1. 2009年12月

2009年12月アーカイブ

我が家は車を2台所有している。もともと1台、某フランスの自動車メーカーの車を持っていたのだが、これが相次ぐトラブルで(命の危険があったこともあります。どないなってんねん、プ●ョー!!)懲りてしまい、今年の1月に廃車に。
 ちょうどそのころ配偶者の実家が2台ある車を新車1台に乗り換えることになり、廃車にするよりはということで譲り受けたのである。

 先頃、ある夜に我が配偶者から携帯メールが入った。
 曰く、件名「ヴィッツ」本文「バッテリーが上がってしまっています。ライトを切り忘れたんだと思います。」ちなみに、この日ヴィッツに乗っていたのは私ではない。

 仕方がないので、翌日私は元気な方の車でオートバックスに行き、ブースターケーブルを買ってきた。我が家にはなかったからである。
 念のため説明しておくと、ブースターケーブルとは+用と-用に別れた2本の太いケーブルであり、それぞれ両端がクリップ状になっていて、車のバッテリーの電極につなげるようになっている。要は、バッテリーがあがっちゃったときに、元気なバッテリー(主に他の車のバッテリー)と繋いで、動かない方の車のエンジンを掛けるためのケーブルである。

 航空部時代、ランウェイで曳航策を引き戻すために使うリトリブ・カーのほとんどは、廃車になった車をタダでもらって使っていたため、バッテリーがまともな車は希少だった。必然、ブースターケーブルも
しょっちゅう使うことになる。
 そんなわけで、ブースターケーブルを久しぶりに手にした私は懐かしさを覚えたのである。
 その日、帰ってきた配偶者に「ブースターケーブル買ってきたよ」と告げると、「僕はやったことないからやり方わからんなあ」。大丈夫、期待はしていませんでした。でも、「今日はもう暗いし、明日朝
イチでエンジンかけるから、手伝ってね。2人いた方が早いから」と言っていたのに・・・案の定、疲れている我が男性配偶者は、朝声を掛けるも起きられず。
 仕方がないので1人で両方の車のバンパーを開けて、バッテリーのカバーを外して、ケーブル繋いでかけましたよ、エンジン。

 このように我が家では、社会通念上「男性の役割」と思われていることの多いであろう、車のことやスパナ・ドライバーなどの工具を使用する作業にかけては、割と女性が引き受けることが多いのである。
 もっとも、こうした社会内の暗黙の期待に対しては、作家のCBDブライアン氏が『グレート・デスリフ』(村上春樹・訳)の中で、「男性生殖器をひと揃い持っているからと言って、何で車のトランスミッションが直せると思うんだ?」と不服の声を上げており、非常にもっともなところである。
 だから私にも、「女性らしい」気遣いや繊細な挙動(事務所内でゴミ箱を蹴飛ばさずに歩く、など)は、どうか期待しないでください。

 なお、配偶者の名誉のために断っておくと、我が配偶者は子どもの離乳食も作ればホワイトシチューは小麦粉とバターから作るという人であり、ちょっとでも重い荷物は全部持ってくれるという一面もありますので、あしからず。