1. 親と子どもの関係について
女性弁護士の法律コラム

親と子どもの関係について

 
(女性弁護士の法律コラム NO.153)
 
最近、父親と子どもとの関係をめぐる最高裁の判決が相次いで出された。
その内容は、事務所のトップページの「最新判例」で紹介しているが、以下の2つだ。
 
●2013年12月 性別を女から男へと変更した父親に、人工受精によって誕生した子をその父親の子と推定
●2014年1月  認知した父親でも認知後無効を主張できる
 
前者の判例は、生物学的には明らかに子どもができない夫婦の間に人工授精によって誕生した子をその夫婦の子と認定した。
性同一障害特例法ができたことを背景に、生物学的な関係がない親子に社会的な意味での親子関係を認めたことになる。
他方、タレントのMさんは、自分の卵子と夫の精子を用いて、アメリカで代理出産をしたが、最高裁は平成19年3月、Mさんの実子とは認めないという判断を下した。
生まれた子は、生物学的意味では明らかにMさん夫婦の子であるにもかかわらず、Mさんが懐胎・出産したのではないという事実で否定した。
わが国では「代理出産制度」が認められていないというのも理由に揚げられているが、生まれてきた子どものことを考えると、このような扱いは妥当なんだろうかと思ってしまう。
 
次に後者のホットな最高裁判例は、父親が一度認知をしても、その後、反対事実を主張してその認知の効力を覆すことができるとの初判断を示した。
他方、「夫の子」と推定されて誕生した子どもについては、誕生したことを知ってから1年が経過してしまうと、原則として「自分の子でない」と主張することはできない。
子どもの法的な地位を早期に安定させる趣旨であると言われているが、そうであれば、認知を受けた子どもも同じではないのか。
 
私自身としては、冒頭の最高裁判例との関係で、上記の2つの事柄がなんとなく統一的に理解できず、わりきれない思いが残る。
 
民法制定当時には考えられなかったような多様な家族関係が存在する。
だから、現在は過渡期なのかなと思う。
いずれにしても、何の罪もない子どもが平等な取り扱いがなされるような法解釈や法制度の整備が早急に求められる。
 
福山雅治主演の「そして父になる」という最新映画。
取り違えられた子どもを長年育てた後にその事実を知った夫婦・家族の苦悩がテーマの映画だと聞いた。
観たいと思っていたが、観逃してしまった。
テレビで放映されたら、絶対に観ようと思っている。
 
 
 
 

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