1. 女性に再婚禁止期間(民法733条)を適用させなかった事例
女性弁護士の法律コラム

 
(女性弁護士の法律コラム NO.155)
 
以前(2011年8月12日)にも、このコラムで書いたことがありますが、民法733条が女性だけに離婚後6ヶ月経過しないと再婚できないと定めていることは、法の下の平等に反し、すごく不合理な規定だと思っています。
 
そんな折り、大学時代からの友人である岩城穣弁護士(大阪弁護士会所属)が、民法733条の再婚禁止期間を適用させなかったという画期的な成果を得たと事務所ニュースで読んだので、紹介します。
 
A子さん(1945年生)は、1969年にBと結婚したが、1989年から別居。その後Bとは音信不通状態。
他方、A子さんは1993年頃からCと同棲を開始し、事実上の夫婦として暮らしてきた。
A子さんとBは2011年11月に離婚が成立したが、内縁の夫Cが末期ガンであることが判明。すぐにでもCとの婚姻届を出したいが、民法の規定に従って離婚後6ヶ月も待っていたら、Cは死んでしまうかもしれない。
A子さんは、既に60代で民法733条が危惧するような妊娠の可能性はない。
 
そこで、A子さんは、弁護士と相談し、Bとの離婚届とCとの婚姻届の両方を役所を提出することにしました。
すると、戸籍係から電話があり、岩城弁護士はこれまでの経緯を説明し、受理しなければ国家賠償請求訴訟も辞さないと強く申し入れました。
またA子さん自身も役所に一生懸命説明したところ、なんと婚姻届は受理されたそうです。
Cはその2ヶ月後に死亡されたそうです。
 
民法733条は、離婚後6ヶ月以内の再婚を認めると、前婚か後婚かどちらの夫の子どもかわからなくなるのでそれを防ぐというのが立法趣旨です。
しかし、再婚が認められなくても、妊娠してしまう女性もいるでしょうし、現在はDNA鑑定によりかなり高い確率で親子関係は判定できます。
また、A子さんのように、そもそも妊娠する可能性がない女性もいます。
最高裁は、未だに民法733条は違憲ではないとしていますが、どう考えても不合理な規定です。
 
岩城弁護士も書いていますが、おそらく、戸籍係の担当者は法務省に「お伺い」をたてて受理を決めたものと推測されます。
 
このようなケースがあることを知ると、たとえ最高裁の判例があっても、おかしいことに対し最初からあきらめてはいけないと思いました。
とても勉強になりました。
 
 
 
 
 
 
 

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