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2012年4月アーカイブ

どこかへ行きたい。

ああ,ブログも全然更新しないまま,季節は確実に冬から春へと移行しました。

今年の桜はギリギリまで咲きためてたせいか,爆発的に咲いて一気に散りましたね!桜を見るとわけもなく泣きたくなる,という日本人的精神の持ち主である私にとっては,惜しむべきことです。

そして,こういう季節になると,どーして人は旅に出たくなるんでしょうね。今日もほんわか青空,刷毛で掃いたようなふんわか雲,あー,どこかへ行きたい・・・。

が,目の前には仕事の山です。

 私が司法試験に挑戦しはじめたのは、26歳のときである。私は文学部卒業なので(航空部卒業、と言ってもいいほどだけど)、そのときまで接したことがある法律といえば、道路交通法と、航空法だけだった。
 その私が、司法試験の勉強をして、「おお~、ナルホド、そうだったのか!」と膝を打った最大のこと。それが、「対抗力」なる言葉の意味、なんである。

   (対抗力)
   第三条の三 登録を受けた飛行機及び回転翼航空機の所有権の得喪及び変更
        は、登録を受けなければ、第三者に対抗することができない。

 これは航空法の「第二章 登録」にある、条文の一つなんですが、皆さん、この条文を読んで、意味するところがわかります?私は全然わかりませんでした。

 「航空法」は、自家用操縦士(自動車で言うなら、「第一種免許」のこと)の学科試験や口述試験の科目になっているので、資格を取るときには必ず必要だし、その上私は「操縦教育証明」という、自家用操縦士を取る人を育てる教官の資格(自動車で言うなら、教習所の教官ですね)も取っているので、人に教えられるくらい航空法に詳しくなくてはならない。
 で、当然全部の条文を勉強したんだけど、「対抗力」が何かはわからなかった。そんなことは先輩から代々受け継いでいる資料にも書いてないので、「まあよくわからんけど、フライトをするに当たってはさして重要な条文でもあるまい」ということで、そのまま放置していたんです。

 その後、司法試験のため「民法」の勉強を始めたとき、再び出会いました「対抗力」。つまり、こういうことなんですね。
 民法176条には、「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。」とあります。例えばAさんが「自宅を2000万円でBさんに売りましょう」と言い、これを聞いたBさんが「わかりました、買いましょう」と言って2000万円を支払った、これでAさんの自宅はBさんの物になったことになります。
 でも一方、民法177条にはこうも書いてあります。「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」この場合、AさんとBさんは、自宅の売買についての当事者ですから、ここでいう「第三者」には当たりません。だからBさんはAさんに対して、特に登記などはしなくても、「あなたの自宅は、私が買ったんだから、私の物だよね」ということを主張することができます。
 ところが、Aさんが、Bさんの他にCさんにも「自宅を3000万円で買いませんか」と持ちかけ、Bさんから2000万円をもらった後に、Cさんに自宅を売ってしまった。そしてCさんが、さっさと「自分がAさんの自宅を買ったので、自分が所有者だ」という不動産登記をしてしまったとしたら、どうなるでしょう。
 もちろん、AさんがBさんに自宅を売って2000万円をもらった時点で自宅の所有権はBさんに移っていますから、そもそもAさんがその後さらにCさんに自宅を売ることはできません。でもBさんは、Aさんに対しては「酷いじゃないか。その自宅は僕に売ってくれた物でしょう!」と言えますが、登記をしていない以上、「第三者」であるCさんには、「僕は君より前にAさんから自宅を買ったんだから、本当は僕が自宅の所有者なんだ」ということを言えないんです。
 これが、「Bさんは、第三者Cさんに対して、自分が所有者だと主張することができない」、つまり「対抗力がない」ということなんですね。

 で、航空法に戻ると、航空機というのは「不動産」ではないから、本来であれば民法177条の言う「不動産に関する物権の得喪及び変更」には当たらないけれど、まあ高価なものだし、登記と同じような「登録」という制度を置いて、登録しなければ自分の飛行機だということを他の人に主張できないよ、というのが「対抗力」航空法第3条の3の意味、というわけなのです。

 たまには(というか初めて)、法律に関連した話題をご提供した今回の「かわら版」でした。
 

略歴

京都市右京区太秦で出生。3歳から富山県で育つ

1993年3月
富山県立高岡高校卒業
1993年4月
大阪大学文学部入学
大学時代は体育会航空部の活動に明け暮れる

1999年3月
2年留年の後、大阪大学文学部文学科を卒業
フリーター生活をしていた2000年11月、一念発起して司法試験に挑戦
受験時代は京都の受験予備校(伊藤塾)に通う

2002年11月
司法試験合格
1年間の実務修習を京都で経験
2004年10月
京都法律事務所 入所
2005年、2010年にそれぞれ男の子を出産し、現在2児の母

弁護士会委員会所属

【京都弁護士会】
刑事委員会副委員長
司法修習委員
検察審査会PT
死刑制度調査検討PT

【日本弁護士連合会】
刑事弁護センター幹事
法廷技術小委員会

一般民事事件(借地借家・交通事故・不動産・住宅問題・医療過誤問題など)

家事事件(離婚・相続・遺言など)

労働事件、労災事件、刑事事件、少年事件。

債務整理、破産申立事件など。

子どものころより空に憧れ、大学時代はグライダーで日本各地・オーストラリアなどの空を飛び回ってきました。操縦教官の国家資格も取得し、一時はエアラインのパイロットを目指すも受験に失敗。失意のフリーター生活の後、社会に貢献したい、常に自分自身を向上させられる仕事に就きたいと決意し、司法試験を目指しました。
今は、大地にしっかりと足をつけて、依頼者お一人お一人の悩みに寄り添い、ともに歩む弁護士でありたいと思っています。
特に、離婚・親子など女性が抱える問題に、共に悩み、しっかりした解決をお示ししたいと思います。
また、刑事・少年事件にも力を入れています。