1. 講演 「子どもの貧困と学校給食問題」
女性弁護士の法律コラム

講演 「子どもの貧困と学校給食問題」

 
(女性弁護士の法律コラム NO.187)
 
数ヶ月前、高校の後輩から、岐阜県のある地区の公立小中学校事務職員の研修会での講演を依頼された。
当初、依頼されたテーマは「学校給食の未納問題について」。
 
学校給食費を払わない保護者がいることについては新聞で読んだりして知ってはいたが、弁護士として何か事件で関わったり、あるいは研究したりしたことがないので、最初は私は講師としては適当ではないとお断りしていた。
後輩は「滞納者に対し、法的に誰がどのような請求ができるか」「どんな請求方法があるのか」などの法的な解説でいいからと、断る私になおもくいさがってきた。
なんで1労働者である事務員さんがそんなこと考えなきゃいけないの?そんなことは自治体の顧問弁護士が考えればいいことでしょ!と更に私は突き返した。
 
それでも「自由に話してもらっていいから」と引き下がらない後輩の姿勢に、とうとう根負けし、未納対策のような技術的な話でなく、その未納の背景にある社会実態も含めて話をしてよいなら引き受けると言い、ついに講演を受けることになってしまった。
 
それからが大変だった。
まず学校給食費の未納の実態がどうなっているのか。
文部科学省が数年毎に調査をしており、未納額は、ここ数年22億円を超えることがわかった。
また調べていくと、想像どおり、その背景には、子どもの6人に1人が貧困という過去最悪の数字となった「子どもの貧困」ひいては日本社会の貧困そのものがあった。
そもそも学校給食は「教育そのもの」であるにもかかわらず、歴史的に、自治体の歳入扱いにすることも校長の私会計とすることも国は認め、結局、自治体任せになっているという驚くべき実態が続いていることもわかった。
 
11月25日、約100名の事務職員の皆さんを前に「子どもの貧困と学校給食問題」という演題で講演を行った。
昨年6月「子どもの貧困対策推進法」が成立し、今年8月にその大綱が閣議決定されたことも話の中に盛り込むことができ、その意味でもタイムリーだった。
 
専門外の内容だったため、始めはどうしようかとかなり不安もあったが、講演準備のために、かなり本や論文も読み、学校給食問題を通じて子どもの貧困をあらためて考える機会となった。
 
とても勉強になった。
 
 

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