1. やっと婚外子差別の規定が改正される~あきれた自民党保守系議員たち
女性弁護士の法律コラム

 
(女性弁護士の法律コラム NO.150)
 
9月4日最高裁が民法の婚外子の相続分差別規定が憲法違反であると判断してから既に約2ヶ月以上経過しました。
ここに来て、11月12日、やっと政府は、婚外子の相続分を婚内子と平等に認める民法改正案を閣議決定し、国会に提出しました。
 
最高裁が違憲だと判断したのですから、今国会にいち早く法案が提出されるべきでした。
それを阻んだのは、自民党内の「正妻の地位を脅かしている」「家族制度が崩壊する」などという強硬な反対意見でした。
自民党内の保守系議員たちは、これまで婚外子差別や夫婦別姓の議論が出るたびに、「家族制度が崩壊する」とか「日本の伝統」などという言葉を口にして反対してきましたが、明治時代の前近代的な価値観に固執しているにすぎません。
 
それ以上に、国会議員一人一人の価値観がどうであろうと、今回、司法である最高裁が「違憲」と判断した以上、国会がそれに従った処理を行うのは当然であり、それが憲法が定める三権分立にほかなりません。
「最高裁の暴走」などという批判は論外です。
 
結局、自民党は、婚外子差別是正の法案は提出せざるを得なくなりましたが、法務省が予定していた、出生届に「嫡出子」「非嫡出子」の記載を義務付けている戸籍法の改正については、あくまでも「区別は必要」「最高裁は、戸籍法は違憲と判断していない」などとして了承しませんでした。
 
自民党は、改憲草案で、憲法24条に、新たな項をもうけ、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」と規定し、現行憲法の「個人」の尊重よりも「家族」を社会の基礎単位にしようとしています。
 
世界の流れにも反する時代錯誤的な考えにほとほとあきれてしまいます。
時代の逆行は絶対に許せません。
 
 
 
 

月別アーカイブ

弁護士紹介TOP