1. 「おひとりさまの最期」 上野千鶴子著
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「おひとりさまの最期」 上野千鶴子著

 
既婚であっても配偶者に先立たれることがあり、子どもがいても同居どころか近くに居住していないこともあり、現代の日本社会は、いやおうもなく、おひとりさま人口が増えるしくみとなっている。
み~んなおひとりさま時代が到来しているのである。
 
この「おひとりさまの最期」という本は、社会学者である上野千鶴子さんが出版した「おひとりさまの老後」「男おひとりさま道」に続くおひとりさまシリーズの第3弾。
 
私が2012年に知り合った柴田由美子さんという女性は、末期ガンのため、2013年1月に亡くなられたが、生前、柴田さんから、上野千鶴子さんとは友人だと聞いていたので、もしかしたら、友人らによるチームケアの中で亡くなった柴田さんのことも、この本の中に書かれてあるかもしれないという思いもあった(注、書かれてありました)。
 
また、以前このブログでも書いたことがあるが、一昨年、私の友人Mさんがやはりガンで亡くなったが、その時、短期間ではあったが、一人暮らしのMさんのため、私も含めた友人らが交替でMさんの日常のお世話をしたという経験を持った。
ただ、もっと私たちにできることはなかっただろうか、地域や行政などの手続きで利用できることはなかったのだろうか、という思いがずっと残っている。
 
この本には、上野さんが在宅ケアに従事されている医師などに同行し、そのシステムや当事者の思いなどが紹介されている。
また、友人などの「チーム」によるケアの実践例も。
つまり、上野さんの「在宅ひとり死」の研究レポートとなっている。
 
印象に残ったのは、次の文章。
「患者」という呼び方そのものが、医療者目線です。
ひとは患者である前に、まずひとりの生活者です。
家では誰もが生活者に戻ります。
・・・在宅では、医療職の想定を超えた「奇跡」がいくつも起きているようです。
 
だが、在宅介護そして在宅死には、いくつかの条件がととのわないと実現しない。
条件の最大公約数は、
①本人の強い意思
②介護力のある同居家族の存在
③利用可能な地域医療・看護・介護資源
④あとちょっとのおカネ
なかなか難しいが、上記の条件から、家族を引き算することはできるかもしれないし、それを実践している地域や人々が存在することもまだ現実だ。
 
自分で自分の死に方をコントロールするのは、とても難しいが、高齢化社会に徐々に足を踏み入れつつある自分自身の問題として、これからも考え続けていこうと思った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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