1. ~梅雨空に「九条守れ」の女性デモ~
ブログ マチベンの日々

~梅雨空に「九条守れ」の女性デモ~

 
~梅雨空に「九条守れ」の女性デモ~
 
これは、さいたま市に住むある女性が、2014年6月、東京銀座で集団的自衛権の行使容認に反対するデモを見て詠み、所属サークルで秀作に選ばれた俳句である。
秀作は、毎月、さいたま市大宮区にある三橋公民館が発行する公民館だよりに掲載されていた。
ところが、公民館は「世論を二分するテーマのため掲載できない」と掲載を拒否。
その後、その理由として「(公民館が)公平中立の立場であるべき観点から好ましくない」と説明した。
 
女性は、2015年、憲法で保障された表現の自由に反し、掲載を期待する権利を侵害されたなどとして、さいたま市に対し、句の掲載と慰謝料200万円の支払を求めて提訴した。
 
そして、2017年10月13日、さいたま地裁は、公民館側が「思想や信条を理由として不公正な扱いをした」などとして、市に5万円の賠償を命じた(2017年10月14日付け朝日新聞朝刊)。
 
判決は、掲載する俳句には句会や作者の名前が併記されることから「公民館が俳句と同じ立場にあるとは考えがたい」として「公民館の中立性や公平性を害するとは言えない」と判断し、不掲載には正当な理由がないとした。
但し、表現の自由の侵害という主張は退け、掲載への期待を「法的保護に値する人格的利益」と位置づけ、これを侵害したと結論づけた。
また判決は、公民館職員らが「『憲法アレルギー』のような状態に陥っていたのではないかと推認される」とも指摘した。
 
原告女性に損害賠償が認められて当然だと思う。
確かに、憲法9条をめぐっては様々な議論がなされ、とりわけ政府与党は、9条の内容を改変しようとしている。
しかし、憲法に9条が定められ、憲法は国の最高法規であり(98条)、天皇から大臣、国会議員、公務員に至るまで、この憲法を尊重し擁護する義務がある(99条)のだから、俳句の中で、「9条守れ」と詠み、それを公民館がたよりに掲載しても、何ら公平中立に反するわけがないのである。
それを排除するなど、もってのほかだ。
 
言論や表現の自由が制限される息苦しい世の中は、正に、戦争前夜に近づいているような気がしてならない。
 
 
 
 

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