1. 目からウロコ!本「アート鑑賞、超入門!7つの視点」(藤田令伊著)
ブログ マチベンの日々

 
絵画鑑賞は好きだ。
幸い、京都という土地に住んでいるので、有名な作品が海外からも頻繁に美術館にやってくる。
でも、いざ展覧会を見に行っても、たくさんの観客に押され、絵の横の解説を斜め読みしながら、1つの絵を1分も見ていない自分がいる。
 
そんなアートを見る側に立って「どう見ていけばよいか」が書かれているのが、この本である。
新聞の書評でこの本のことを知り、早速読んでみた。
新書(集英社新書)なので手軽に読めた。
 
本のタイトルの副題となっている「7つの視点」は、本文で7つの章に分けて書かれてある。
また、本文では「アートを鑑賞を深めるためのヒント」として18項目が紹介されている。
 
①「ディスクリプション」をしてみる
②時間をかけて見る
③数多くの作品を見る
④「間違い」を気にしない
⑤「エア買いつけ」の視線で見る
⑥作品に必ず何かを「発見」するようにする
⑦感性的見方が劣ったものと考える必要はない
⑧できるだけ多くの”感性のタネ”にふれる
⑨「なぜ?」と作品に問いかけてみる
⑩「なぜ?」に対する答えを自分なりに見つけるようにする
⑪「個別の要素」に注目する
⑫「もし別の状態だったら」と仮定して考えてみる
⑬知識は「部下」と心得る
⑭知識を最初から求めすぎないようにする
⑮「事実関係についての情報」と「価値判断を含んだ情報」とを峻別して受け止める
⑯知識は疑い、検証しながら取り入れる
⑰アート作品は、肯定と批判の両方の視線で見てみる
⑱作品を批判的に見る場合は「難癖をつけるつもり」でクールに見る
 
以上の18項目について、時には、実際のアートについて読者に例題を出しながら、わかりやすく解説されている。
ここまでで、十分、目からウロコ。
これから絵画鑑賞は、じっくり見ることとし、とりあえず一人で行こうと思った。
 
そして、終章は「アートを見ること」。
ここまで読み進んで、この本が、単なる「アートの見方」の解説本ではなく、「アート鑑賞には単なる趣味を超えたポテンシャルが秘められています。主体的な見方を培い、批判精神を高め、合理的な思考力を磨くことができます」という人間としてのあり方をも語っているものであることがわかった。
 
私たちがテレビの宣伝を見て、人気の展覧会に行くのは、「みんなが並んでいるからおいしそう」という「ラーメン屋さんの行列」と同じ面があるという問題提起がなされている。
そして、あの原発事故も一人ひとりの主体性が十分でなかったからこそ起こったのではないか。
みんながバラエティに興じる陰で、秘密保護法が進められ、集団的自衛権がオーソライズされようとしている。
筆者は「主体性」「異論」が大切であり、アート鑑賞で培った批判精神が社会の健全さを保つ力となると言う。
 
最後は、とても考えさせられた。
 
 
 
 
 

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