1. 福山弁護士の「飲み法題」

福山弁護士の「飲み法題」

2024京都市長選挙に出馬表明しました!

私は,多くの市民の皆さまからのご期待の声と、我が京都法律事務所の仲間の皆さんのご理解を頂き、2024年2月の京都市長選挙に無所属市民派として出馬することを決意しました。昨日、2023年9月8日、出馬表明のための記者会見を私個人の主催で開催させて頂きました。会見で発表した私の所信と政策の骨子をご紹介致します。

※全文はこちら→2024 京都市長選挙への出馬表明にあたって(2023.9.8)

 

~私の所信~

私は,2024年2月に行われる予定の京都市長選挙に無所属市民派として出馬することを決意しました。出馬表明にあたって私の思いを申し上げます。

1 忘れ物を取りに行く~暮らしとなりわいを全力応援する市政に

私は,2020年京都市長選に、「すぐやるパッケージ」という政策を掲げて挑戦しました。それは、以下のような暮らし応援の政策パッケージでした。

(1)あったか子育て応援セット(年間52.5億円)

①中学校給食(自校方式+親子方式) 169億 6カ年計画、毎年28億

②子どもの医療費中学校卒業まで無料  15.5億円(府が半分出せば8億円)

③国保料の子どもの均等割りを18歳まで免除 9億円

(2)ちょっとうれしい若者セット(年間6億円)

④給付制奨学金創設  1.5億円

⑤奨学金返済補助制度創設(利息分の支援) 7400万円

⑥地下鉄定期割引率アップ(48→60%)   3.84億円

(3)ホクホク高齢者セット(年間12億円)

⑦マル老負担軽減(65~74歳、窓口2割を1割に) 12億円

⑧敬老乗車証の堅持

(4)ワクワク地域経済支援(0円)

⑨地域密着型公共事業の計画的推進と地元業者優先発注

⑩公契約条例改正により時給1500円・設計労務単価の90%明記

これらの政策は、例えば京都の働く方々の給与が1997年の月38万円から月額9万円も下がり、京都の倒産休廃業が年間700件を超えるなど、市民の暮らしとなりわいが痛めつけられている下で、行政が何か助けてくれたという実感がないという市民の実感に応えるものだったと思います。

それらの政策がもう賞味期限切れになっているのなら、それは大変喜ばしいことですが、実際はそうはなっていません。コロナ禍を経て、京都市の働く方の給与は97年から10万円も下がり、2021年の倒産休廃業は年間1000件を超えました。「子育て環境日本一」という異次元の誇大広告を掲げながら、子ども医療費や中学校給食等の子育て支援は極めて貧困、地価高騰のあおりも受けて子育て世代の市外流出が止まらなくなっています。

現門川市長は「社会的な問題の解決を行政がやらなければならないという時代はもう終わっている」と述べましたが、終わっているのはそういう自己責任の呪いではないでしょうか? 今やるべきは、何よりも市民の暮らしとなりわいの応援です。

しかも私たちが掲げたすぐやるパッケージは合計で約年70億円、市の年間予算約9000億円の僅か1%未満で全て実現可能な現実的政策でした。必要なのはお金ではなく市長のやる気です。全力で暮らしとなりわいを応援する仕事を是非私にやらせて下さい。

2 そろそろ京都をリニューアル

全国20の政令指定都市の市長の出自を見ると、国会議員6、県会議員6、官僚3、民間3、市職員2と市役所生え抜きの市長は実は圧倒的に少ないのが実態です。市長が市職員出身というのは、京都と札幌だけですが、その中でも京都は1971年~2023年までの53年のうち46年間庁内候補が市長となっており、これは全国的にも類を見ません。私は、市職員が市長になること自体は自然なことと思いますが、同じようなあり方が長期間続くのは政治の停滞を招きます。そろそろ新しい風を入れて京都をリニューアルするときではないでしょうか。

リニューアルにあたっての視点は、「継承か転換か」の二者択一ではなく「ええもんは継承し、あかんもんは変える」ということに尽きます。

私の立場はこれまでの市政の全てがダメといった極端なものではありません。「ええもんは引き継ぐし、あかんもんは変える」という当たり前のスタンスでリニューアルを図っていきます。京都市には、様々な分野で活発な市民運動が取り組まれてきた歴史があります。それを受けて京都市も施策に反映させてきました。新景観政策、公契約基本条例、保育のプール制などは、十分かどうかは別として、市民の声の反映という側面があります。それを受け継いで市民の手で発展させることが求められています。

また「共産」対「非共産」という不毛の構図にはもう終止符を打つべきです。誰が言ったかではなく、政策の内容で「ええもんはやるし、あかんもんは変える」政治に変えるべきです。

政治は一握りの政治の「プロ」や官僚、富裕層、大企業の独占物ではありません。政治は社会を現実に支え動かしている99%の市民のためにあるべきです。

私たちは、「市民が政治を作る」という理念を掲げて、「つなぐ京都2020」を結成し、前回市長選に挑戦しました。残念ながら、当選は叶いませんでしたが、これまで政治や選挙に関わってこなかった多くの市民が主体的に関わる流れを作り出しました。そして、府が小学校卒業までの子ども医療費無償化に足を踏み出し、市が中学校の全員制給食実現に向けて調査費を計上するなど、現実に政治を動かしてきました。

そうした取り組みを行ってきた様々な市民のみなさんが、この間、支持政党や所属団体などの枠を超えて、「つなぐ京都交流広場」を何度も開催し、各分野や地域の市民要求を出し合い、こんな京都市をつくりたいという思いをはぐくんでこられました。そうした市民の主体的な行動の帰結として、この度、私に立候補の要請を頂くことになり、今日を迎えるに至りました。市民の声で、そろそろ京都をリニューアルしませんか?

3 おもろい街京都

京都には、京都が発祥というたくさんのものがあります。例えば、歌舞伎や上方落語、映画、華道は京都が発祥、日本最古の劇場は南座です。路面電車や商業発電所、小学校、聾学校、公立植物園も初めて京都で生まれました。日本茶、みたらし団子、八ツ橋、小倉あんも京都発祥、バスケットボールチームから駅伝から盆踊りまで京都が発祥です。日本初のノーベル賞受賞者は京都大学の湯川秀樹博士でした。

今の伝統産業はかつての先端産業です。これだけ、京都が多くの新しいものを生み出してきたということは、京都が最先端都市だったということです。それが実現したのは、京都が豊かな街であったこと、そしてあらゆる学問・文化・技術・産業が高度に集約された街だったからです。その結果、京都は、日本と世界から様々な人々が集まる人間のるつぼとなりました。そうした人々が交わることによってさらに京都の活力が高まりました。歴史的な伝統と革新的な気風が共存しているのも京都の特徴です。これらを現代的に言い換えればダイバーシティ、多様性ということだと思います。

街の発展は、建物の高さやイベントや鉄道によって測られるものではありません。それらはあくまで結果にすぎません。街の発展の原動力はそこに住む人々にこそあります。人種、信条、性、出自などの異なる多様な人々を懐深く包み込み、そうした人々が各分野で創造性を発揮する刺激的な街、それがおもろい街京都です。

私は、京都の研究者や経済界、地域の住民のみなさんたちと共同して、学術研究や文化、地域産業等を全力で支援し、多様性あふれる高度集約都市として、京都の流儀で京都の発展を切り拓いていきたいと思います。

 

~弁護士福山和人が考える政策の骨子~

 【重点政策~つなぐ京都~】

(1)夢をつなぐ

(2)なりわいをつなぐ

(3)まちをつなぐ

(4)未来へつなぐ

(5)ひとをつなぐ

 

【夢をつなぐ】

・貧困をなくすため先頭に立つことの宣言と実態調査

・子どもの医療費助成制度の拡充

・全員制の中学校給食の実施と段階的無償化、

・給付型奨学金の創設等の若者支援

・高等教育の無償化の促進

・国民健康保険料の引き下げ

・老人医療制度助成の拡充

・障害者支援策の拡充

 

【なりわいをつなぐ】

・中小企業地域振興基本条例の制定、循環型産業政策を地元企業や住民らと策定

・伝統産業や先端産業をはじめとする各分野の産業・文化を支援

・公契約条例改正により市の発注事業では時給1500円をめざす

・大型公共事業については,一旦立ち止まって必要性,弊害の有無,住民合意等の観点から検証

する、北陸新幹線延伸計画は見直しを求める。

・地域密着型公共事業(道路,河川,公共施設等の整備)は地元優先発注で計画的に推進

・学校給食とコラボした有機農業等の支援

・住宅改修助成制度を創設

 

【まちをつなぐ】

・新景観政策の見直しの再検討

・人口減少問題の実態把握と対策の強化

・子育て世代への公営住宅の開放をさらに進める

・公共交通を軸とした交通政策

・市の財政健全化を市民本位で進める

 

【未来へつなぐ】

・原発再稼働の「同意権」を含む立地県並みの協定締結

・実効的な避難計画、ヨウ素剤配布等

・京都議定書を策定した京都らしく,再生可能エネルギーを活用した住宅建設や断熱工事等を支

援し,ビジネスチャンスと職を増やし,エコ型循環経済により地域経済の活性化を図る。

・台風、水害などの災害対策のため公共的インフラの整備を着実に進める。

 

【ひとをつなぐ】

・地域自治区制度の導入をはじめとする住民自治の促進

・業務統合を見直し現場に近いところに職員と権限と予算を配置

・行き過ぎた公務の民営化や非正規化の見直し

・東アジア各国との交流事業を支援

・LGBTQ+支援策、パートナーシップ条例の制定

・市長退職金の返上

~さいごに~

 「光のあたらないところに光を当てる」、これが政治の役割だとするならば,私には在野法曹の立場で20年以上、その仕事をしてきた知識と経験,自負があります。それを活かして、市民の皆さんのために全力で市政にあたっていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

 今日この場から,私の基本姿勢や政策に共鳴して頂ける全ての政党・団体・個人の皆様に,ご支援をお願いしたいと思います。今後,具体的に各方面の方々に対して,直接のお願いをして参りたいと思っています。またお声かけ頂けるのであれば,私は都合が許す限りどこにでも出かけて参ります。多くの方に私の考えを聞いていただき,また逆に市民の皆様からのご要望ご意見をお聞きして,政策のブラッシュ・アップを図っていきたいと思っています。いかなる団体・個人の方々もウェルカムです。どうぞよろしくお願い致します。

 

2022年6月7日、建設アスベスト被害について、全国一斉メーカー訴訟を提訴した。京都でも、建設現場で石綿含有建材の切断や加工等の作業に従事する中で石綿粉じんを吸い込み、肺がんや中皮腫等に罹患した被害者とその遺族12人が建材メーカー14社を被告として、総額2億5740万円の損害賠償を求める3陣訴訟を、京都地裁に提訴した。

京都3陣の被告企業をあえて明記する。
A&Aマテリアル★
クボタ
ケイミュー★
神島化学★
日鉄ケミカル&マテリアル★
大建★
太平洋セメント★
東レACE
ニチアス★
日東紡績★
バルカー★
ノザワ★
エムエムケイ★
パナソニック
(★は最高裁判決で責任が確定した11社)
今回の提訴では国は被告にせずメーカーだけを訴えている。以下、その理由と被告メーカーを名指しする理由を述べる。

昨年5月の最高裁判決で国と建材メーカーの責任が確定した。
それを受けて、国は菅首相が総理官邸で原告と面談して直に謝罪し、給付金制度を創設した。
しかし建材メーカーは、今も全国各地の裁判で争い続け、うちの建材は他社よりましなどと責任のなすりつけあいのような主張を行なっている。
また被害者はみな石綿建材が原因として国が労災を認定しているのに、労災認定が間違いだと無理筋の主張も行なっている。
率直に言わせてもらう。往生際が悪すぎる。

アスベストが危険なことは戦前から分かっていた。海外ではもっと早くに禁止された。なのにメーカーは安全キャンペーンを張って2006年まで製造販売を続けた。その結果、たくさんの建築職人の命が奪われた。
最高裁で責任が認められた企業の社長は被害者や遺族に、定型電報みたいな手紙を送りつけただけで、直接の謝罪は未だにない。原告たちが「お宅の社長は首相よりも偉いのか!」そう言っても態度は変わらない。原告たちが話し合いを求めて訪問しても門前払いのところもある。
私は弁護士として辛い刑事事件も担当し、ファミレスで被害者に土下座して詫びたこともある。そういう経験も踏まえて言うが、多数のかけがえのない命が奪われた事件で、はっきり言ってあり得ない態度だ。人の道に外れてると言う他ない。

原告たちは建材メーカーにとってお客様ではないか! 客に対してその態度は何だ! 私のようなやさぐれ弁護士はついそういう荒い思いにかられるのだが、そこまでの態度を取られても、建築職人は被告企業の製品をボイコットしているわけではない。彼らは若い職人が不安なく働ける建設現場を実現したいのだと言う。被告メーカーと比べて何と良識ある態度なんだろう。社長さん、アンタの家も彼らがいなければ建たなかったんだよ。

建設分野でのアスベスト被害は解決済みの問題ではない。国交省の推計では石綿建物の解体ピークは2028年とされている。石綿関連疾患が40〜50年という長期間の潜伏期間を経て発病することを考えると、今後も被害が拡大することは必至だ。
しかも被害はかつてなく甚大だ。今も毎年2000人以上が中皮腫で死亡しており、建設アスベスト被害は史上最大の産業公害と言われている。
建材企業の役員、代理人弁護士の方々に言いたい。もうええ加減アホな争いは止めて、直ちにきちんと謝罪して全面解決に足を踏み出すべきだ。それが社会的責任を負う企業としてのあるべき態度だと思う。

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1 建設アスベスト訴訟について最高裁で勝訴
  2021年5月17日、最高裁判所第1小法廷は、建設アスベスト訴訟(神奈川1陣、東京1陣、京都1陣、大阪1陣)について、国と建材メーカーの責任を認める原告勝訴判決を言い渡
    しました。
2 最高裁判決の意義
(1)今後の全面解決への梃子
  この裁判は、一番最初に言い渡された横浜地裁判決で、国と企業の双方に敗訴する最悪のスタートから始まって、東京地裁で国の責任を認めさせ、京都地裁で企業責任に風穴を開け、大阪
 地裁では国の責任割合を3分の1から2分の1に上げさせ、東京高裁で一人親方の救済を認めさせるなど、全国の原告弁護団・支援者が、連携し、時には厳しい議論も行って、一歩ずつ歩ん
 できた訴訟です。ようやく最高裁で国と企業双方への勝訴と、一人親方や零細事業者も含めた救済が確定したことは、今後の全面解決の梃子となる大きな意義があります。
(2)判決理由の特徴
 【国の責任】
     最高裁は一人親方等に対する国の責任について、労働安全衛生法57条に基づく警告義務は、物の危険性又は場の危険性に着目した規制であって、危険物を扱う者が労働者か否か、或い
 はその場で作業する者が労働者か否かで危険性が変わるわけではないとして、安衛法に基づく規制権限は労働者のみならず、労働者に該当しない建設作業従事者も同法の保護の対象となるこ
 とを正面から認めました。
    【企業の責任】
     企業責任について、原告らは、アスベスト建材に関する国交省データベースに基づいて各職種毎の主要取扱建材を明らかにし、次に原告本人尋問の結果や被告の反論も踏まえて取扱建材を
    絞り込み、さらに建材の市場占有率(シェア)資料に基づいて、シェア上位企業の建材が現場に到達した可能性が高いことを主張立証しました。これを踏まえて、最高裁は、石綿建材が実際
    に被害者に到達したことの立証は不要であり、原告らの採った主張立証方法によって特定された建材は現場に到達したと推認できるとして、被告企業らに共同不法行為が成立するとしまし
 た。長年にわたって多数の現場を渡り歩いてきた原告たちにとって、加害企業や加害建材を特定することは極めて困難で、そのことが企業責任追及の壁になっていましたが、今回の最高裁判
 決はその壁に風穴を開けたといえます。
3 最高裁判決の限界~屋根工の救済を拒否
  大きな意義ある判決でしたが、他方で、京都一陣原告の木村さん(屋根工)の救済が認められなかったのは大きな問題点です。
  原審の大阪高裁判決は、産業衛生学会が平成13年に過剰生涯発がんリスクが10-3となる評価値0.15本/?を上回る屋外粉じん濃度測定結果があったこと等を理由に、平成14年
 1月1日~平成16年9月30日までの期間、屋外作業者に対する国の責任を認めました。しかし、最高裁はこれを覆して屋根工の救済を拒否しました。その理由として、最高裁は、0.1
 5本/?は法令の規制値ではなく学会の勧告に過ぎない、それを下回るデータもあった、屋外は屋内と異なり風等により換気される等として、屋外作業の危険性について予見可能性がなかっ
 たと言いました。
     しかし屋根上は外気があっても、電動工具を使って建材を切断すれば、粉じんは20~30㎝しか離れていない作業者の口や鼻を直撃します。木村さんも実際にそうした作業に従事してお
 り、基本的に屋内と変わらない量の粉じんを浴びていたのです。屋根工の粉じん作業の危険性を過小評価するのは現実をみない空論と言わねばなりません。また国は、平成15年7月22日
 に主に屋根工事に従事していた屋外工について、労災認定を行っており、遅くともこの時点で国が屋外作業の危険性を予見できたことは明らかです。最高裁判決の屋外に関する判断はいずれ
 是正されるべきでしょう。
4 国との基本合意の成立
  最高裁判決を受けて、翌5月18日、菅首相は総理官邸で原告団・弁護団と面会して謝罪しました。そこには京都一陣原告の義經さんも参加し、首相から直に謝罪を受けました。同日夜に
 は、田村厚労大臣が、与党のプロジェクトチーム同席の下、原告団・弁護団に直接謝罪し、国との和解に関する基本合意書に調印を行いました。 合意書によると、
 ア 国は、係属中の訴訟について、
   ① 「昭和50年10月1日から平成16年9月30日までの間に屋内作業に従事した者」
       又は
    「昭和47年10月1日から昭和50年9月30日までの間に吹付作業に従事した者」で
   ② 「石綿関連疾患に罹患した者又はその相続人」に対し
   ③ 民法724条所定の期間制限に抵触していない限り
      病気の軽重に応じて一人550万円から最大1300万円の和解金(喫煙等による減額あり)、
  和解金の10%の弁護士費用、長期間の訴訟対応の負担を考慮した解決金総額30億円を支払
  うこととなりました。
  イ また未提訴の被害者に対しても、国は一人550万円から最大1300万円を支払うとともに、
  ウ 今後石綿被害を発生させないための対策や医療体制の確保、被害者に対する補償について、
  さらに継続的な協議を行うこと
  が合意されました。
5 さいごに
  これで2008年の東京一陣の提訴から13年、2011年の京都1陣の提訴から10年の長きにわたる闘いに一つのけじめがつきました。しかし京都の原告団長の寺前さん、副団長の青
 山さん、岩木さんはもうこの世にいません。約7割もの被害者が志半ばに亡くなっています。寺前さんは、亡くなる直前、病床で私に手を合わせて「最後まで頑張れずにすみません」と言っ
 て旅立ちました。我々は彼らの思いを背負って今ここにいます。いわばこれは彼らの文字どおり命懸けの闘いによって勝ち取られた成果といえるでしょう。そのことを率直に喜び、亡くなっ
 た方々の墓前に捧げたいと思います。
  しかしこれは全面解決ではありません。建材企業は依然として和解には加わっておらず、2陣訴訟では争い続けています。企業に対しては、改めて無益な争いを続けるのではなく、責任を
 認めて早期解決に向けて足を踏み出すよう強く求めたいと思います。また司法は屋外工の救済を拒否しましたが、それなら政治の責任で救済すべきです。無用な線引きを持ち込まず、国の高
 度成長を支えてきた全ての建築職人を分け隔てなく救済するように、与野党が協力して、救済法を速やかに制定するよう求めます。
  私たちは、引き続き2陣訴訟の全面解決、埋もれている被害の掘り起こしと救済のために全力で奮闘する決意です。今日まで支えて頂いた皆様に心から感謝申し上げるとともに、引き続き
 のご支援をお願いしたいと思います。
 (京都法律事務所は、京都建設アスベスト訴訟弁護団の事務局事務所を務めるとともに、福山和人・津島理恵・佐藤雄一郎の3弁護士が弁護団に参加しています。)
                                                                                   以上

DSC01750.JPG2021年5月14日、関西建設アスベスト京都(二陣)訴訟の3次提訴を行いました。

提訴したのはいずれも京都市内に居住する建築作業従事者及びその遺族の合計7人(被害者単位では4人)です。4人の被害者はいずれも大工で、疾病別では肺がんが2人、中皮腫が1人、石綿肺が1人です。既に亡くなった方が3人、生存原告が1人です。
これで京都二陣訴訟は、被害者単位で30人、原告数で40人の集団訴訟となりました。
週明け5月17日には京都一陣訴訟についての最高裁判決も出されます。
一陣訴訟では屋外工(屋根工)1人を除く24人の被害者との関係で、国と企業の責任が確定しました。しかし国も企業も二陣訴訟では今のところ争いをやめていません。日本では2006年にアスベストの使用が禁止されるまで多数の建材にアスベストが使用されてきました。2006年禁止時点の建設業従事者は全国で約560万人、そのうち相当数の方が10年から40年という長期の潜伏期間を経て、肺がんや中皮腫などの石綿疾患を発症する危険があります。今後、数十年の間に10万人の死者が出るとの推定もされています。
原告たちは裁判によらなくとも被害救済するための補償基金を、国と建材メーカーの責任で創設するよう求めています。そうした制度を早急に制定しないと今後も裁判が延々と繰り返されることになるでしょう。しかし、被害者や家族に、時間と労力を費やす裁判を強いるのではなく、補償基金の創設により早期の全面解決を図ることが強く求められます。

P8310016.jpg2021年5月17日午後3時から、関西建設アスベスト京都(一陣)訴訟の最高裁判決が言い渡されます。この日は、東京、神奈川、京都、大阪の4訴訟について最高裁がまとめて判決を言い渡します。

2008年5月16日に、東京一陣訴訟が提訴されて丸13年、2011年6月3日に京都一陣訴訟が提訴されてから約10年かかってようやく最終決着を迎えることになました。

この裁判は、大工や左官、電気工、配管工、解体工など建設現場で働く職人たちが、建材に含まれるアスベスト(石綿)の粉じんを吸い込み、肺がんや中皮腫、石綿肺などの重い呼吸器疾患を患ったことから、アスベスト含有建材を製造販売した建材メーカーと、適切な規制を怠った国に対して、損害賠償を求めた事件です。京都一陣では被害者25人中、約7割の17人がすでに亡くなっています。
アスベストの危険性は戦前から知られており、その医学的知見は、石綿肺については1940年(内務省・保険院報告)、肺がんについては1955年(ドール博士報告)、中皮腫については1965年(1964年:NY科学アカデミー、国際対ガン連合=UICC「報告と勧告」)には確立していたと考えられています。また1972年(ILO・WHO報告)には少量曝露による中皮腫発症の危険も明らかとなり、閾値がないことも知られるようになりました。当然、国やメーカーもそれを知っていました。しかし戦後の高度成長期に、国策として進められた都市化政策のために、官民が一体となって安価な耐火材であるアスベストを大量に普及しました。現場の建築職人はその危険性を何も知らされず、電動工具などを使用してアスベスト含有建材を切断したり、吹付作業を行うなどして、大量のアスベスト粉じんを浴び発病したのです。
国は、1971年時点で建設現場が危険だということを認識し、同年制定の旧特化則で石綿を微量でも危険な第2分類物質に指定しました。本来、そのときにブレーキを踏むべきでした。しかし国と企業はその後もアクセルを踏み続けました。その結果、石綿スレート出荷数は1973年に1億554万枚と第1のピークを迎え、1990年には8748万枚と第2のピークを迎えました。いずれも国が危険性を認識した後のことです。少なくとも70年代に抜本的な規制をかけていれば、今日の被害は大きく減らせることができたはずです。
 世界的にも、アスベストの危険性が明らかとなり、1980年代以降多くの国がアスベスト使用を禁止するようになりました。しかし日本では、2006年までアスベストが使用され続けました。その結果、我が国では、毎年約1500人が中皮腫で死亡する事態となっています。肺がんや石綿肺等による死者も含めると今後我が国だけで10万人が死亡すると推定されており、史上最大の産業被害と言われています。
建設職人は国と企業が護送船団方式で進めた国策の被害者ということができます。この構図は、過去の薬害・公害訴訟や原発被害と全く同じです。本件ではそのことが問われているといえます。
京都一陣の被害者25人中24人については、既に最高裁が国と企業の上告を退けたので、大阪高裁の勝訴判決が確定しました。しかし最高裁は、大阪高裁で国と企業に勝訴した屋外工(屋根工)一人について、国と企業の上告を受理したため、高裁判決が見直される可能性があります。しかし、建設現場の危険性について屋内屋外で差はありません。
最高裁判決では、国と建材企業の責任を明確に断罪すること、いわゆる一人親方や零細事業主をも救済の対象に含めること、屋内作業・屋外作業の区別なく全ての建設作業従事者を等しく救済することが求められています。多くの皆様にご注目頂きたいと思います。
(当事務所は、京都訴訟の事務局事務所を務め、福山和人、津島理恵、佐藤雄一郎の3弁護士が弁護団に参加しています。)
当事務所が事務局事務所を務める建設アスベスト京都(1陣)訴訟に関して、1月28日に最高裁第1小法廷が国と建材メーカーの上告の大部分を退ける決定を行いました。これを受けて以下の声明を発表しました。
    声 明
          2021年1月29日
                                         関西建設アスベスト京都訴訟原告団
                                         関西建設アスベスト京都訴訟弁護団
                                         全京都建築労働組合
                                         関西建設アスベスト訴訟統一本部
                                
1 2021年1月28日、最高裁判所第1小法廷(深山卓也裁判長)は、関西建設アスベスト京都1陣訴訟(被災者25名、一審原告27名)において、一審被告国の上告受理申立について、被災者1名(屋外工)に対する関係を除いて不受理とするとともに、一審被告企業のうち原審で責任が認められた10社の上告及び上告受理申立については、2社(クボタ、ケイミュー)を除き、8社(A&A、太平洋セメント、ニチアス、日鉄ケミカル、大建、ノザワ、MMK、日本バルカー)につき上告棄却・不受理と決定した。
   これにより、一審被告国の責任について、原審の大阪高等裁判所第4民事部(田川直之裁判長)判決が、被災者25名中24名に対する関係で確定した(国の確定賠償額は総額1億7933万円余り)。また建材企業の責任については、被災者25名中21名との関係で、8社の責任が確定した(確定賠償額は総額1億0360万円余り)。
   今後、上告が受理された点に関して、本年3月22日午後1時30分から上告審の弁論が行われる予定である。
2 国の責任について
  首都圏建設アスベスト東京1陣訴訟における最高裁の2020年12月14日付上告不受理決定により、本件における国の規制権限不行使の責任が確定したが、それに続く本決定により、そのことはより一層明確となった。また建築労働者と等しく現場で働き,等しく被害を受けた一人親方や零細事業主に対する関係でも、国の規制権限不行使の責任がより明確となった。さらに京都1陣訴訟の被災者25名中ほぼ全員の24名の救済を認めたことも積極的に評価できる。
    違法期間や違法事由の範囲等に関する最高裁の具体的判断は、現時点では不明であるが、最高裁には救済範囲をできる限り拡大する方向での積極的判断を求めたい。
3 建材メーカーらの責任について
  本決定により、主要なアスベスト建材企業である8社について、石綿の危険性を知りながら利益のために適切な警告を尽くさずに、製造・販売を続けたことの共同不法行為責任を認めた大阪高裁判決が確定した。責任が確定した8社は、シェア上位企業であり、その責任が確定したことは、今後の被害者救済にとって大きな意義がある。上告が受理された2社はいずれも高裁判決において、屋外工に対する賠償責任が認められた企業であり、その意味では、屋外工に対する関係を除いて、建材企業の警告義務違反に基づく共同不法行為責任はこれで決着した。建材企業の共同不法行為責任が最高裁で確定したのは初めてであり、今後の被害救済につながる大きな成果と言える。
4 屋外作業について
  最高裁は、屋外工(屋根工)1名との関係で、平成14年1月1日以降の国と企業の責任を認めた大阪高裁判決を見直す可能性がある。しかし建設現場における石綿粉じん曝露の危険性は屋内外で本質的に異なるところはない。その点は海外の規制を見ても明らかであり、屋外作業を規制対象から除外することはできない。この点は、今後上告審において最高裁に強く訴えていきたい。
5 全ての被害者への謝罪と償い、早期解決を
  2008年5月16日に首都圏建設アスベスト訴訟が東京地裁に提訴されてからすでに12年8ヶ月、2011年6月3日に京都1陣訴訟が京都地裁に提訴されてから9年7ヶ月が経過した。その間に、多くの被害者が解決を見ることなく亡くなっている。国も企業も責任が確定した今、これ以上の解決の引き延ばしは許されない。早期全面解決に踏み出すべきである。
   私たちは、国と企業に対し、第1に京都訴訟の原告ら被害者に真摯に謝罪するよう求める。第2に全ての建設アスベスト訴訟の早期全面解決と被害者への公正な償いを求める。第3に、建設アスベスト被害者補償基金の創設等の抜本対策を講ずるよう強く求める。
   私たちは、建設アスベスト被害者の完全救済とアスベスト被害の根絶のため、全国の被災者、労働者、市民と連帯して、引き続き奮闘する決意である。
                                  以上

かかりつけ弁護士のススメ

2020年8月3日、KBS京都ラジオの「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」の「噺の朝ごはん」のコーナーに生出演し、「かかりつけ弁護士」についてお話させて頂きました。

「かかりつけ」という言葉から連想されるのは、お医者さんや薬剤師さんなどが一般的と思います。
けれど心身に問題が生じることがあるように、私たちの社会生活にも様々な問題が生じることがあります。近所とトラブルになったとか、学校で子どもがよその子に怪我をさせたとか、ネット通販で注文した商品に欠陥があった等々、自分は大丈夫と思っていても保障はなく、いつ何時どのようなトラブルに巻き込まれるかは予想できません。
また高齢化が進む一方、核家族化も進み、身近に頼れる人がいない高齢者の方も増えています。老後の人生を安らかに過ごすために、自分に万一のことが起こったり、認知症等になったときのために転ばぬ先の杖として専門家に相談しながら準備しておきたいという方も増えています。
一昔前なら、どこの町内にも「横町のご隠居さん」といった身近な相談役の方がいましたが、地域の結びつきが希薄になってる今は、そういう方もなかなかおられず、また社会が複雑化する中、専門家抜きで対応することも難しくなっています。
そんなときに頼りになるのが、「かかりつけ弁護士」です。
これは弁護士事務所に会員登録し、皆さんのお困り事や心配事のよろず相談を弁護士に無料で相談にのってもらうものです。
相談の内容に一切制限はありません。「こんなこと弁護士さんにきいていいのかな?」と思われるような相談でも構いません。人生相談でも結構です。何気ない一言に実は大事な問題が隠されていたということもあります。雑談でもしに来るおつもりで、どうぞ気軽にご相談下さい。
また「もうちょっと早めに相談してもらえたら」と思うこともよくあります。あまり肩肘張らずに早め早めにご相談下さい。
私たち京都法律事務所は、1979年の創設時から、「敷居は低く、志は高く」をモットーに、京都のマチ弁として、債務や消費者被害、相続、遺言、離婚、交通事故、借地借家等の一般的事件から、医療や労働・労災、建築、行政など専門性の高い分野まで、市民のみなさんの幅広いニーズにお応えしてきました。私どもでは、かかりつけ弁護士のメニューとして以下の二つをご用意していす。ご希望に応じてご利用頂ければと思います。
【うぃず会員(会費無料)】
会費は無料で、ご住所・お名前・電話番号を登録して頂くと、事務所から年2回程度ニュースをお送りするほか、毎週水曜午後1~3時にお電話でのご相談をお聞きします。また来所でのご相談も初回無料となっています。お電話でのご相談については弁護士の指名はできませんが、来所の場合は可能です。
【かかりつけ弁護士契約】
これは個人として弁護士と専属顧問契約を交わすものです。顧問料は年間5000円からです(消費税別)。事務所ニュースの送付や電話での御相談に加えて、来所相談、メール相談、出張相談等も、あなた専属の弁護士が何回でも随時、無料で行わせて頂きます。ただし出張相談の場合は別途交通費のご負担をお願いする場合があるほか、業務の内容によっては別途弁護士費用が発生する場合があります。
以上についてのお申込・お問合せ・資料請求等は、TEL075-256-1881までお気軽にお電話下さい。
 長年、親族の世話をしてきても、相続人でない場合(例えば亡夫の父親の介護をしてきた妻など)は、遺産は相続人のみが取得し、本人は一銭ももらえないということがままありました。
  これまでも被相続人の療養介護等で特別の貢献をした場合には寄与分(民法904条の2)がありましたが、これは相続人だけに限定されており、相続人以外の方が貢献しても遺産の分配は認められませんでした。
 しかし民法が改正され、2019(令和元)年7月1日以降に被相続人が死亡した場合については、相続人以外の方でも特別の寄与があれば特別寄与料として遺産の分配を受けることができることになりました(民法1050条1項)。
 以下、具体的にご紹介します。
1 特別寄与者の資格
    特別寄与者になれるのは、「相続人ではないが被相続人と親族関係がある者」に限られます。型例が亡夫の親の世話をしてきた妻です。
   親族とは、①6親等内の血族、②配偶者、③3親等内の姻族のいずれかに該当する場合をいいます(民法725条)。上記の典型例は1親等の姻族なので③に該当するため、相続人ではありませんが特別寄与者に該当します。
   但し、親族に該当する場合でも、自ら相続放棄をした者及び相続を受けるに相応しくない者(相続欠格事由、相続廃除)は除かれます。
  
2 特別の寄与とは?
   特別寄与者が特別寄与料を請求できるのは、被相続人に対して
  ①無償で
  ②療養看護その他の労務の提供を行い、
  ②被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合
  です。
   まず療養介護等は無償であることが必要です。有償の場合は、その程度にもよりますが、特別寄与料を全部又は一部もらえない可能性があります(民法1050条3項の「一切の事情」として裁判所が考慮)。
   また「療養看護」は具体例でこれに限られるわけではなく、例えば故人の事業に無償で従事していた場合などは、「その他の労務提供」に該当することになります。
   但し、特別寄与料が認められるのは療養看護と労務の提供に限定されます。従って、「財産上の給付」をすることにより被相続人の財産の維持・増加に努めても、特別寄与料の請求はできません。「精神的な支え」になったという場合も財産の維持増加につながらないものは認められません。
   さらに被相続人の遺産を維持・増加させるような特別な寄与であることが必要です。ただ相続人に対する寄与分の場合は、寄与の程度が被相続人との関係に基づいて通常期待される程度の貢献を超えるものが要求されます。なぜなら、相続人は単なる親族以上に被相続人と濃厚な関係にあるゆえに相続権を認められるわけで、そうした関係から期待される程度を超える高度な寄与が求められるのです。これに対し特別寄与者は相続人ではないのに無償の貢献を行う場合ですから、そこまでの高度な寄与は求められず、その貢献に報いるのが相当と認められる程度の顕著な貢献であれば足りると理解されています。
3 特別寄与料の請求方法
    特別寄与者が相続人との間の協議で解決することが望ましいといえますが、協議が不調に終わったときや、そもそも相手方が協議に応じないときは、家庭裁判所に調停を申し立てます。申立書を提出する裁判所は、請求の相手方である相続人(複数いる場合はそのうちの1人)の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所です(家事事件手続法245条)。
    調停で話合いがまとまらず調停不成立となった場合には,審判手続が開始されます。この場合、裁判所が特別寄与料を定めて相続人に対し金銭の支払いを命じます(新家事事件手続法216条の3)。
4 特別寄与料の金額の定め方
 民法1050条3項は、特別寄与料の金額について、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が特別寄与料の額を定めると規定しています。要するに相続に関する一切の事情が総合考慮されて金額が決まるということになります。
   特別寄与料については、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができないという上限が定められています。例えば、遺産の総額が1000万円で、被相続人が遺言で500万円を遺贈した場合は、特別寄与料の上限額は、1000万円-500万円=500万円となります。これは、特別寄与者よりも被相続人の遺贈の意思を優先させた趣旨です。
5 請求期限
    家庭裁判所に対する特別寄与料に関する処分の調停申し立ては、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6箇月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときはできなくなります(民法1050条2項)。なので特別寄与者は相続が開始したら、できる限り早期に相続人に特別寄与料を請求する必要があります。
 以上、特別寄与料の概略をまとめてみました。詳細は弁護士に相談されることをお勧めします。
 新型コロナ感染症の拡大に伴い、国や自治体が各種の給付金・助成金の制度を設けています。自粛を求めるなら補償せよという国民の声に押されて、後手後手ながら各種の制度が創設ないし拡充されてきました。さらなる拡充を求めつつ、現在ある制度は最大限活用して危機に立ち向かっていきましょう。以下、2020年5月13日時点の制度をまとめてみました。
 是非ご活用ください。また、詳しいアドバイスを希望される方は当事務所までまずお電話ください(電話075-256-1881)。

【個人向け】
《特別定額給付金》
◆概要
      いわゆる一人10万円の給付金のこと
◆対象者及び受給権者

    ○給付対象者は,基準日(2020年4月27日)において,住民基本台帳に記録されている者
○受給権者は,対象者の属する世帯の世帯主    ※世帯主が基準日以降に死亡した場合は,他の世帯構成員の中から新たに世帯主となった者または他の世帯構成員の中から選ばれた者。
      ※配偶者からのDVにより避難している場合→後記(5)をご覧下さい
◆給付額
      対象者1人につき10万円
◆給付金の申請及び給付の方法
   ○給付金の申請は原則として郵送またはオンライン方式
        ※やむを得ない場合は窓口申請も可。
        ※郵送による場合は、自治体から送付される申請書に記入して返送
        ※オンライン申請はマイナンバーカード所持者が利用可能。マイナポータルから振込先口座を入力した上で,振込先口座の確認書類をアップロードし,電子申請
  ○給付は,原則として申請者の本人名義の銀行口座への振込み
   ○申請期限は,郵送申請方式の申請受付開始日から3か月以内
◆配偶者からのDVを理由に避難している場合
  ○避難場所を知られないために2020年4月27日以前に 現在の居住地に住民票を移すことができなかった方は、次の手続きをすると、世帯主でなくても同伴者の分も含めて給付金を受け取ることができます。
  ○手続き
      ・現在お住まいの市区町村の特別定額給付金担当窓口へ「申出書」を提出してください。「申出書」は、配偶者からの暴力を理由に避難していることを申し出るものです。
      ・申出書の書式→総務省HPから入手可能
         https://www.soumu.go.jp/main_content/000684545.xls
      ・申出書の提出期間は、2020年4月24日から4月30日までとされていましたが、実際には4月30日以降も受け付けられています。できるだけ早く、今お住まいの市区町村の特別定額給付金担当窓口へ相談してください。
   ・申出書には、DVを理由に避難していることを確認するために、以下の①~③のいずれかの書類の添付が必要です。
         ①婦人相談所、配偶者暴力相談支援センター等が発行する証明書
         ②市町村が発行するDV被害申出確認書
          ③保護命令決定書の謄本又は正本
      ・2020年4月28日以降に、今お住まいの市区町村に住民票を移し、住民基本台帳の閲覧制限等の支援措置を受けている方は、申出書の提出は不要。

《住居確保給付金支給事業》
◆概要
     失業,廃業,又は個人の責に帰すべき理由・都合によらない就業機会等の減少により経済的に困窮した方で,住居を喪失している方又は喪失するおそれのある方を対象として,賃貸住宅の家賃相当分の住居確保給付金を支給するもの。
◆対象者
    ①離職や廃業後2年以内の方
    ②2020年4月20日以降は、新型コロナウイルス感染症の影響等により,給与等を得る機会が当該個人の責に帰すべき理由・都合によらないで減少し,離職や廃業と同程度の状況にある方も対象となりました。
◆支給額
      家賃の実額。ただし,世帯の人数により次の金額が上限です。
           1人:4万円、2人:4.8万円、3~5人:5.2万円、6人:5.6万円、7人以上:6.2万円
◆収入及び資産の要件
        一定額以上の収入や資産がある方は対象外となりますが、基準は自治体によって異なるので、詳しくは下記の窓口にお問い合わせ下さい。
◆支給期間
      原則として3ヶ月間(最長9ヶ月まで延長可)
◆窓口
      最寄りの自立支援機関にお問い合わせください。
       https://www.mhlw.go.jp/content/000614516.pdf(厚労省HPより)


【事業者向け】
《京都府休業要請対象事業者支援給付金》
◆概要
      京都府の緊急事態措置に伴い、施設の休止や営業時間の短縮の要請等にご協力した中小企業・団体及び個人事業主に対して支援給付金を支給するもの。
◆対象
      ・京都府内に事業所を有する中小企業・団体及び個人事業主
      ・緊急事態措置の全ての期間(4/18~5/6)のうち、遅くとも4/25午前0時から5/6まで連続して休止等の対応を実施した者
◆給付額
      ・中小企業・団体 20万円
      ・個人事業主 10万円
◆申請
      ・5月7日から受付開始
◆窓口
      ・休業要請対象事業者支援給付金コールセンター(申請手続きを案内)
          TEL:075-706-1300(平日9:00~17:00、5/9(土)及び 5/10(日)は開設)

《京都市中小企業等緊急支援補助金》
◆補助対象者
   ア 中小企業,小規模事業者,フリーランスを含む個人事業者のうち,売上高が50%以上減少している方等
   イ 主たる事業所を市内に設けている又は団体構成員の半数以上が市内に事業所等を設けている商店会・業界団体等
◆補助対象事業
 ア 施設等の消毒や清掃衛生対策のための消耗品や備品の調達,施設の改修等に必要な経費
   イ 売上向上や消費喚起に向けた事業等の実施に必要な経費
   ウ 販路開拓,生産性の向上,事業継続の取組等の実施に必要な経費
◆補助対象の事業期間
     2020年4月1日[水]~同年9月30日[水]
◆補助金額
   ア 補助金額上限 30万円
   イ 補助率
    (ア)中小企業,小規模事業者,フリーランスを含む個人事業者等
    ・直近1箇月の売上高が前年同月比50%以上80%未満減少 3/4以内
        ・直近1箇月の売上高が前年同月比80%以上減少     4/5以内
    (イ) 商店会・業界団体等 3/4以内
◆その他
    詳細は以下のホームページを参照
        https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000268641.html

《持続化給付金》
◆概要
 感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業継続を下支えし、再起の糧とするために事業全般に広く使える給付金。
◆給付対象者
  資本金10億円以上の大企業を除く中堅企業,中小企業,小規模事業者,フリーランスを含む個人事業者等,その他各種法人(医療法人・農業法人・NPO法人・社会福祉法人等)で,新型コロナウイルス感染症の影響により売上が前年同月比で50%以上減少している者
◆給付額
      法人は200万円以内、個人事業者は100万円以内。
      但し昨年1年間の売上げからの減少分を上限とする。
      売上げ減少分の計算方法
     前年の総売上(事業収入)-(前年同月比▲50%月の売上×12カ月)
          ※前年に創業した場合は別途対応。
◆申請期間・方法
 令和2年5月1日から令和3年1月15日まで。電子申請が原則です。
     詳細は、「持続化給付金」の事務局HPを御確認ください。
         https://www.jizokuka-kyufu.jp/
◆相談窓口
   持続化給付金事業コールセンター」
    ・受付時間:8時30分~19時00分 5・6月(毎日),7~12月(土曜日を除く日から金曜日)
    ・電話番号:0120-115-570

《雇用調整助成金(特例措置)》
◆概要
 経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るために、一時的な休業、教育訓練、出向を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額,出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成
◆適用対象
 ①対象事業者
  新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者(全業種)
 ②対象期間等
  休業等の初日が2020年1月24日以降のものに遡って適用。 ただし、③の生産指標の要件緩和については、緊急対応期間である2020年4月1日から2020年6月30日までの休業等に適用。
 ③生産指標要件
  生産量・売上高などの生産指標が申請月の前月に、対前年同月比で5%以上減少していること。
        ※コロナ対策のため基準が緩和され、前年同月とは適切な比較ができない場合は、前々年同月との比較や、前年同月から12か月のうち適切な1か月との比較が可能。
    ※5%以上減少という要件は2020年4月1日から2020年6月30日までの特例で、休業期間の初日が緊急対応期間外の場合は、最近3か月の生産指標が前年同期比で10%以上減少していることが必要
 ④対象労働者
     雇用保険被保険者でない労働者も含む(通常は6か月以上の被保険者限定)
    ⑤休業等の日数要件等
      休業等の延べ日数が対象労働者に係る所定労働日数の1/20(中小企業)、1/15(大企業)以上となることとされていたが、これを1/40(中小企業)、1/30(大企業)以上に緩和。
◆助成率
      休業手当の4/5(中小)、2/3(大企業)
      解雇・雇止め等を行わなかった場合は9/10(中小)、3/4(大企業)
    ※但し、2020年5月1日に、以下の特例措置が発表。
     ア 中小企業が都道府県知事からの休業要請を受けるなどの以下の要件を充たす場合は休業手当全体の助成率を特例的に100%とする。
    ①新型インフルエンザ等対策特別措置法等に基づき都道府県対策本部長が行う要請により、休業又は営業時間の短縮を求められた対象施設を運営する事業主
              ②要請に協力して休業等を行っていること
              ③以下のいずれかの手当を支払っていること
                ・労働者の休業に対して100%の休業手当を支払っていること
                ・上限額(8,330円)以上の休業手当を支払っていること(支払率が60%以上の場合に限る)
          イ アに該当しない場合であっても、中小企業が休業手当を支給する際、支払率が60%を超える部分の助成率を特例的に100%とする。
◆申請手続き
 事後提出を可能とし提出期間を延長(1月24日~6月30日まで)。
 ※新型コロナの生協で休業等を行った場合は、特例として、1月24日~5月31日までの休業の申請期限は2020年8月31日まで
      ※6/5以降オンライン申請再開予定
◆相談窓口
   京都労働局 助成金センター
       TEL 075-241-3269

《小学校休業等対応支援金》
◆概要
  新型コロナ感染症にかかる小学校等の臨時休業等に伴い,子どもの世話をするため,契約した仕事ができなくなっている自営業者やフリーランスの支援
◆対象となる子ども・・・次の①又は②に該当する子ども
    ①新型コロナウイルス感染症への対応として、ガイドライン等に基づき、臨時休業等(※)をした小学校等(※)に通う子ども
       ※「小学校等」とは?
          →・小学校、義務教育学校の前期課程、各種学校(幼稚園または小学校の課程に類する課程を置くものに限る)、特別支援学校(全ての部)
            ・障害のある子どもについては、中学校、義務教育学校の後期課程、高等学校、各種学校(高等学校までの課程に類する課程)なども含む。
            ・放課後児童クラブ、放課後等デイサービス
            ・幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育施設、家庭的保育事業等、子どもの一時的な預かりなどを行う事業、障害児の通所支援を行う施設など
       ※「臨時休業等」とは?
        →新型コロナウイルス感染症に関する対応として、小学校などが臨時休業した場合、自治体や放課後児童クラブ、保育所などから利用を控えるよう依頼があった場合が対象となります。保護者の自主的な判断で休ませた場合は対象外。
            ただし、学校長が新型コロナウイルスに関連して出席しなくてもよいと認めた場合は対象となる。
    ②次の(ⅰ)~(ⅲ)のいずれかに該当し、小学校等を休むことが必要な子ども
      (ⅰ)新型コロナウイルスに感染した子ども
      (ⅱ)風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある子ども
      (ⅲ)医療的ケアが日常的に必要な子ども又は新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患等を有する子ども
◆対象者
   フリーランスや自営業など委託を受けて個人で仕事をする方向け
◆対象期間
   2020年2月27日~6月30日
◆支援額
   就業できなかった日について,日当たり4,100円(定額)
◆申請期限
   2020年9月30日まで
◆窓口
      学校等休業助成金・支援金等コールセンター
       0120ー60-3999
       受付時間:9:00~21:00(土日・祝日含む)
         https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10231.html

《小学校休業等対応助成金》
◆概要
      新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、小学校等が臨時休業等に伴い、その小学校等に通う子の保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、有給の休暇(年次有給休暇を除く)を取得させた企業に対する助成金
◆対象となる子ども・・・次の①又は②に該当する子ども
    ①新型コロナウイルス感染症への対応として、ガイドライン等に基づき、臨時休業等(※)をした小学校等(※)に通う子ども
       ※「小学校等」とは?
          →・小学校、義務教育学校の前期課程、各種学校(幼稚園または小学校の課程に類する課程を置くものに限る)、特別支援学校(全ての部)
            ・障害のある子どもについては、中学校、義務教育学校の後期課程、高等学校、各種学校(高等学校までの課程に類する課程)なども含む。
            ・放課後児童クラブ、放課後等デイサービス
            ・幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育施設、家庭的保育事業等、子どもの一時的な預かりなどを行う事業、障害児の通所支援を行う施設など
       ※「臨時休業等」とは?
        →新型コロナウイルス感染症に関する対応として、小学校などが臨時休業した場合、自治体や放課後児童クラブ、保育所などから利用を控えるよう依頼があった場合が対象となります。保護者の自主的な判断で休ませた場合は対象外。
            ただし、学校長が新型コロナウイルスに関連して出席しなくてもよいと認めた場合は対象となる。
    ②次の(ⅰ)~(ⅲ)のいずれかに該当し、小学校等を休むことが必要な子ども
      (ⅰ)新型コロナウイルスに感染した子ども
      (ⅱ)風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある子ども
      (ⅲ)医療的ケアが日常的に必要な子ども又は新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患等を有する子ども
◆対象期間
      2020年2月27日から6月30日までの間に取得した休暇について支援
◆支給対象者
     子どもの世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対し、有給(賃金全額支給)の休暇(労基法上の年次有給休暇を除く)を取得させた事業主
◆助成内容
   有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金額の10/10
      (1日当たり8330円が支給上限)
◆申請期間
   2020年9月30日まで

《中小企業等新型コロナウイルス対策緊急支援補助金(京都府)》
◆概要
   新型コロナウイルス感染症の影響を受け、業況が悪化している中小企業・小規模企業等を支援する補助金
◆適用対象
  ①補助対象事業者
   次の1から3をすべて満たす中小企業・小規模企業等
    1.京都府内に主たる事業所を有していること
    2.新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少していること
    3.中小企業応援隊員のコンサルティングを受けていること
    ②補助対象経費
    新型コロナウイルス感染症への対応として行う設備導入や事業継続・売上向上につながる取組等に必要な経費
   □新型コロナウイルス感染症のさらなる拡大を防ぐための取組
        ・テレワークの実施に係るソフトウェア等の導入経費等
       □売上向上や販路開拓に向けた取組
        ・インターネット販売の強化に要する経費等
       □固定経費削減につながる取組
        ・作業効率を大幅に向上させる機器導入や省エネ効果のある機器等への更新経費等
       □固定客を生み出すようなイベント実施
        ・売り出し等チラシ、イベントなどの粗品に係る経費等
◆補助率・補助上限
   小規模企業:2/3(上限20万円)
        ※常時使用する従業員数が20人以下(卸売業・小売業・サービス業にあっては5人以下)の事業者
   中小企業(小規模企業除く):1/2(上限30万円)
◆申請受付期間
      3/27(金)~4/30(木)
◆相談窓口
   中小企業応援隊(地域の各商工会・商工会議所、京都府中小企業団体中央会、
       (公財)京都産業21)において申請を受付。
     問い合わせ先は、京都府商工労働観光部中小企業総合支援課(中小企業応援センター事務局(京都経済センター内))電話075-366-4357


《農林水産業等新型コロナウイルス対策緊急支援事業補助金(京都府)》
◆補助対象者
 新型コロナウイルス感染症によって出荷・販売等の経済活動に影響を受けた農林水産業者,または農林水産業者等が組織する団体
◆補助対象取組例
  1.新たな販路の開拓や代替販路への出荷等
  2.出荷できない農林水産物を使った新商品の試作・開発
  3.農産物の次期作への切り替え,畜産物の品質向上等
◆補助率・補助上限
  1.補助率:事業実施に係る経費の2/3
  2.補助上限:20万円
◆対象期間
  2020年2月25日以降の取組が対象
◆窓口
      京都府のホームページ参照
        http://www.pref.kyoto.jp/nosei/madoguchi.html

《ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金》
◆概要
   新製品・サービス開発や生産プロセス改善等の設備投資
◆補助上限 1,000万円
◆補助率  中小企業 1/2,小規模事業者 2/3
◆募集期間
  ○第1次募集:2020年3月31日17:00締切 ※終了
    ○第2次募集:2020年4月20日~2020年5月20日17:00
◆窓口
      全国中小企業団体中央会のホームページを参照
        https://www.chuokai.or.jp/hotinfo/reiwamono-0326koubo20200310.html
      ※ 新型コロナウイルス感染症びよる売上減少等の影響を受けた事業者には,審査時に加点措置あり

《小規模事業者持続化補助金(一般型)》
◆概要
   店舗改装,ホームページ作成・改良,チラシ・カタログ作成,広告掲載などに使える。
◆補助上限 50万円
◆補助率  2/3
◆募集期間
    ○第1回受付締切:2020年3月31日[火] ※終了
    ○第2回受付締切:2020年6月5日[金]
    ○第3回受付締切:2020年10月2日[金]
    ○第4回受付締切:令和3年2月5日[金]
◆窓口
    ○京都商工会議所管内は,日本商工会議所のホームページを参照
         https://r1.jizokukahojokin.info/
    ○京北商工会管内は,全国商工会連合会のホームページを参照
         http://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/
      ※ 新型コロナウイルス感染症びよる売上減少等の影響を受けた事業者には,審査時に加点措置あり

1 事実経過

  京都市は2019年4月8日、2019年度に18歳・22歳に達する市民の住所・氏名の宛名シールを、本人同意なしに自衛隊京都地方協力本部(以下「自衛隊」という)に提供した。

  これには、憲法上のプライバシー権ないし自己情報コントロール権の侵害、市が法的根拠とする自衛隊法97条と同法施行令120条は本人同意なき個人情報提供の適法要件たる「法令の定め」に該当しない、という法的問題があった。

 これに対し、京都市個人情報保護条例(以下、「条例」という)に基づき、3人の市民が個人情報の利用停止請求を行ったが、上述のとおり市は利用停止しないと決定し宛名シールの提供を強行した。これを受けて、2019年4月3日、上記の3人の市民が京都市情報公開・個人情報保護審査会(以下「審査会」という)に対し、個人情報非利用停止決定処分の取消を求めて審査請求を行った。

  この問題は2020年2月2日投開票の京都市長選でも争点となったが、選挙後の同年3月5日、審査会は、市の処分は妥当との不当な答申を行い、同月30日、京都市長は、この答申をほぼなぞる形で審査請求を棄却する旨の不当裁決を行った。

 【答申個第95号 自衛隊京都地方協力本部に対し提供される宛名シール(非利用停止決定)https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/cmsfiles/contents/0000113/113961/ko95.pdf


  この問題については、本ブログでも詳論したが、本稿ではこの審査会の決定の問題点を中心に述べる。

 

2 「法令の定め」の意味に関する解釈運用

(1)京都市の解釈

   本件の最大の論点は、自衛隊法97条と同法施行令120条が、本人同意なき個人情報提供の適法要件たる「法令の定め(条例8条1項1号)」に該当するのかという点である。

 この点、京都市は「個人情報保護事務の手引き(以下「手引き」という)という内部文書により、「法令で目的外の利用,提供をすることができることを明文で定めている場合」のみならず「法令の規定の趣旨,目的により目的外の利用,提供をすることができると解される場合も含む」と幅広く解釈すると定めている。

   【京都市・個人情報保護事務の手引き】             https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/cmsfiles/contents/0000084/84692/R204_kojinjyoho_tebiki.pdf

(2)他市の解釈

     しかし同じ政令市でも、千葉市では「個人情報保護事務の手引」の中で、「提供できることを条文上又は解釈上明らかに定めている場合に限る。提供が実施機関の判断による場合は含まない」と明記し、「提供できる」旨の規定に基づく提供は、裁判所による調査嘱託や送付嘱託、刑訴法上の捜査事項照会、弁護士法に基づく照会等に限定している。

     また大阪府の個人情報保護条例解釈運用基準でも、「法令又は条例の規定に基づくとき」とは、個人情報の目的外利用又は提供が義務付けられている場合に限る」と厳格に解釈している。


   【千葉市・個人情報保護事務の手引き】

   https://www.city.chiba.jp/somu/somu/seisakuhomu/shisei/documents/k-tebiki01.pdf

 

   【大阪府・個人情報保護条例解釈運用基準】

   http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/4507/00020299/kaishaku300401.pdf

 

(3)京都市の解釈の問題点

     本来、個人情報保護の観点からは千葉市や大阪府のような厳格解釈があるべき態度である。京都市の解釈では、法令の趣旨、目的の解釈の仕方次第で、同意なき個人情報の目的外利用の範囲が如何様にも伸び縮みすることになる。これでは余りにも要件が曖昧すぎるだろう。

(4)審査会の答申

   この点、審査会は、自衛隊法及び同法施行令の規定上、自衛隊が個人情報を資料として提出するよう求めることができるとは明示されていないと認めた。

   しかし審査会は、上記の市の幅広解釈を引用した上で、国は自衛隊法及び施行令により市町村長に対し個人情報の提出を求めることができ、市町村長が募集に必要な資料を自衛隊に提出することはそれらの規定に基づいて遂行される適法な事務であるとの国の見解があること、施行令に基づく事務は地方自治法施行令1条及び別表1により法定受託事務とされ、国が本来果たすべき役割に係るものでその適正な処理を確保する必要があるものとされており、それについて国自身が示している公式見解は市町村にとって大きな意義を有していることを理由に、たとえ国の見解への異論があったとしても、市が自衛隊法及び施行令を「法令の定めがあるとき」の根拠としたことは条例に反するとは評価できないと判断した。

(5)審査会答申の問題点

   しかし、審査会答申は、「法令の定め」の解釈に関する「法令の規定の趣旨,目的により目的外の利用,提供をすることができると解される場合も含む」という市の幅広な解釈が、個人情報保護の観点から正しいのかについて完全に判断を回避した。これでは個人情報保護の役割を放棄したといわれても仕方あるまい。

 また法定受託事務だから国の公式見解が重要であり、自治体がそれに従うのは違法でないと言うのはある種の国家無謬論だろう。荒唐無稽な理屈でも国には従うべきというに等しく、憲法論として極めて疑問である。市の審議会は、国に忖度するのではなく個人情報保護という本来の任務に即して条例に関して積極的な解釈を示すべきであった。これでは国と地方の対等協力関係を謳った地方分権一括法の趣旨に悖るものとの批判を免れまい。

 

3 個人情報の目的外提供が義務づけられていない場合の提供の要件

(1)京都市の立場

   上述のように、京都市の解釈では、条例8条1項1号の「法令の定め」とは、個人情報の目的外提供が義務づけられていない場合も含むとされているが、その場合、手引きでは、同条1項5号の「公益上特に必要があり、かつ、本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められるとき」の例として列挙された類型に該当するか否かを判断するとされている。

     この5号類型は、「法令に基づいて、必要な限度で個人情報を提供する場合。ただし本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められる場合に限る」と規定される場合である。これに関して、京都市は手引きに、裁判所からの文書送付嘱託等、会計検査院からの帳簿提出要求、税務署の質問・検査、訴訟当事者からの照会、弁護士会照会、捜査機関からの照会という個別的類型に加えて、「法律若しくはこれに基づく政令に基づき、国の行政機関等からの個別的かつ具体的な指示により文書等を提供する場合」という極めて曖昧な包括的類型を忍び込ませている。

   これは上述のとおり、千葉市が「個人情報保護事務の手引」の中で、個人情報を「提供できる」旨の規定に基づく提供は、裁判所による調査嘱託や送付嘱託、刑訴法上の捜査事項照会、弁護士法に基づく照会等に限定していることと対比すると大違いである。かかる包括類型は個人情報横流しに関する広範囲の抜け道を設けるもので、個人情報保護の観点からは極めて問題である。

(2)審査会の答申

 ア 審査会は、この包括類型に沿って、自衛隊は募集対象者情報の提供にあたって具体的に対象者を絞り込んだとか、提供方法も紙媒体にて提供するよう具体的に指定されていると述べて、「個別的かつ具体的な指示により文書等を提供する場合」に該当すると判断した。

イ そして、「必要な限度で個人情報を提供する場合。ただし本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められる場合に限る」という手引きの定めとの関係では、提供情報が4項目(住所・氏名・性別・生年月日)から2項目(住所・氏名)に限定されたこと、自衛隊に個人情報が残らないよう覚書を交わして個人情報の返還を求め実際に返還を受けていること、従前の住民基本台帳の閲覧・書写よりも提供情報が限定されること、個人情報の使用停止請求があれば事実上宛名シールから除外していること等の事情を挙げて、問題なしと判断した。

(3)審査会答申の問題点

ア しかし、5号類型の具体例として列挙されている裁判所からの文書送付嘱託等は個別事案に関する特定の文書の提供を想定したもので、18歳22歳の市民全員の個人情報を一律に提供するという広範な情報提供とは質的に異なる。これで上記アのように「個別的かつ具体的指示」があったというのは、牽強付会の誹りを免れまい。

イ また、上記イについては結論ありきの認定と言うほかない。本来、この5号類型とは、「公益上特に必要があり、かつ本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められるとき」を言う(条例8条1項5号)。本件では2万6000人以上の個人情報が、本人の同意なしに自衛隊に提供されたわけだが、これが「公益上特に必要があり」と言えるのか答申では全く言及されていない。

  また項目が2項目になろうが自分の情報を横流ししてほしくないという市民の権利利益が害されている事実は消えない。

  また後述のように市が自衛隊と交わした個人情報の目的外利用を禁ずる覚書には「本業務」の定義規定がないため、「本業務」以外への利用を抑止できないという規定上の不備もあった(それは審査会も認めている)。個人情報の返還を受けたというが、返還されたのは紙媒体であり、情報自体が返還されたわけではなく自衛隊側がコピーを取っていないという保証はない。情報保全隊による違法な国民監視活動が確定判決(平成28年2月2日仙台高判判時2293号18頁)で認定されている自衛隊に対して、このような性善説に立つのは余りにも無邪気すぎる。

  さらに利用停止請求がなされたときは事実上宛名シールから除外されたから権利利益を侵害するおそれがないと言う点については、後述のとおり、審査会自身が条例に基づく利用停止請求は宛名シールからの除外のための仕組みとして不十分だとして、より簡便で利用しやすい仕組みを構築すべきと市に注文を付けたことと完全に矛盾している。

 

4 個人の権利利益の侵害の判断基準

(1)京都市の定め

   条例では、「法令の定め」があっても、個人の権利利益の侵害にあたる場合は個人情報の提供はできない(条例8条1項但書、同条2項)。ところが、京都市には、「権利利益の侵害にあたる場合」の判断基準の定めがない。

(2)名古屋市個人情報保護条例の解釈及び運用

 この点、名古屋市個人情報保護条例の解釈及び運用では、以下のとおり判断

基準を具体的に明記している。


      ①提供を求める目的が明確・適正であり、かつ、当該目的の達成により

  もたらされる公益が、個人情報が提供されることにより個人の権利利益

  に及ぼす利益と比較して、なお上回る利益を有するものであるか。

      ②提供を求める個人情報の内容が目的からみて必要不可欠のものか。

      ③提供を求める個人情報の内容に要注意情報が含まれていないか。

      ④本市に提供を求める以外に当該個人情報を確認する有効な手段はないか。

   

   かかる名古屋市の規定は、自治体による恣意的判断を予防する上で有用

  なものいえよう。


   【名古屋市・個人情報保護条例の 解釈及び運用】

   https://www.library.city.nagoya.jp/img/oshirase/2016/z_shitei_shiyou_3_7_2_1.pdf

 

(3)本件との関係

本件においても、名古屋市の判断基準の④の観点からは、住基台帳の閲覧ができる以上、宛名シールの提供は個人の権利利益を侵害しないとはいえないだろう。京都市においても同様の定めを整備すべきである。

 

5 成果と課題

     審査会は、非利用停止決定処分自体は妥当としたが、京都市が自衛隊と交わした目的外利用を禁ずる覚書に「本業務」の定義規定がないため、「本業務」以外への利用を抑止できないという不備があったことを認めて、「覚書の記載内容を改めて点検するなど、自衛隊との間で募集対象者情報適正な取扱いが確実になされるよう努めるべき」との付言を行った。

  また審査会は、京都市が、宛名シールの提供を希望しない者への対応方法として、条例に基づく利用停止請求をさせていることについて、「事実上の対応を行ううえでの契機とすることに目的を置くのであれば、必ずしも条例による使用停止請求の手続による必要はない。」として、「より簡便かつ利用しやすい仕組みを構築すべきである。」との付言も行った。

  審査会の答申と京都市長の裁決はいずれも全体として問題が多いが、実践的には答申のこの2点の付言は重要な意義があり、市民の運動の成果と言うことができる。これを活用しつつ、さらに市民の権利擁護の取り組みを進める必要がある。いずれにせよ、今後、京都市民は18歳22歳になると毎年自動的に自衛隊に個人情報が横流しされることになる。これが続けばあらゆる国家機関の中で、唯一自衛隊だけが膨大な個人情報を蓄積できることになる。その問題性は今後も問われ続けることになるだろう。                                                                                                                                               以上

1 地方自治体の自衛隊への個人情報提供問題の経過

地方自治体による自衛隊への就職適齢者の個人情報提供問題がクローズアップされている。2017年度に全国約1700の市区町村のうち、住民基本台帳の閲覧に応じたのが約55%の931、紙や電子媒体で名簿を提供したのが約35%の632、残る約10%は小規模自治体などで防衛省が情報提供を求めていない。

閲覧対応の自治体では、自衛隊地方協力本部の職員が手書きで書き写していたが、手間がかかり誤記もあるため、2018年5月に防衛大臣が各地方自治体に募集対象者の4情報(氏名、出生年月日、性別、住所)を紙媒体又は電子媒体で提供するよう依頼した。本年2月10日には、安倍首相が自民党大会で、都道府県の6割以上が隊員募集に協力を拒否しているとして、その問題を解決するために「憲法にしっかりと自衛隊と明記して違憲論争に終止符を打とう」と発言し物議を醸した。

こうした中、各地で紙媒体や電子媒体による名簿提供の動きが拡がっている。その中でも京都市は全国的に突出した形で自衛隊の募集業務への協力方針を打ち出した。これまで閲覧対応にとどめていたのを、2019年度に18歳・22歳に達する市民の住所・氏名を印字した宛名シールを作成し、自衛隊京都地方協力本部に提供することを2018年11月に決定したのである。

以下、その法的諸問題について述べる。

2 個人情報提供の法的問題点

(1)プライバシー権ないし自己情報コントロール権の侵害

そもそも地方自治体の自衛隊に対する適齢者情報(氏名、出生年月日、性別、住所のいわゆる4情報)の提供は、憲法の保障するプライバシー権や自己情報コントロール権を侵害しないかが問題である。

それらの権利が憲法13条で保障されていることは憲法学界の通説である。最高裁判所も氏名住所等の個人情報が法的保護の対象となることを認めている(最高裁2003年9月12日判決等)。

紙媒体(宛名シールを含む)又は電子媒体による適齢者情報の提供は、例えば警察の捜査関係事項照会や弁護士法に基づく照会等への回答と異なり、具体的な必要性に基づく特定の情報の提供ではなく、自治体の保有する適齢者情報を地引き網的に流出させるもので、京都市の場合、対象者は約2万8000人にも及ぶ。その広汎性からすれば市民のプライバシー権ないし自己情報コントロール権の侵害の疑いが濃厚である。

また情報が提供された後にどのように取り扱われるのかも不明である。京都市は提供した宛名シールの管理に関して、自衛隊と書面協定を結ぶ旨述べているが、その内容は明らかではない。電子化されるおそれもあるが、利用後の情報破棄を自治体が確認することは想定されていない。毎年毎年これが繰り返されていけば、自衛隊には膨大な個人情報が蓄積されるおそれがあるが、その利用に関する実効的な歯止めは事実上存在しない。

(2)個人情報保護条例違反

京都市個人情報保護条例は、法令に定めがあるときなど例外に当たる場合を除き、本人の同意なく個人情報を提供することを原則として禁じている(同条例8条)。同様の規定は各自治体の個人情報保護条例にも設けられている。従って、本人の同意なしに個人情報を提供するには、法令の定めが必要とされるが、自衛隊に対する適齢者情報の提供に関して法令の定めがあると言えるか甚だ疑わしい。

情報提供の法的根拠とされているのが、以下の自衛隊法97条とそれを受けた同法施行令120条である。

自衛隊法97条

「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官

及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行う。」

施行令120条

「防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると

認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告

又は資料の提出を求めることができる。」

①自衛隊法97条について

まず自衛隊法97条1項により、自衛隊募集業務は市町村の法定受託事務とされているが、同条は市町村長が行う募集事務の内容を具体的に定めるものではなく、例えばポスターの掲示や資料の備置等、様々な事務遂行の方法が考え得る下で、プライバシーや個人情報保護に抵触するおそれのある適齢者情報の提供という特定の事務遂行方法を根拠づけるものではない。

②自衛隊法施行令120条について

自衛隊法施行令120条は、防衛大臣が市町村長に対して資料の提出を求めることができる旨定めており、京都市が今回の方針の直接的な根拠とするのがこの規定である。

しかし第1に、同条は、防衛大臣の協力要請を根拠づけるものに過ぎず、市町村長が何をすべきかしてよいかは全く規定していない。

第2に、そもそも同条による資料提出要請について、2003年4月23日衆議院・個人情報の保護に関する特別委員会において、宇田川政府参考人は「市町村長に対しまして適齢者情報の提供を依頼しているところでありまして、あくまで依頼でございます。」、石破国務大臣(当時)も「市町村は法定受託事務としてこれを行っておるわけでございます。私どもが依頼をしても、こたえる義務というのは必ずしもございません。」と答弁しており、あくまで依頼に過ぎず市町村長に答える義務がないことは確立した政府解釈である。

第3に、施行令120条は、自治体が行う募集業務(自衛官募集期間の告示、応募資格調査、受験票交付、試験期日・会場の告示、募集の広報宣伝等)に関する114~119条を受けて規定されているものである。従って同条の報告・資料提供要請は、自治体が行う募集業務が円滑に行われているか確認する目的と解するのが素直であり、個人情報の提供は根拠づけられない。

第4に、自衛隊法施行令は国会が制定した法律ではなく、内閣の判断で制定できる政令にすぎない。本来、法律の施行にあたっての細目的事項を定める下位法規である政令に、法律による授権の範囲を超えた定めをおくことは許されない。自衛隊法施行令120条は、同法97条の施行を目的とするものだが、97条本体に個人情報の提供に関する定めがないのに、施行令によりこれほど広範な個人情報の提供が認められるというのは解釈上無理がある。施行令120条による個人情報の提供は同法97条の授権の限界を超えるものである。

以上により、自衛隊に対する紙媒体(宛名シールを含む)又は電子媒体での個人情報の提供は、法令の定めも本人の同意も欠けており、個人情報保護条例違反の疑いが濃厚である。

(3)住民基本台帳の閲覧と大差ないか

住民基本台帳法11条第1項は、法令で定める事務遂行のために必要な場合に

限って、住民基本台帳の写しの一部を閲覧請求できると定めている。この規定に

基づいて、京都市を含む少なくない自治体が自衛隊に対し住民基本台帳の閲覧と

書き写しを認めていた。紙媒体(宛名シール)の提供はそれと大差ない、むしろ

閲覧より開示される情報が限定されるというのが、京都市の論理である。

しかし、京都市によると、2017年度に閲覧と書き写しによって提供されて

いた個人情報は約8500人分であるのに対し、今回の宛名シール提供により約

2万6601人分の個人情報が提供された。大差ないどころか情報の提供量は一

気に3倍以上である。むしろ大差がないのなら閲覧対応で十分であろう。

(4)京都市非核・平和都市宣言との矛盾

戦時中、自治体が市民を戦争に動員する役割を担った反省から、京都市議会は「非核・平和都市宣言」(1983年3月23日)を採択し、その中で「戦争に協力する事務は行わない」ことが明記した。自衛隊に対する宛名シール提供は、18歳・22歳の若者を戦場に駆り出す事務に京都市が協力することに繋がりかねないものであり、上記宣言の趣旨に反する。

(5)安保法制の下での自衛隊の変質

安倍政権は、2015年9月19日、憲法違反の集団的自衛権行使等を容認する戦争法制の制定を強行し、その結果、自衛隊の活動範囲が拡大し、隊員の生命・身体への危険は従前とは比べものにならないほど増大している。現実に南スーダンに派遣されたPRO部隊が内戦の渦中に置かれて部隊全滅の危機に直面した。そうした事実は、いわゆる自衛隊の日報隠蔽問題に象徴される隠蔽体質の下で国民に正しく伝わっているとは言いがたい。そういう下で、今日の自衛隊への入隊勧誘は、勧誘対象者の生命身体への現実の危険を不可避的に伴うものであり、そのために個人情報が利用されることに対する若者やその父母ら、市民の不安は軽視できないものである。

(6)決定過程の問題点

こうした様々な問題点をはらんでいるにもかかわらず、京都市は、市民に対し、とりわけ対象年齢の若者に対し、パブリックコメントを募るなどの市民の意見表明の機会を設けておらず手続保障が不十分であるうえ、京都市の情報公開・個人情報保護審議会においても、本方針への反対や疑義が複数委員から呈されたにもかかわらずこれを強行した。このような重大な決定を市民の声を聞かずに密室で強行するやり方は適正手続きの観点からも極めて問題である。

3 安倍首相発言について

(1)9条改憲との関係

前述のとおり、安倍首相は、自衛隊の募集業務に非協力の自治体が6割あると非難し、だから憲法9条を変えようと発言した。この発言は、他省庁や自治体、企業等が享受していない住民基本台帳の閲覧という特別な便益を、自衛隊のみが享受している点を無視している点で事実に反するし、自治体が紙媒体等での情報提供に応じていないのは、個人情報保護のためであり憲法9条と無関係であるから、論理的にも飛躍している。

(2)国と自治体との関係

奇しくもこの安倍発言を通じて、事実にも論理にも反する論法で自治体に対して自衛隊への個人情報提供を事実上強いるという政権の偏頗な政治的意図が露わになったといえる。このことは、国と地方を対等な協力関係と定める地方分権一括法の趣旨にも反する。あまつさえ、改憲の口実にこの問題を利用するに至ってはこじつけの誹りを免れまい。

かかる状況の下、京都市が、法的に疑義のあるやり方で、全国的にも突出した協力を自衛隊に対して行うということは、政権の政治的意図に対する過度な忖度を推認させかねず、行政の中立性を損なうおそれがある。また本来国と対等な関係にある自治体の有り様としても極めて不適切であろう。

4 この間の動き

京都市による宛名シール提供問題は、新聞報道されるや、広範な市民から驚きの声が上がった。自衛隊についての考え方は様々だが、何よりも市民の権利に関わる問題が当の市民に一切知らされないままに決められたことに、当事者の若者や親たちから強い疑問の声が上がった。労働組合や女性団体などが市に抗議し、弁護士団体である自由法曹団京都支部も市に反対の意見書を提出した。昨年の知事選をたたかった市民たちが「私の個人情報を守って!市民の会」を結成し、市への要請やネット署名、街頭宣伝、デモなど短期間に取り組みを強めた。若者や親たちも、市の個人情報保護条例30条に基づき、同意なき提供は違法だとして個人情報の提供停止請求を行った。

そうした批判を無視できなかったためであろう。当初、市は提供停止請求には応じないとしてきたが、2018年2月20日、提供停止請求自体は認められないが提供停止請求を申し立てた者については事実上宛名シールから除外すると方針転換した。また宛名シールは2019年1月に提供される予定だったが、市はなかなか提供に踏み切れない事態に追い込まれた。その意味では市民の声が政治を動かしたといえる。

この問題は統一地方選の争点にもなった。共産党のみが議会内外で反対の論陣を張った。自民党は共産が公選法に基づき有権者名簿を閲覧していることを揶揄する新聞広告を出したが、自民も閲覧していたことが発覚し墓穴を掘った。沈黙を守った他の野党は埋没した。

京都市は、統一地方選前半戦の投票日翌日の4月8日に突然宛名シールを自衛隊に提供した。私たちがいつ提供するかを問い合わせても「検討中」の一点張りで、宛名シールから情報を除外してもらうために提供停止請求はいつまでにやればよいのか全く明らかにしていなかったのに、選挙が終わった途端に突然提供するというやり方は、選挙での争点化を回避して市民の目を欺く姑息な手口と言わざるを得ない。

福岡市や京都府向日市・亀岡市など紙媒体等での提供は法的根拠がないとして応じないという判断を行った自治体や、神奈川県葉山町のように名簿提出から閲覧に戻した自治体もある一方、京都府精華町のように18歳から32歳までの全年齢の名簿を提供した自治体もあり、せめぎあいが続いている。

今後の展開は予断を許さないが、少なくとも自治体はこの問題について住民に情報を提供しその声を十分に聞いた上で、住民の権利擁護の観点から自律的判断を行うべきであろう。また違憲の安保法強行後、自衛隊は南スーダンで戦場に派遣されるなど専守防衛から様変わりした。そのことが自衛官の応募減少をもたらしていることは想像に難くない。安倍首相は、9条改憲が若者の自衛隊離れに一層拍車をかけるジレンマに気づくべきだろう。

以上

京都建設アスベスト2陣訴訟の追加提訴

2020年3月24日、関西建設アスベスト京都2陣訴訟の追加提訴を行いました。

この事件は、建設現場においてアスベスト含有建材の切断や加工等の業務に従事する中で、アスベスト粉じんを吸い込み、肺がんや中皮腫などの致死性疾患に罹患した建設業従事者とその遺族が、危険性を知りながら、アスベスト建材を製造販売した建材メーカーと規制を怠った国を相手取って、損害賠償を求めている事件です。
全国的には、北海道、東京、神奈川、京都、大阪、九州の6カ所で裁判がたたかわれており、すでに国と企業の責任を認める判決が相次いで出されています。
京都では、2011年6月3日、第1陣訴訟を京都地裁に提訴、2016年1月29日京都地裁判決、2018年8月31日大阪高裁判決で、いずれも国と企業双方に勝訴、特に大阪高裁判決では、一人親方に対する国の責任も認めさせ、原告全員が救済される画期的な勝訴を勝ち取りました。1陣訴訟は現在、最高裁第1小法廷に係属しています。
この1陣のたたかいと並行して、2017年1月24日、私たちは19人の原告(被害者数16)で京都2陣訴訟を提訴し、14人の原告(被害者数10)で2次提訴を行いました。これで2陣訴訟の原告は33人(被害者数26)となります。原告のうち、生存原告は10人、遺族原告が23人となります。被害者の職種は、大工、型枠大工、、電工、左官、解体工、配管工、塗装工、鉄工1、軽天工1と多岐にわたっています。
アスベストの危険性や建材にそれが含有されていることさえ知らされずに、ただまじめに頑張ってきた建築業従事者が長年の潜伏期間を経て、次々と呼吸困難に陥って亡くなる、こんな痛ましい被害に対して、謝罪と全面的な救済、そして予防を含めた総合的対策を求めて、引き続き頑張っていきたいと思います。

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2020京都市長選への応援ありがとうございました

私は2020年2月2日投開票の京都市長選挙に、確認団体「つなぐ京都2020」から無所属で立候補しましたが、残念ながら当選を果たすことはできませんでした。
支持してくださった有権者の皆さん、ご支援いただいみなさま、政党・団体、縁の下の力持ちとして支えて下さったスタッフのみなさんに心から感謝申し上げます。
たくさんの市民の願いを背負ってがんばってきたつもりです。そのみなさんの期待に答えられなかったことを大変申し訳なく思っています。
 
結果は残念でしたが、市民が政治をつくるという流れは押しとどめることはできないし、それはますます定着していくでしょう。それを京都からつくりだせたことを確信にしたいと思います。
今回、たくさんの方々とタウンミーティングなどを重ねて、市民のみなさんが実際に政策づくりにもかかわっていただきました。市民のいを政治に生かしていく、そういうとりくみをすすめていくことができたことは大きな成果だったと思います。
また、2年前の知事選以上に、人と人とのつながりをより豊かに発展させることができたのは、われわれにとって大きな財産です。
 
政策的には、とりわけ市民に投資をせよと大きな柱として訴えました。そのことを通じて京都をより豊かにし、未来につないでいく、こういう施策を提起して一定の支持を得たと思います。
当選した門川さんは、「オール京都」と言うなら、われわれの政策に期待された有権者の声も受け止めて京都市政にのぞんでいただきたいと思います。
 
今後、京都市政で旺盛な政策論議が交わせる政治的な文化、土壌をつくりあげていければと思います。

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改めまして、皆さん本当にありがとうございました。
 

京都府知事選での御支援ありがとうございました

   2018年4月8日投開票の京都府知事選挙において、残念ながら当選を果たすことはできませんでした。支持してくださった有権者の皆さん、ご支援頂いた政党・団体・個人の皆さん、縁の下の力持ちとして支えて下さったスタッフの皆さんに心から感謝申し上げます。多くの皆さんにご期待頂きながら、それに応えられなかったのは、ひとえに僕自身の力不足という他なく、心よりお詫び申し上げます。今はただただ悔しくてたまりません。
    しかしもともと基礎票では圧倒的に不利な下で、無党派層や立民支持層で上回り、左京区で勝利するなど、僅か2ヶ月で一定の到達点を築くことができたのは、支援して下さった皆さんの熱烈なそして創意あふれる多彩な応援のおかげです。本当に感謝しております。
    願わくば、候補者間でもっとオープンに建設的な政策論議を交わし、府民の皆さんとともに今後の府政のあり方について具体的に考えていきたかったのですが、それが不十分に終わったことが残念です。
    

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    言葉の力と人の繋がりを信じて、府民参加のボトムアップ型選挙を闘い抜き、皆さんと一緒に築き上げたこの到達点は新たな歴史の序章です。この流れを止めることは誰にもできません。私自身もその中でやれることをやっていこうと思います。
    改めまして、皆さん本当にありがとうございました。

山田府政の各事業のカルテ

2018年2月18日に行った「福ちゃんのつながるミーティング」で「山田府政の各事業のカルテ」を発表しました。その全文は以下のとおりです。
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2018京都府知事選挙への立候補を表明しました!

私は,この度,2018年4月8日投開票の京都府知事選挙へ出馬することを決意しました。2月10日には、立候補表明の記者会見を行いました。私が発表した決意と政策の全文は以下のとおりです。


                
    ~私の決意~

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 私は,本年4月8日に行われる京都府知事選挙に立候補することを決意しました。立候補表明にあたって,私の所信を申し上げます。

 私は,生まれてから56年間,ずっと京都で暮らしてきました。2001年に京都弁護士会に登録して以来,16年余り弁護士として仕事をしてきました。その間,多くの法律相談をお聞きし,事件を担当してきました。働く人たちの解雇・雇い止め・ハラスメント・残業代不払い・労災等の事件や,債務に苦しむ方々の破産や債務整理事件,中小企業の倒産事件,消費者被害,離婚や交通事故など,誰もが遭遇するトラブルによって,人生が大きく狂ってしまい,なかなか立ち直れない方々に対し,適切な法的サービスを提供し,前を向いて歩いていただくためのお手伝いをしてきました。

 そうした事件をお引き受けするたびに,感じたのは「またか」という思いです。私たち弁護士が個々の事件を解決しても,それは対症療法にすぎません。本来,権利がきちんと保障されていれば,そういう問題自体が起こらないのに,と思うことが多々ありました。おそらくそれは大なり小なり多くの弁護士が抱く実感でしょう。

 社会問題の中には国の施策によらねば解決が難しい問題もあるでしょうが,私は地方自治体,特に京都府が果たす役割には大きなものがあると思っています。京都府民でいてよかった。府のおかげで人生助けられた。府民の皆さんにそんな風に実感してもらえる府政を実現する仕事は,私の法律家としての仕事の延長線上にあるのではないか,そんな思いが強くなり,この度立候補を決意するに至りました。

 決意に至るまでには,多くの方々のご期待の声をいただきました。光栄に思う一方,私がそのような大任を担うにふさわしい人間かどうか,迷いに迷いました。そのとき頭に浮かんだのは3年前のことです。2015年に私が京都弁護士会副会長を務めていたとき,安保法制が国民的議論となりました。立憲主義を守ろうという弁護士会のよびかけに応えて,4500人もの府民の皆さんが円山音楽堂に集まりました。そのときに培われた人とのつながりが私を後押ししてくれました。期待してくださる府民のみなさんの熱い思いに応えたい,そう思って決意を固めた次第です。

 今日は,私の所属する京都法律事務所の所員の協力の下,私個人の主催でこのような会見を開催させていただきました。今日この場から,私の基本姿勢や政策に共鳴して頂ける全ての団体・個人の皆様に,ご支援をお願いしたいと思います。今後,具体的に各方面の方々に対して,直接のお願いをして参りたいと思っています。またお声かけ頂けるのであれば,私は都合が許す限り府内どこにでも出かけて参ります。多くの方に,私の考えを聞いていただき,また逆に皆様からのご要望ご意見をお聞きして,政策に反映させていきたいと思います。いかなる団体個人の方々もウェルカムです。どうぞよろしくお願い致します。


~弁護士福山和人が考える重点政策~

● 基本姿勢

(1)継承か変化かではなく,継承しつつ変化させる。

(2)節約か活力かではなく,節約しつつ活力を養う。

(3)連携か自治かではなく,連携しつつ自治を育む。


● 重点政策 ~つなぐ京都~

1 夢をつなぐ~ストップ貧困京都宣言

 今日,富裕層と貧困層の格差が拡大し,子どもの貧困,若者の貧困,高齢者の貧困,女性の貧困などが大きな社会問題化しています。その結果,将来に夢を描けない,展望を持てないという状況が拡大し,人口減少にもつながっています。

私は,京都から貧困をなくし,全ての人が将来に夢をつなぐことができるようにするために,府と市町村が連携し,弁護士会等の関係団体の協力も求めながら,あらゆる手だてを尽くしたいと思います。そして誰もが当たり前に暮らしせる安心感を生み出します。

 そのために、まず府が貧困をなくすため先頭に立つことを宣言し,実態調査を行います。その上で,子どもの分野では医療費助成制度を拡充する、中学校給食の実施と計画的無償化、高校までの学費の無償化,給付型奨学金の創設等の思い切った取り組みを進めます。また雇用の分野では,公契約条例制定などにより最低賃金は1500円をめざすとともに,ブラックな働き方を根絶するために関係団体と協力しながら啓発、相談,指導等の体制を強めます。また高齢者については,府の老人医療助成制度を拡充します。

 こうした総合対策を着実に推進することにより,暮らしの安心感を育み,将来に夢をつなぐことができるよう,府をあげて市町村と連携してすすめます。


2 なりわいをつなぐー雇用を促進し、暮らしと地域を守る持続可能な循環型経済

 今,大企業の収益増の一方で,中小企業は収益が悪化し,事業承継の困難さとあいまって,倒産件数も増加しています。また人口が減り,集落や農村を維持できない事態も生じています。私は,府内の企業が活力をつけて,なりわいをつないでいくために,中小企業地域振興基本条例を制定し,地域経済を支える中小企業を援助します。府立大学をはじめとする府内の大学や研究期間と連携して,府内及び全国の進んだノウハウに学びながら,地域の実情に応じた循環型の産業政策を住民とともに作り,持続可能な地域づくりをすすめます。

 また農家に対する国の戸別所得保障制度が今年度末で打ちきられる下で,農家の先行き不安は深刻です。高齢化と後継者不足により,耕作放棄地が増大し,地域共同体自体が崩壊の危機にさらされています。府として農業・農村の維持への独自所得補償制度の検討などを行います。

 私は公共事業一般を否定するものではありません。道路,河川,公共施設等の社会的インフラを着実に整備することは,生活基盤の確保の面でも防災対策の面でも当然のことであり,そのために必要な公共事業は着実に進めます。その場合,地元業者への優先発注や公契約条例等を通じた経済活性化を図ります。また住宅改修助成制度を創設します。

 他方,府民に多大な財政負担が生じる大型公共事業については,まずは一旦立ち止まって必要性,弊害の有無,住民合意等の観点から十分検証することが必要と考えます。 

3 未来へつなぐ~京都のみらいを切りひらく

 京都府は長きにわたり歴史と文化を育んできた地域です。その価値を未来へつなぐ上で、隣接する福井の原発問題は避けて通れません。舞鶴市の一部は高浜原発から5キロ圏内に位置し、また高浜・大飯原発の30 キロ圏内には約13万人が居住しています。市域の大半が60キロ圏内に入る京都市も含めて、ひとたび原発事故が起これば甚大な被害を被る危険があります。このため、再稼働の「同意権」を含む立地県並みの協定を電力事業者と締結をめざし、再稼働を許さず、廃炉へと舵を切るよう政府に求めます。

 京都議定書を策定した京都らしく,持続可能な再生可能エネルギーを府域の技術力等を活用し飛躍的に広げます。また再生可能エネルギーを活用した住宅建設や断熱工事等を支援し,ビジネスチャンスと職を増やし,エコ型循環経済により地域経済の活性化を図ります。

 また平和あってこそ文化は育ちます。京都府が平和のリーダーシップをとり,(東アジア)諸国の若者の交流事業を支援します。また京丹後の米軍基地問題については,地元住民の安心安全を守る取り組みを強めます。

4 ひとをつなぐー自治と自律を土台にしたボトムアップによる施策

 京都府は、北部から南部まで、都市部を含め暮らしの営みを土台とした住民自身による地域づくりが受け継がれてきました。そうした人のつながりこそがあらゆる政策の原動力です。お金を使わなくても人をつなぐことで,できる施策はたくさんあります。そのためには、トップが明確なメッセージを発して,予算や権限、人を現場に配置し、住民や市町村との話し合いを積み重ね、住民の自治の力をはぐくむことと一体に施策の推進をはかることが、鍵と考えます。

 また,京都府には約4000人の府職員,約1万2000人の教職員,約8000人の警察官がいます。これらのマンパワーの智恵と経験は京都府の宝です。職員の力を最大限に活かすとともに,市町村,住民とのつながりを強め,活力ある京都を作ります。


 「光のあたらないところに光を当てる」、これが政治の役割だとするならば,私には在野法曹の立場で十数年その仕事をしてきた知識と経験,自負があります。それを活かして,府民の皆さんのために「つなぐ京都」を目指して全力で府政にあたっていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

京都府知事選

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7月27日に、関西建設アスベスト京都訴訟(1陣)の大阪高裁第4回弁論がありました。いよいよ、来年2月9日の第6回弁論で結審と決定!  2018年秋頃に判決言渡しの見込みです。昨年1月の京都地裁判決は、全国で初めて国と建材メーカー双方の責任を認める画期的な原告勝訴判決でした。高裁ではこれを維持し、更に前進させることが必要です。ここからが正念場。頑張ります。

共謀罪(テロ等準備罪)を廃案に!

P1050001.JPG 2017年4月24日、京都地裁第1民事部で、京都建設アスベスト訴訟(2陣)の第1回弁論が行われました。この裁判は、建設現場でアスベスト粉じんを吸い込み、肺がんや中皮腫などの病気になった建設作業従事者やその遺族が、危険と知りつつアスベスト建材を製造販売し続けた企業と、それを野放しにした国に謝罪と補償を求めているものです。


 京都地裁での1陣訴訟では、2016年1月29日に、国と企業の責任を認める原告勝訴判決が言い渡されました。2陣でもその到達点をさらに前進させる判決が求められます。

 アスベストは2006年に全面禁止されるまで使われ続けました。国の調査では、全国で現存する約300万棟もの建物に吹付アスベストが使われているとのことです。それらの解体のピークは平成40年と言われており、今後も被害が拡大するおそれがあります。しかも肺がん、中皮腫、石綿肺などのアスベスト疾患は15~50年という長期の潜伏期間を経て発症します。我が国では、毎年、1400人の方が中皮腫で死亡していますが、肺がんや石綿肺等を含めると、今後10万人が死亡すると推定されています。アスベスト被害は、過去の問題ではなく、今を生きる私たちの問題なのです。

 多くの皆さんのご支援を御願いしたいと思います。