1. 今、流行のトマ・ピケ
ブログ マチベンの日々

今、流行のトマ・ピケ

 
今、「トマピケ」が世界的に大流行している。
 
フランス人経済学者のトマ・ピケティ氏は「21世紀の資本」の著者で、書店に行くと、それを解説した何種類もの本や雑誌が平積みされている。
今や世界的なスターだ。
 
中央公論2015年4月号も「トマピケ」の特集である。
原著は読んだことはないが、ピケティ氏の主張は、次のようなものらしい。
 
資本主義のもとでは、放っておけば富の格差は広がるばかりである。
今日社会は、労働所得において大きな格差が生じ、それに同時並行して、資産でも大きな格差が生じ得る。
少子化によって「世襲社会」が再来し、相続財産の重要性が高まってくる。
労働所得に起因する新たな格差は、本来であれば実力主義が大きいはずのところ、エリート階級の子どもたちは(教育にお金をかけられる分)最高の学校に進学しやすいから、それで新たな格差が生まれる。
しかし格差縮小と経済成長は両立可能である。
広がる格差への対処方法は、2通りしかない。
1つは、マルクスのように資本主義を否定すること。
もう1つは、資本主義の中で格差の広がりを抑える仕組みを考え出すこと。
そしてピケティ氏が解決方法として提案するのは、後者で、極端に財をなした富裕層に対して、効率の累進課税を課すというもの。億万長者には、所得税なら税率80%、不動産などの資産には毎年数%の税率を課す。
 
しかし、
現実の日本社会では、森永卓郎教授は「お金中毒の金持ちたちは、強い政治力を使って、こっそりそれを妨害する」と言う(2015年3月23日付け京都新聞夕刊)。
 
村井弁護士が2015年3月30日付け法律コラム「贈与税の非課税枠が拡大」で書いたように、相続税の基礎控除引き下げや最高税率引き上げの「裏側」で、実は、子や孫への贈与の非課税枠が拡大され、子や孫が4人いれば、2億2000万円もの資金が無税で世代移転されてしまうのが日本社会の現実だ。
 
これでは、日本社会の中の格差は拡大する一方だ。
 
「トマピケ」理論を現実社会に生かすには、それを読んだ私たち自身が「政治を変える力」になることしかないのである。
 
 

月別アーカイブ

弁護士紹介TOP