1. 合意で性交渉を行い、合意で妊娠中絶した場合・・・・
ブログ マチベンの日々

 
昨日、隣の席のF川弁護士から「こんな判例、知ってました?」と教えられた。
東京高裁で平成21年10月15日に判決が出ているにもかかわらず、なぜか公刊物の判例時報に掲載されたのが、1年半以上経過した2011年6月1日号(NO2108)。
 
この判決は、男女が交際中、合意で性交渉をし、合意で妊娠中絶手術を行った場合でも、男性が女性の身体的、精神的苦痛や経済的負担の不利益を軽減し、解消するための行為をしないことが不法行為にあたるとしたもの。
 
合意で性交渉をして妊娠そして中絶に至った時に、相手の男性に損害賠償できるか?という相談をたまに受けることがある。
今までは、「中絶費用は半分請求できるけど、慰謝料は難しいと思いますよ」というのが大方の弁護士の答えだったと思う。
 
この事件では、男性は中絶費用として30万円を渡しているようだが、裁判所は、女性の慰謝料を200万円、治療費を68万4604円とした上で、その半分の134万2302円から支払い済みの30万円を引いた114万2302円の支払いを男性に命じた。
裁判所は、女性が中絶を選択せざるを得ない場合においては、直接的に身体的及び精神的苦痛にさらされるとともに、経済的負担をせざるを得ないが、これらは共同の性行為に由来するものであるから、男女が等しくその不利益を分担すべき、と判示している。
 
合意とは言え、中絶で大きな負担を負う女性にとっては、歓迎すべき判決である。
でも、この理屈からすると、不倫の場合や夫婦の場合でも、認められるんだろうか?
議論を呼びそう。
 
 

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