1. 元厚生労働省事務次官村木事件の元担当検事前田恒彦氏が語る
女性弁護士の法律コラム

 
(女性弁護士の法律コラム NO.216)
 
当時、厚生労働省事務次官であった村木厚子さんが最高検察庁によって逮捕されたのは2010年9月。
その後、大阪地検特捜部の前田恒彦検事(当時)が証拠のフロッピーを改ざんしたことが明るみとなり、村木さんは無罪となった。
他方、前田氏は、その後、実刑判決を受け、受刑者となった。
 
2014年5月、京都弁護士会は、前田元検事を招き、全面証拠開示・全面可視化のシンポジュウムを開催した。
前田氏服役後、初めての講演だった。
彼が語る捜査の実態は生々しくリアルで、被疑者・被告人にとって有利な記述の削除や不利な供述だけを調書にする方法が実際に行われていると語った。
 
そして、前田氏は、今年1月5日までに、共同通信の取材に応じた(2016年1月6日付け京都新聞朝刊)。
証拠改ざんについては「最低でも官僚の立件」という誤った方針が先にあって罪を犯したこと、証拠は「検察のもの」として不利なものは隠すという歴史の末に改ざん事件があるなどと回想した。
「独善的な正義感に酔いしれていた」と当時を振り返るとともに、全事件での取り調べの録音・録画(可視化)の義務づけや被告人・弁護側に全証拠開示する必要性を強調した。
 
前田氏の事件以後も、検事が取調室で被疑者にカッターナイフを示したり、自白と引き換えに便宜を持ちかけたりする問題が表面化し、検察庁の体質は変わっていないのではないかと思わざるを得ない。
 
前田氏には、様々な所から「圧力」があるようだが、それらに屈せず、どんどん発言し、検察機構を改革する力となってほしいと思う。
 
 

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