以前(かわら版原稿の執筆が遅れていて,時機に遅れたネタですみません),京都の桂川の河川敷農地に,河川法に違反して多くの農小屋が設けられていて,問題となっているという新聞報道がありました。それを見て,「あー,そうそう,だから『ババトラ』だったのよねえ」と感慨深いものがありました。
私たちがグライダーの訓練(と言います)に使っていた木曽川滑空場は,その名のとおり岐阜県は木曽川の河川敷を整地して作った,最大幅約100mくらい,全長約1200mの滑空場なんですよね。そして,こういう「河川区域内の土地」である河川敷の使用については,「河川法」というマイナーな法律で規制されているのです。
まずは
(土地の占用の許可)
第二十四条 河川区域内の土地(略)を占用しようとする者は、
国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の
許可を受けなければならない。
などという条文があって,日本学生航空連盟でも,滑空場として使用するので許可してくださーい,と「占有許可」を取っています。
でも,
(工作物の新築等の許可)
第二十六条 河川区域内の土地において工作物を新築し、改築し、又は
除却しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、
河川管理者の許可を受けなければならない。
という法律もあって,例えば滑空場に勝手に管制塔を建てたりはできないんですよね。
木曽川滑空場は増水すると水没してしまうこともあるので,おそらく流される危険があることから建物建築の許可はでなかったのでしょう。おかげで,木曽川滑空場ではトイレですら軽トラックの荷台に積まれて移動可能となっており,「ババトラ」と呼ばれて親しまれていたのでした。
以上,何に役に立つかわからない(橋を渡るときに「ああ,あの小屋は違法建築物かもしれないなあ」と思う楽しみ?が増えるくらいの効果しか期待できない)ワンポイント法律小話でした。