1. 「無私の日本人」(磯田道史 著)と映画「殿、利息でござる!」
ブログ マチベンの日々

 
ソチと平昌の2度の冬季オリンピックのフィギュアスケートで金メダルを取るという快挙を成し遂げた羽生結弦選手。
その羽生クンが殿様役で映画初出演したのが2016年5月に公開された「殿、利息でござる!」。
 
歴史学者磯田道史先生原作の映画「武士の家計簿」を観たという人が、磯田先生に「私の故郷・吉岡宿にも、涙なくして語れない立派な人たちがいたので、本を書いてください」と連絡があった。
それで、磯田先生は、「國恩記」という資料を読んで感動し、「穀田十三郎」という著作にまとめ、それを原作として映画化されたのが「殿、利息でござる!」である。
 
2018年1月17日付けのブログで書いたように、磯田先生の「日本史の内幕」を読み、磯田先生の「無私の日本人」という文庫本の中にこの「穀田十三郎」という著作があることを知り、無性に読みたくなり読んでみた。
と同時に、たまたま映画「殿、利息でござる!」の方も観ることができた。
 
ストーリーは・・・
250年前の江戸時代、仙台藩の宿場町・吉岡宿(現在の宮城県黒川郡大和町)。
宿場には、年貢だけではすまず、「伝馬役」という負担があり、藩が公用で街道を往来するといって人馬を強制的に徴発していく。
飢饉のたびに、住人が町を逃げ出していく。
「このままでは吉岡は亡ぶ」そう考えた十三郎が、智恵者の菅原屋篤平治から町を救う計画を聞く。
それは、金がない仙台藩に大金を貸し付けることによって、年々、利息をもらい、住人に配るという逆転の発想だった。
そして、ついに、数人の仲間たちが私財を投げ打ち、1000両(約3億円)もの金を藩に貸し付け、町を救うことができた・・・
 
町の住人が藩に金を貸し付けるなどという大それたことが簡単に進んだわけではなく、その実現には何年もかかったが、ただただ吉岡の繁栄を願う「無私」の心が政治を動かした。
 
貧しい東北の地で、このような実話が存在したことは、本当に感動的である。
いや、貧しい東北の地であったからこそ、個人が私利私欲に走らず、成し遂げることができたのかもしれない。
 
なお、羽生クンは、仙台藩の殿様として、映画終盤に登場。
殿様自ら功労者の一人である住人の酒屋を訪れ、酒の名前の命名して与えるという役どころ。
映画の出演オファーに、最初はスケート選手だからということで断ったそうだが、原作の「無私の日本人」を読んで感動し、出演することになったとのこと。
 
 
 
 
 
 

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