1. 「非嫡出子の相続分」の違憲判断は先送り!?
女性弁護士の法律コラム

「非嫡出子の相続分」の違憲判断は先送り!?

 
民法では、正式の婚姻によらないで産まれた婚外子(非嫡出子)の相続分は、嫡出子の半分となっています(民法900条4号)。
しかし、子ども自身は親を選べるわけではないので、この規定は、社会的身分による差別を禁じた憲法14条に違反するという議論があります。
 
最高裁は、1995年に合憲判断をしましたが、昨年7月7日、この規定の憲法違反が争点の事件を大法廷に回付したことにより、合憲判断が見直される可能性が出るのでは、ということで注目されていました(当コラム2010年7月10日)。
 
ところが、違憲判断どころか、この事件は、意外な形で終わってしまったようです。
 
実は、最高裁に抗告していた当事者が、代理人弁護士に相談することなく、相手方と直接和解交渉を行い、和解が成立してしまいました。そのことを知った最高裁判所は、抗告の利益を欠くに至ったとして却下の決定の下し、事件は終了してしまいました。(最高裁平成23年3月9日決定)
残念でなりません。
 
政権が、民主党であろうと、自民党であろうと、この規定に対し保守層の根強い反対意見がある今の国会で、この規定の改正を実現することはおよそ期待できません。最高裁が「違憲」という司法の機能を果たすことが求められていたのに・・・・・
 
現在、同種の事案で係争されている事件があれば、1日も早く最高裁に抗告してほしいと思います。
 
 

月別アーカイブ

弁護士紹介TOP