1. ヘイトスピーチ対策を口実としたデモ規制の動き
女性弁護士の法律コラム

 
(女性弁護士の法律コラム NO.178)
 
国連人種差別撤廃委員会は、2014年8月29日、日本政府に対し、ヘイトスピーチ(憎悪表現)問題に「毅然と対処」し、法律で規制するよう勧告する「最終見解」を公表した(2014年8月30日付け朝日新聞朝刊)。
 
裁判所(京都地裁と大阪高裁)もヘイトスピーチについて損害賠償を認める判決を下している。
 
ところで、自民党。
8月28日にヘイトスピーチ対策のプロジェクトチーム初会合が開かれたが、議論は、国会周辺のデモや街頭宣伝活動にまで及んだ。
「(大音量デモで)仕事にならない状況がある。仕事ができる環境を確保しなければいけない。批判を恐れず、議論を進める」(高市早苗政調会長)。
 
国会周辺での原発反対や秘密保護法反対などの国民の声が彼らにとっては、仕事にならないほど、非常に耳障りのようだ。
 
デモや街頭宣伝で政治的な意見を表明することは、憲法で保障されている重要な「表現の自由」である。
それを、国会議員や政府与党が「仕事にならない」「うるさい」という理由で規制を検討するなど、憲法無視もはなはだしい。
 
ヘイトスピーチ対策を口実に、本来の「表現の自由」まで規制されないよう、しっかりと監視していかなければいけない。
 

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