1. 垣間見た「貧困」
女性弁護士の法律コラム

垣間見た「貧困」

 
(女性弁護士の法律コラム NO.206)
 
Eさんの事件を担当し始めて、途中、空いた年月はあったものの、もう数年が経過する。
長いつきあいになった。
Eさんは、60代後半で、一人暮らしの女性だ。
 
通常、事件を担当していても、依頼者のプライバシーのことは、事件に必要な範囲あるいは雑談程度にしか聞くことはない。
Eさんも、高齢者の域には入ってきたが、パートで頑張って働いていると聞いていたので、普通に生活しているものと思っていた。
 
ところが、最近になって、借家の家賃を滞納していることがわかり、相談を受けた。
必然的に家計状況を尋ねることとなり、かなりの金額の家賃滞納と、ほかにも借金があることがわかった。
元々、計画的に金を使えない性格であることは、知っていたが、反省して、堅実に生活しているものと思っていた。
 
「食事はどうしているの?」と尋ねると、節約のため、ほとんど毎日おにぎりなどですませているとのこと。
それでも「葬式代だけは貯めてますから」と言う彼女。
「死んだ後より、生きてる今の方が大事じゃないの!」と腹が立ったが、日本人やなあと哀れささえ感じた。
 
お中元でいただいたサラダ油があったので、それをさしあげたら、「これで、もやし炒めができる」と嬉しそうだった。
 
Eさんは大金を手にしていた過去もあり、自業自得と言えば、それまでだが、高齢になり、今はまだ元気で働けているが、これから先が心配だ。
 
 
 

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