができた。
 
友人と娘さんから喜んでもらい、私も役に立てて良かったと思う。
娘さんには、ほんの少し、大学卒業と就職の「お祝い」となったかな。
 
 
 
 

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